いつか陽の当たる場所で笑えるなら・5
「もうすぐボウルタウンですよ」
早朝の冴えた空気の中をモトトカゲに揺られながら走っていると、前の席に座っていた相手がビクリと震える。
「花の町で有名だそうですね、少し寄って行きましょうか」
「いや、いい」
即答された言葉が予想と反対のものだったので、思わず面食らってしまいいいのですかと、確認のためにもう一度聞いてみる。無言のままで首を縦に振るので、そうですかと返すしかない。
「少しだけ、食糧の買い足しに寄りたいなって思っていたんですけど」
「そうか」
ワタシは行かないとあくまでも強固に言い切るので、そういうわけにもいかないのですよと返す。
「そうですねえ、では町のすぐ外に停めますので、小生のカイリューたちと待っててくれますか?」
すぐに戻って来ますからと言えば、それであなたが安心するのなら構わないと言う、できるだけ目を離したくないものの、言い始めたら聞かないのはわかっている。町のすぐそばまでやって来たところで、約束通りにモトトカゲを戻してカイリューたちを呼び出す。
「コルさんと留守番してほしいのですが、頼まれてくださいますか?」
笑顔で頷くカイリューに、くれぐれもよろしくお願いしますですよと返して、いったんその場から離れて町中へ向かう。花と風車が名物だというとおり、緑の豊かな美しい町でここなら少しは彼の心も癒されたのではと思うものの、踏み入れるどころか外から見えた時点で、もうここでいいと拒絶されたくらいだ、こんな長閑な町でトラウマになるような思い出があるようには思えないのだが。
「お兄さん旅の人?」
わかりますかと聞けば、見ない顔だからねえと朗らかに答えられる。
「どこまで行くんだい?」
「今はパルデア十景を巡る旅をしていまして」
いいねえ、ここからだとハッコウシティへ行くのかいと聞かれて、その予定ですよと返せばならこの道から向かうといいよと、地図を広げると細い道から街外れの高台を教えてくれた、夜景を一望するのならこの位置がいいという。
「野生のポケモンに出会うかもしれないけど」
「それは大丈夫です、バトルには慣れてますです」
「なら安心だね」
頼もしい相棒がいるっていうのはいいことだよ、と語る店主にお礼を言って買い足した荷物を手に、彼を待たせた野原へ足早に向かう。
コルさんの膝に陣取るアマカジくんと、そばを守るように座っているカイリューの二匹にそれぞれ花の冠が乗っているので、コルさんがしてくださったんですかと聞けば、久しぶりだからあまり綺麗にできなかったと言う。
「そんなことないですよ、とてもお上手です」
カイリューも喜んでますし、アマカジくんも嬉しそうですよと言えば、そうだろうかと首を傾げる。可愛くしてもらってよかったですねと声をかけると、同時に声が返ってきたので間違いないはずだ。
「バカにしないんだな」
「どうして?」
器用だなと関心することはあっても、どこに貶す要素があるんですと聞けば、女の子みたいだって笑わないのかとつぶやくので、そんなことでバカにしませんよと返す。
「誰かに言われたんですか?」
「まあ、そんなところだ」
「でもこうして作ってくれる物は素敵ですよ」
そう言ってくれるのならよかった、ドラゴンに花というのはどうなんだろうと思っていたのだが、せがまれるとどうも弱くてと言う。
「誰がか喜んでくださるのなら、悪いことではないでしょう」
買い出しも終わったので、次へ行こうと思いますがコルさん平気ですかと聞けば、ワタシは特に無理はしていないし、平気だと立ちあがる。せっかくだから一緒に歩きますかとカイリューに声をかけると、隣をついて来てくれる、羨ましそうに見つめるアマカジくんに、キサマの足では危ないだろうからこちらへと抱きあげると、コルさんの腕の中にすっぽり収まった。
「すっかり懐いていますね」
「ワタシなんかを好いても、いいことはないと思うのだが」
「彼女には感じるものがあったんですよ」
陳腐かもしれませんけれど、運命だと思ったからこそついて来てくれているのではと言えば、それで本当に後悔がないならいいんだがと不安げにつぶやく。
「そんな不安に思わないでくださいですよ」
歩いている道が正しくなくとも、意外と楽しかったりするものですから、こうしてそばにいることがまず、彼女にとっては満足できる結果なのかもしれませんよ。
舗装はされていないものの、ハッコウシティへ向けて歩く足取りは軽い、地図の道筋がわかっている安心感というのはやはり大きいものだ、大丈夫なのかと疑いの視線を向けてられるのは、前科があるからですけれども今回は大丈夫だ。
「お店のかたから、道を聞いたので」
「そうか」
なら安心なのかとつぶやくので、回り道であっても辿り着けはしますよ、それにハッコウシティも都会ですから迷うことはあまりないでしょう。
時折、野生のポケモンたちとバトルになりながらも進む。草原を住処にするケンタロスたちが走ってくるのだが、格闘タイプは苦手だと苦い顔をするコルさんを守るように、前に立って戦ってくれるカイリューにお礼を言ってくれた。
「疲れていないだろうか」
「そうですね、少し休憩しましょうか」
お昼の準備を始めると仲間たちと戯れている、冠を羨ましがる声もあるらしくコルさんに自分もとねだるので、困ったように声をあげる相手に、昼食は小生が準備しますので相手してあげてくれませんかと言う。
「いいのか?」
「そう囲まれていては、身動き取れないでしょう」
ドラゴンは一度言い出すと聞かないのです、もちろん甘やかしてばかりでは主でいられないんですが、今回はいいでしょう。ハッさんがそう言うのならばと、道端に咲く花を摘んで少しずつ花冠を編んでいく、茎の長さを揃えて綺麗な輪に整えていく様が面白いのか、その手際の一つ一つを興味深そうに見つめて、一つできるごとに取り合いになるのをなんとか納めている。
オリーニョくんたちは見慣れた姿なのか、こちらへ来て昼食の手伝いに手を貸してくれるので、ありがとうございますと声をかけた。
「すっかりコルさんもドラゴンタイプに馴染みましたね」
「そうだろうか?」
人によってはそもそも怖くて近づきたくないというかたもいるので、そんな中では珍しいですよ、こうして普通に撫でたり遊んでくれる人というのは。
「だから彼等もあなたにはよく懐いている、初めてお会いしたときからオノンドは気に入っていたようですし、カイリューもよく身の回りをついている、それだけ彼等に好かれている証拠です」
単純にハッさんの友人だから、仕方なくつき合っているだけではと言ったのが不服だったのか、オンバーンが彼の頭の上に自分の顎を乗せ、彼の右肩にカイリューが頭を擦りつけ、セグレイブが左からもたれかかっていく。
「待て待て、本当に身動きが取れん!」
「寂しいことを言うからですよ」
一応、力の加減はわかっているはずなのでそのままにし、コルさんのことが好きなんですよともう一度言えば、どうもそうらしい本当によくわかったと声をあげる。
「アマカジもそうだが、皆もの好きだな」
「そうですか?」
好きだという気持ちに理由はいりませんよ、とはいえ純粋な好意の扱いに困ることもまたわかります、だけど否定されることもまた辛いと感じるものでしょう。
「ハッさんも?」
ポツリと漏れた言葉に対し、最初から報われることを考えていない感情ですので、こちらから押しつけることはしたくない、それだけですよと微笑み返す。
「欲のない人だ」
「そうでもないですよ」
注意を怠っていると後ろからガブリといく狡猾な竜のすることですよ、重々気をつけくださいねと言えば、ハッさんはそんな小狡い真似しないだろうと断言されるので、半ば口説き落として連れ出したのをお忘れですかとたずねる。
「こうしている間も、小生の狙い通りということです」
「そうなのか?」
計画的な犯行には思えないがと返されると、確かにそのとおりなんですけれども、綿密な計算でなくとも、大雑把でも人は拐えてしまうんですよ、今もなんの疑いもなくついて来ようとしているでしょう。
「信頼されていることは嬉しい限りですが、あまりにも警戒されていないとそれはそれで心配です」
小生ならば安全だという思いこみはやはり危険ですよ、そう忠告をする自分に対して彼は、それでもいいと思ってここに居るんだと返す。
「前にも言った気がするが、ワタシの身で気が治るというのなら」
「その投げやりな感情を、ありがたく頂戴するような者ではありたくないもので」
やはりあなたに狡猾な竜は向いてないなと力なく笑うので、話題を変えましょうかと次の行き先について地図を広げてみる。
「このまま行けば、明日にはハッコウシティに辿り着けそうですね」
「あまり好きな場所じゃないがな」
「そうなんですか?」
展示会で何度か足を運んだことがある、あそこはギャラリーも多いし美術館もあるし、その関係で行ったことはあるのだとか。
「ワタシが見たことあるパルデア十景だ」
「そうでしたか」
あまり興味はなかったんだが、せっかく来たんだから見て行こうと誘われて近くの岬に立つ灯台へ行ったのだとか。それなら丁度いい、自分が教えてもらったのは反対側ですから、見方が変われば印象もまた違うのでは。
「そういうものだろうか」
「行ってみないとわかりませんけどね」
この目で見るまでは少しくらい期待しましょうよと返せば、そういう前向きな視点はいっそ羨ましいなと苦笑気味に返されてしまった。
トレーナーと戦うと少し違った視点も生まれる、違うタイプとの戦うと戦術も特性も異なる、苦手なことも得意なこともそれぞれに変わる。
「さっきのトレーナー、中々に強かったですねえ」
制服からするとアカデミーの学生さんでしたね、きっとバトルが得意な子なのでしょうと言うと、ハッさんが相手だと一気に攻め落としてしまうように見えるが、違うのかと聞かれて、相手を見てそれなりに考えることはありますよと答える。
「小生の場合はオノンドやカジッチュの育成もありますから、実戦で戦いながら彼等の持つ癖を知ったり、得意な点を伸ばしたいので」
ボールの中からバトルを観察するだけでも得られるものはあるのでしょうけれど、やはり実体験に勝るものはありませんよ、意外な技が勝ち筋を拾うのに必要だったりしますし、それは相手にとってもそうでしょう。
「たとえばですけど、小生のセグレイブは氷タイプのドラゴンなので、炎タイプのポケモンで戦おうとする人がいるのです」
しかし彼の特性はねつこうかん、炎技を受けることで能力が上昇する特異な特性ですので、敵からすれば技が無効になった挙句に相手を強くしてしまうというわけです。
「そうか、知らないことが多いな」
「知らないことを知るためには、まずは戦ってみることも大事ですよ」
「相手のためにもか」
はいと答えると、とはいえ自分から声をかけるのは怖いなと彼は苦笑する、無論そういう意見もわかりますので、無理に戦う必要はありませんけれども。
「でもアマカジくんはやる気のようですし、たまにはね」
「キサマ戦って平気なのか?」
鳥ポケモンに拐われそうになったのは一度で済まんぞと心配そうに言うも、彼女だって戦う力はありますし大丈夫ですよと言う。
「次は戦ってみるか?」
やる気に満ち溢れた声で返されるので、指揮官が弱腰では勝てる試合も負けるものだからな、バトルに挑むならばワタシがしっかりしなければとつぶやく。
「とはいえ負けて失うものは少ないわけですし、気負いすぎなくともよろしいのでは?」
そんな話しながら歩いて行くと、道が開けて海風が通るビーチが見えて来た、その先にある巨大都市も含めてあれを迷うことはないでしょうと言えば、それはそうだがと呆れたように返す。
「何度か来られているとのことでしたが、ここもあまりお好きではない?」
「自然と調和が見られない街だからな」
ここから見てもわかる人工的な都市だ、確かに人は暮らしやすいと思うのかもしれないが、だが背の高いビルもアスファルトで覆われた道も、そして街の売り文句たる明かりについても、全てがあまりに眩しく虚しい。
「でも憧れはありますよ、大都市で公演となればやはり集まる人も違いますし」
都市の利点とはそういうものではと言えば、そこは否定できないなと返される。
目の前に見えている目的地にそのまま進むのもいい、けれどもここまで来たなら少し回り道して行きましょうよと提案する。
この近隣はナミイルカの生息地ですし、たまには海に住むポケモンたちを見ていくのは面白いのではと言えば、悪くない話だと少し道から外れてビーチの方面へ降りる。
ひそやかビーチと比べると賑やかな海辺はカイデンの鳴き声が響く、こんなに地域で差が出るものかと改めて生態系の違いに目を輝かせる彼の足元から、ひょっと顔を出してきたウミディグダに、思わず驚いて仰反る相手を受け止めて大丈夫ですかと声をかける。
「だ、大丈夫だ」
野生ポケモンの襲撃に主を守らんと飛び出してきたアマカジくんに、なんとか体勢を立て直したコルさんが技を指示する、水タイプであればこちらに有利ではある、落ち着いて対応すれば大丈夫なはずだ。
「アマカジ、はっぱカッターだ」
声をあげて技を繰り出し当てると、野生のウミディグダが目を回して引っこむ、満足いく戦果だったらしく笑顔で向き合ってくる相手を受け止めて、よく頑張ってくれたと頭を撫でている。
「いやあ、びっくりしましたね」
「本当にな」
ウミディグダは人を見ると逃げる傾向にあるんですが、どうも顔を出す瞬間とこちらの進行方向がかちあってしまったようだ、なんとも不運ではありましたが乗り越えられてよかった。
「アマカジくんも、よく頑張ってくださいました」
コルさんのことを守ってくれたんですねと言えば、当たり前だと言わんばかりに声を返してくれる、ポケモンとは急に出会うものではありますが、足元からの襲撃はやはり意表を突かれてしまう。
「彼等の領域に踏み入れているのだから、こういうことがあっても仕方ない」
なんだか申しわけない気もするが、これも自然に暮らしている彼等にとってはいつものことなんだろうかとつぶやくので、人の行き来が多い地帯ですし慣れたものだと思いますよと言う。
「本当に?」
「ええ、ほらあちらを見てください」
我々のようにナミイルカを見に来たのだろう、観光客らしい集団が波打ち際で写真を撮ったりはしゃいでいる姿を指差し、こういう環境であると彼等もよく知っているので、急な襲撃もまたいつものことだと思っているのでは。
「不自然なようで、これもすでに日常の姿ということか」
彼等にとっては迷惑このうえないことだろうが、今回に関しては他人を責められないのも歯痒いなと、苦笑してみせる。
「でも見てくださいよ、可愛らしいですよ」
陸上のポケモンとは違う泳ぐためのフォルムは流線形で美しく、また顔立ちも愛嬌があり人気が高いのも頷ける、確かに寄っただけの価値はあったと喜んでくれる相手の腕の中で、不服そうに主を睨む彼女に、もしも再びポケモンに襲われた場合はあなたが守ってくださいねと声をかける。
波打ち際を散策し沖でジャンプするナミイルカを見ていた、人に慣れているのか近くまで寄ってくる子もいるものの、どんなに人懐っこくても野生の子なので、無作為に近寄るのは危ないですよと静止の声をかける。
「やはり危険なものか?」
「海に連れこまれたりすると、流石に人間では抵抗できませんから」
泳ぐスピードがあまりにも早すぎるので、下手に近づきすぎるのは危ないものです、もちろんバトルで抵抗はできますが、うっかり沖まで連れ去られた場合、ギャラドスのような凶暴なポケモンも多いので命の危険がついて回ります。
「確かに囲まれると想像すると、怖いな」
「ギャラドスの群れは危険ですよ、オージャの湖で囲まれた際には何度はかいこうせんを撃たれたことか」
それは確かに想像するに恐ろしいなと苦い顔をするので、そうなんですよ群れで襲いかかってくるポケモンは、それ相応の対処ができないと危ないですし、でもこちらの弱点を突くような技を覚えていることもあったりして、非常に厄介で。
「そう考えると水ポケモンたちも、やはり強力なんだな」
「どのタイプであろうと、ポケモンは恐ろしい存在なのに違いはありませんよ」
彼等の持つ力は人智を超えたものが多い、身近にありながらもわからないまま過ごしていることも多いものです。
「そうだな、改めてみるとわからないことは確かに多い」
オリーニョが進化したときもそう、身近に居た存在が姿形をすっかり変えてしまうその事実に驚いたものだ、彼等の成長に繋がる進化もまだ研究段階で、現象だけ見てもわからないことなんていくらでもある。
「だから不思議な生き物としか説明できないのか」
「未だに新種が発見されたり、新しい進化方法がみつかるなんてこともザラにありますからね、違う地方で姿が異なるポケモンもいると言いますし」
先程のウミディグダも通常種のディグダとの関係を研究されているとか、どういう進化過程を経てタイプごと変わって二種に別れたのか、まだまだわからないことは多くあるとか。
「あんまり草タイプには、そういう変わった経歴を持つ者は少ないイメージがあるな」
「そうでもないですよ、草木ほど環境に適当するものですから、新しいタイプも生まれやすいのでは?」
他の地方の草タイプも、面白い特性を持っているかと、一度は出会ってみたいものですよと言うと、その中には地に根をつけないタイプのポケモンもいるのだろうかとつぶやく。
「なぜそう思うんです?」
「海や空を渡れるポケモンに、少し興味があってな」
「そうなんですか、珍しい」
鳥ポケモンはあまり好きではないのではと聞けば、木々を荒らすのは仕方ないだろう、そういう習性で生きているのだからなと空を行くカイデンの群れを眺め、でもそれは置いておいてああいう在りかたに憧れはあるぞと答える。
「空を飛べるポケモンたちに、一度くらい夢を見ることはないか?」
「その気持ちはよくわかります」
小生もその憧れのまま、手持ちにオンバーンやカイリュー、ドラミドロがいるわけですし、その流れでいくと夢をそのまま全て叶えたような形にはなりますね。
「でも空を飛ぶ草ポケモンといえば、ワタッコやトロピウスのような子たちがいるのでは?」
「トロピウスは体格が大きすぎてな、伸び伸びと育てるにはそれなりの場所が必要だろう。ワタッコたちは大きさとしては手軽なんだが、昔から捕まえてはいけないと言われてきて」
どうしてと聞けば幼い頃は喘息持ちで、あの子たちの綿毛は体によくないからダメだと強く言われていて、その印象が強く残っているため遠くから見るものというイメージで、自分の仲間にということを考えられなくてと言う。
「そもそも、ワタシについて来てくれるような稀有なポケモンがいる、というのが意外だった。そう考えると、ハッさんのポケモンたちはしっかり鍛えられていて、すごいな」
「どうでしょう、一族から飛び出したはぐれ者なのですが」
でもエリートなのは違いない、ドラゴンなんてそれこそ強いポケモンたちを手懐けている、並大抵の強さでは彼等はついて来ないだろう。
「優れた指揮官であるのは、やはり間違いなかろう」
自分はまだまだ未熟者だとつぶやくので、それは成長の余地があるということではないでしょうかと返す。
「ハッさんは前向きだな」
「いえ、コルさんのバトルセンスは本物ですから」
野生のポケモンだけではなく対人戦だってすぐできるようになりますよ、そう背中を押すものの、流石にそれはまだ気が乗らないと首を横に振る。もちろん無理には言いませんけれど、それも状況を見ながらでしょうか。
「そろそろ日も傾いてきましたし、ハッコウシティに入りましょうか」
今夜の宿を探しましょう、バックパッカー用の格安のホテルに空きがあればいいんですが、観光シーズンというわけでもありませんし、大きなイベントもなければ探せば見つかると思うんですが。
そんなことを話しながら、まず街の入口にあるポケモンセンターに立ち寄って、ようやくビル群の中へ足を踏み入れる。目も眩むような街の明かりに、流石はパルデアでも有数の都会だなと関心する反面、徐々に隣を歩くコルさんの足取りがふらついているのに気づいた。
「どうしました?」
「ああいや、久々に来て、少し人に酔ったかもしれない」
少し青い顔をしているので、それはよくないですねと声をかけて周囲を確認する、都心であるのでお店などは多くあるものの、人に酔ったのならば繁盛しているような店に入るのは得策ではないでしょう。
少し歩いた先に、小さな広場があったのでそこのベンチに移動してきて、二人で腰掛ける。水でも口にしますかとバッグの中を探していると、なにもいらないと首を緩く振って小さな溜息を一つ吐く。
人前に出るのが怖い、都会は声が多すぎて気持ちが悪くなってしまって、申しわけないと謝るので、配慮が足りなかったのは自分も同じなのでどうかそんなふうに責めないでくださいと返す。
「しかし」
「いいんですよ、ゆっくりしていきましょう」
日が暮れて来たからだろう、広場といえども人影は少なくたまに人が通りかかるくらいで、特に誰かの視線に晒されることもない。息を整える彼の背を撫でると、ありがとうと震える声で返される。
「自分の体なのに、思うようにいかない」
「そういうときもありますよ」
無理をさせすぎたのかもしれません、バトルに寄り道と今日はたくさん頑張りましたから、その反動もあるのではないでしょうか、どちらにせよ落ち着くまでしばし休憩しましょう。
「足を引っ張ってばかりだな」
「そうは思っていませんよ」
それにしてもハッコウシティは広いですね、思わず目が眩んでしまうのもわかりますよ、小生も初めてテーブルシティに来た時は人の多さにたじろいだりしました、都会というだけで気分が悪くなる人というのは、意外といるのかもしれないです。
「前は平気だったのに」
「体調の変化で大丈夫なときとそうでないときがある、というのはおかしなことではないでしょう」
今日は偶然そういう日だったというだけ、そう思いましょう。
「少し顔色がよくなってきましたね」
あまり遠くへは行かずに、この辺で宿を探しましょうかと声をかけると、面倒をかけてすまないと小声で返されるので、そういうことは言いっこなしですよと笑い返す。
むしろ情けないと怒られたほうが気が楽なんだがとつぶやくので、そんなことしても現状がよくなる訳でもないでしょう、それに怒るのは疲れますからね。
「それで許せるだけ、あなたはやっぱり寛容すぎる」
手を貸してくれるかと声をかけられるので、もちろんですと手を差し出すと少し小さい手をしっかり繋いで歩き出す。
ほどなくして空きのあるホテルがみつかったので、今日の宿として入ることにした、値段もそんなに高くなかったので好都合ではある。先にシャワー使ってくださいですよと言うと、わかったと着替えを手に奥へ引っこむ。
流石に狭いのでポケモンを全員を一気に出すわけにはいかず、カジッチュとオノンドを出して手入れを始める。オノンドについては鱗の具合や爪の手入れなど、ドラゴンタイプを使う者として慣れたものではあるものの、カジッチュについては勝手がわからない、葉や実の色艶で健康を見分けるとは聞いたことがあるものの、果たしてこの子にとって今の状態が最良なのかどうか。
「難しい顔をしてどうした」
「シャワーはもういいんですか?」
充分なくらい温まったからと言う言葉通り、湯に当たって少し上気した肌の色を見て、それならよかったですと返す。
「カジッチュの具合、どこか悪いのか?」
「正直に言いますと草タイプの扱いには慣れていないので、栄養が足りているのか、色艶だとかで状態を見分けるのにピンときてなくて」
そうかと言うと隣に座ると、失礼するぞとカジッチュを抱きあげてぐるりと実を回転させて様子を伺う、ややあってから少し栄養の取りすぎなんじゃないかと返す。
「あっ、そうなんですか?」
「草タイプである以上は光合成はしているんだ、ある程度は自分で栄養を補充できる」
根っこや自分の葉、実の中に養分を蓄えることで生きているものも多いが、少し蓄えがいきすぎているように見えるこれもまたよくない、根腐れというにはこの子に根はないが、健康を害する要因にはなる。食べさせるフードを調整してやるといい、それ以外は特に問題ないと返される。
「そうですか、助かりました」
「大したことではないぞ」
ハッさんの手入れは丁寧だ、これも別に不調というほどでもない、植物を枯らすと言う人間は多いが、その大半は彼等の生命力をみくびっているだけなんだ。
「そうなのですか?」
「ああ、枯れてしまったと思いこんでいるだけで、実際はまだ枯れていないなんてよくあることだぞ」
ポケモンにしても同じで、水をあげすぎたり反対に足りていなかったり、それで少し弱った状態を枯れたと勘違いされてしまう、草タイプを育てるのは難しいと思いこんでいる人の多くは、状態を見誤ることにあるのだと。
「難しいものですね」
「慣れれば、手間がかかった分の愛着は湧くものなんだがな」
是非とも草タイプの良さを知ってほしいと言うので、そのご期待に添えるように頑張りますと返す。
少し疲れたので先に休んでも構わないだろうかと聞かれるので、もちろん遠慮なくお休みくださいですよと返す。それではと先にベッドへ入ると、体を丸めるようにして目を閉じて眠りに着くので、夕飯はどうしますかと聞くのを忘れたものの、この分ではあまり口にする気はないと返ってきそうなので、自分とポケモンたちの分の食事の準備を始める。
皆で静かな夕飯を取る、コルさんの手持ちのオリーニョくんたちは彼を心配していましたが、大人しく眠っているようなので起こすことはせず、寝顔を確認するとすぐに戻って来てくれた。
自分のドラゴンたちも彼を思いやって静かにしてくれる、怖い印象を抱かれがちではあるが、こうして他人を気遣ってくれる心優しい一面も持ち合わせている、それは自分もよく知っていることではあるけれど、こうして目にするとやはり彼等は素晴らしと思う。
片づけを終えて静かにシャワーを浴びて戻ると、コルさんの足元で体を丸めて眠るセグレイブの姿がある、代わりに守ってくださっていたんですねと頭を撫でると、小さく声をあげるので、自分も今夜はもう休もうと隣のベッドで横になる。疲れたというほどではないものの、柔らかい寝床はやはり眠りを誘うもので、すぐに眠りの中へ落ちていく。
どれくらい眠っていたのかわからないものの、僅かな物音に反応して目を開けると、暗がりの中で体を起こしてぼうっとしているコルさんと目が合った。
「すまない、起こしてしまったか?」
「いいんですよ、まだかなり早い時間ですね」
朝食を取るにしても早すぎるでしょうか、簡単なものなら用意できますけどと聞けば、なにもいらないと首を振ると窓辺へ向かい外の様子を確認する。
「流石に、人気はないな」
「早朝ですからね」
まだ日も登っていないでしょう、そりゃ活動する人々も少ないですよと返す。
「少し歩いてみますか?」
無理には言いませんが、なんだか興味がありそうだったのでと言うと、なんでもお見通しだなと苦笑混じりに返される。
「ハッさんはまだ休んでいていいんだぞ」
「いえ一緒に行きますよ」
せっかくですから大通りを歩いてみましょうよ、小生はこちらまで来ることも少ないので、少し散策してみたかったんです。
「一人で行けばよかっただろう」
「コルさんを一人にはできませんよ」
反対もまたしかりかと言うと、少し寝癖のついた髪にさっと櫛を通していく、簡単に身支度を終えて外出の準備をしてから静かに部屋を出て、無人のフロントを抜けて外へ出る。まだ薄暗いとはいえ、都会の道は森や山のそれとは違って街頭があって舗装されているので、歩き難いわけでもない。
少し冷えた空気の漂う中、人のいない街を二人で歩いて行くと居並ぶ建物の中から、あれが前に展示会をした場所だなとビルの一つを指す。
「こんな場所で展示されてたんですか」
すごいじゃないですかと声をかけると、別にそこまで褒められるものでもないと首を振る、あんまり評価されたわけでもないし、展示されていただけで誰も覚えてないだろうと言う。
「美術館やギャラリーで展示されて、記憶に残るのは一つや二つあればいいほうだ」
大半の人が出てくるころには作品のことを忘れてる、人を集めるための目玉の展示以外は、よほど記憶に残る物でない限りは誰かに覚えてもらえることもない。
「芸術を志す者ですらそうなんだから、興味のない人間ならば余計に目立つものでないと」
「しかし、闇雲に目立つことが大事ですか?」
作りたいと思う物がそれならいいんです、けれども奇をてらった物が評価されているわけでもないでしょう、もちろんただ美しいものが評価を得るわけでもないのでしょうけれども。
「それじゃあ、なにがいいんだ?」
「コルさんが心から作りたい物なら、いいのではないかと思います」
他人の評価は製作者には預かり知らない部分ですから、作る側の思いはまず大切なのではありませんかと聞けば、そう言うのは簡単だがと言葉を濁す。
「すみません、作り手でもない人間が偉そうなことを言いました」
「いいや、参考になった」
作っているだけでは考える暇もないと話す相手を見返すと、厚く混んだ雲からポツリと雨粒が落ちてきたので、荷物から傘を取り出して隣を行く相手を招き入れる、散歩のつもりだったのに準備万端だなと関心したようにつぶやくので、出かけるときの癖なんですよねと返す。
「急な天候変化はドラゴンタイプにとっては痛手ですからね」
「そっちか」
天候ダメージってバカにできないんですよ、特に霰はドラゴンにとっては天敵でして、セグレイブならばどうにか耐えられますけれども、体温の変化に敏感な子たちにとっては本当に痛手で。
「人間も体を冷やすのはよろしくないでしょう、風邪を引いたりしたら大変ですし」
「それもそうだな」
これ以上の体調不良を重ねるのは確かによくないと言うコルさんに、濡れないようにもう少しそばに寄ってくだいと手を取れば、素直に寄ってくれるので安心していいのか、危機感を覚えたほうがいいのか。
「しばらく止みそうにないですし、どこかで休憩して帰りましょうか」
「そうしようか」
早朝でそれほど店は開いていないものの、流石に都会なので二十四時間営業のファストフード店は事欠かない、夕飯も食べていなかったわけですしお腹空いてませんかと聞けば、あんまり気にしてなかったと言われてしまった。
「食事を忘れるのは前からだ」
「あまりよくないですよ」
適当に注文しますがいいですかと聞けば、ハッさんに任せると言われたので二人分の注文をして席に着く。
「学食を思い出すな」
初めて一緒に昼食を食べたときですかとたずねると、思い返すとおかしな話だなと言う。
「ハッさんはずっと変わらずお節介だ」
「迷惑ですか?」
「そうだな、他の人だったら距離を取っていたかもしれない」
不思議といやじゃなかったんだ、こんなふうに身近で自分のことをあれこれ世話を焼いてくれて、自分のような人間を気にかけてくれる人がいることが。それまでは厳しい意見をぶつけられて折り合いがつかない人のほうが多かっただけに、忌憚なく受け入れられるのがすぐったいというか、ともかく感謝はしているのだと。
「コルさんが元気になってくれるなら、それでいいんですけれども」
「その期待に応えるのは、難しそうだな」
「期待とは違いますね」
どちらかと言いますと願掛けに近いものでしょうか、そう答えると消極的なんだなと苦笑される、だからこそ暑苦しく思っても邪険にできない理由かもしれないなとつぶやく。
ゆっくりと食事を進める彼に、今日の夜には夜景を見に行きましょうかと声をかけると、確か街の外れにある山岳地帯まで行くんだったなと聞かれる。
「遠いのか?」
「距離はそれほど離れていないんですが、高台なので少し足にくるかもしれません」
多少は険しいとはいえ道として通じているので、モトトカゲに乗ればある程度は楽もできますが、あの子に任せきりというわけにもいかないだろうと苦い顔をされる。流石に二人は負担になるだろうと言うので、馬力のある子ではあるんですけれどもねと返す。
「岩山なので地面タイプが多いので、コルさんのポケモンくんたちには頑張ってほしいですね」
「鋼もいないか?」
よく知っていますねと言えば、この付近には来たことがあるからなと返されて、そうでしたと思い出す。
「コルさんのアマカジくんは、そろそろ進化する頃合いですから」
「そうなのか」
前に行きたがる理由はそれかと納得できたらしい、ただの成長と違って進化はガラリと変わるから、ただ体調を見ているだけではわからない部分だなとつぶやく。
「無理のない範囲で行きましょう」
「ああ」
準備を整え昼前にハッコウシティを旅立つと、山岳地帯へ向けてまず歩き出す。近隣の採掘場はまた明日に通り抜けるとして、今日は教えてもらった対岸の滝の上にあたる位置を目指して歩く。
先に足に来る旅路だと話していたものの、ある程度の道のりは覚悟していても徐々に上り坂となっていく道に息があがってきたコルさんに、少し休憩しましょうかと声をかける。
「すまない、足手まといで」
「そうは思ってないですよ、小生は体力に自信があるほうですし」
足場も悪いので歩き難いのは仕方ないです、旅慣れているかも関係ありますし、そもそも普段から岩場に来る人のほうが珍しいのでしょう。
「ハッさんはどうして慣れているんだ?」
「ドラゴンタイプには険しい岩山を好む個体も多いですからね」
そういう場所に住んでいる子の中で、一緒に旅に出てほしい子がいればゲットし仲間になってもらう、そうして共に来てくれた子たちが今の小生の仲間たちなんですが、もちろん他にも何名かいますよ。
「そうなのか?」
「コルさんはまだ会わせたことはありませんね」
実家に残してきた子はいないんですが、個別の相性もありまして普段からは連れていない子もいるんですよ。
「どうして?」
「他者に慣れていなくて喧嘩早い子だったり、そもそも気性が荒かったりして、他人の前に出すと危ないかと」
ある程度の躾はしていても、絶対に安全だと言い切れないので人前では連れていません、コルさんに懐いている彼等と違って、力加減がわからない子に少しでもじゃれつかれたら、鮫肌で傷つく程度では済みませんし。
「鮫肌ということは、ガブリアスなのか?」
「ええ実は持っていますよ、あと噛み癖がどうしても抜けないサザンドラがいまして」
この二体は強大な力を持つだけに扱いには細心の注意を払っている、本人はその気はないのでしょうけれども、ちょっと遊んでほしいと振りあげた腕の爪で切り裂かれたり、遊んでもらいたくて噛んできたりと、僅かな力でも血が流れることになったりする。
「ドラゴンタイプのじゃれつくか」
「冗談のように聞こえますが、本当に危なくて」
そこまで考えてくれていたのかとつぶやく相手に、小生でも手を焼く子をコルさんに相手させるわけにいきませんよと返す。
「卵から育てた子は人馴れもしてるんですけれど、野生で捕まえた子は力加減を見誤ることも多くて、トレーナーは生傷が耐えないものです」
「ドラゴン使いも大変だな」
そばに居ると忘れてしまいそうになるな、とオノンドの頭を撫でて言う相手に、コルさんのように怖がらない人であれば、大事にはならないと思いたいのですが、注意するに越したことはないでしょう。
「そんなハッさんでもカジッチュは育てたことがないのか」
「小生の家の付近ではあまり見かけない子でしたし、そもそも出会うのが難しくて」
コルさんのポケモンたちと一緒に日光浴をしている子を眺め、こんな機会がなければ育ててみようと思わなかったかもしれない、と思い返す。
「新しいタイプを育てるときは、詳しい人がいないと難しいですね」
サザンドラの育成で噛み癖を直せなかったのも、自分が悪タイプに対して知識が足りない面があったのでしょう。元々少し暴れ馬なところはありますし、気性の荒い子ではありますので大人しく言うことを聞いてくれている以上、少なくとも主だとは認めてはくれているんでしょうけれども。
「いつか見てみたいな、他のドラゴンたちも」
「大丈夫だと思えたなら、紹介しますよ」
そんな話をしていたら、山道を散策していたらしいオリーニョくんがなにかを拾って戻ってきた、陽の光を浴びて輝く石にあっと思わず声があがる。
「これはほのおのいしですね、こちらはみずのいしです」
特定のポケモンの進化に使われる、特殊な石の一つですが、残念なことに我々の手持ちでこれが必要になる子はいない、とはいえ採掘場も近くにあるし、こういった石も使える大きさで落ちていることがあるが、ラッキーですねと返す。
「使えないアイテムなのにか?」
「我々には不要でも、欲しいというかたにとっては大事なものですし、旅をしているとこういう品をトレードしないか、と声をかけられることもあるんですよ」
品物に釣り合ったトレードが大事なので、これなら相当にいい物と交換できるでしょう、そうですねコルさんの手持ちを考えると、たいようのいしとトレードできるといいかもしれない。
「そう上手くいくものだろうか?」
「持っていると巡り合うものですよ、ともかく街から離れてますが、採掘場の中で話を聞いてみれば求めるトレーナーに出会えるかもしれません」
それも含めて明日以降にしましょう、今日は目的地へ向けて歩かなければ。
休憩を終えて再び二人で歩き出すと、ややあってから開けた崖の一角が見えてきた。目の前に流れる川から白い煙を立てて、滝が落ちていくその先には昨日滞在した街が一望できる、最適なスポットなのだが。
「やはりここから見ていても、大きくて人工的なだけだな」
日も暮れて名物と呼ばれる夜景を前にしても、あくまでも冷静に評価を下す相手に苦笑混じりに、まあすでに中に入ってしまいましたからねえと返すしかない。
「自然と違って作られた景観なので、ある程度は仕方ないですよ」
とはいえ、目の前に広がる街の姿は圧巻で、ギラつくネオンサインもビルの窓に灯る明かりも、街全体を染める光たちが眼下でキラキラと瞬いている、それにこの街のいい所は徐々に変化していくことではないでしょうか。
「都市というものは常に大きくなっていくものですから、新しい建物ができて常に姿が変わっていく、古い物や残さなければいけない遺産があるわけがなければ、新陳代謝を繰り返してどんどん姿を変えていいわけですし」
ということは再び来たらまた違った景色が見れるかもしれない。
「街も新陳代謝するものか、その時間までを含めて大木のように見えなくもないな」
中にいるときは息もし辛い街だったが、遠くから眺めるだけならばそうでもない、ただやはり物珍しさを感じないのは、すでに見知った街だからか。
「次に来るときには、別の景色に変わっているかもしれませんよ」
「どうだろうな、次に来る日が来るかはわからないぞ」
「いいじゃないですか、また来ましょう」
ハッサク先生と戦うとき「ガブリアスを出すでしょ」と身構えたのは自分だけではないと信じてます。
ということで、実は育てているけれど手持ちには理由があって入れてないということで。
今回パルデア十景を一箇所もクリアできないまま、一話を消化しかけて焦ったりしていました。
2023-01-15 Twitterより再掲