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咲かない花は嘘をつく・2

 彼のアトリエに出入りするようになって二週間、腫れが引かない内は手伝いに来なくていいと言われたものの、時間が空いている日には何度か顔を出した。寝食を忘れて作業に没頭する癖があるらしく、なんだ昼かと言われることもあったりした。
 そんな相手が珍しいことに見知らぬ男と話をしている、玄関を少し開けているだけで顔は見えてないのだが、聞こえてくる声からして不機嫌なのは感じ取れてしまった。
「いいだろ、相変わらず仕事も行き詰まってるみたいだし」
「キサマには関係ないだろう」
 なんだよ可愛がってやるって言ってんのにと言う、悪意のある男の声に彼の顔が歪むのを目に見えるので、すみませんと後ろから声をかけた。
「なんだよ?」
 あんたこいつに用があるのかよと、こちらを見下すような口調で続くが、何度も言っているだろう今日は客が来ると、男のほうを突き放して手招きされる。
「こいつが?」
「そうだ、今日の先約」
 だからさっさと帰ってくれと追い払われ、憎々しげな顔を向けられるものの、ややあって彼の腕がこちらの腰に回されて引き寄せられるのを見て、溜息混じりにもういいと吐き捨てるように言って立ち去った。
「面倒な奴だ」
「お知り合いですか?」
「前の客」
 いいタイミングで来てくれたが、巻きこんですまないと言うと腰に回されていた手が離れていき、予約時間まで粘られて準備もまだ終わっていないというのにと、面倒そうにつぶやく。 「ああいう人、いるんですか?」
「しつこい奴はたまに」
 とはいえすぐに飽きるのは目に見えている、金だけの繋がりだった相手だ、特別な感情もなにもない、向こうだって遊べる相手がいればそれでいいんだろう。奥の部屋へ向かって足早に進んでいく相手の後ろをついて歩く。
「恋人とは言わないんですね」
「あくまでも暇潰しだな」
 自分のことを可愛がってはくれたものの、そこまで楽しかったわけでもない、顔はなんとなく覚えているものの名前すら思い出せない。
「あまり他人の人間関係に口出しはしたくありませんが、ああいう手合いは危ないのでは?」
「次来たら、玄関で追い払う」
 そもそもキサマが悪いのだと苛立つ相手に指名されて、えっと思わず声をあげる。
「最近よく顔を出しに来るから、警戒することを忘れて開けてしまった」
 普通だったらただでは開けないのだ、そもそも客なんて少ないんだから注意している、だというのにキサマは害意なく訪ねてくるから、敵愾心も薄れてしまう。
 そこまで一気に捲し立てて足を止めると深く息を吐いて、すまんただの八つ当たりだったと、小声で謝られる。
「いいえ、落ち着かれましたか?」
「多少は」
 これから施術だというのにダメだなと言う、日を改めますかと提案するものの、それではハッサクさんに迷惑がかかるだろうと首を横に振る。
「少し頭を冷やしてからでいいだろうか?」
「もちろんですよ」
 今日はこれしか予定もないのでと返せば、それはありがたいとアトリエに戻ると、お茶でも淹れてくると奥にあるらしいキッチンへ引っこむ。前と同じくソファで待っていると、作業中だった彫像が目についた。
 以前は白い塊だったものの、かなり作業も進んだらしく形もはっきりしてきているものの、人のようなポケモンのようなどっちとも取れそうな彫像を眺める、彼の熱意は伝わってくるもののどこか歪なような。
「そんなに真面目な顔して、なんだ?」
「ああいえ」
 あれはなにを作っているんですかとたずねると、ポケモンと人の関係性について現代の価値観と古代のあり様を表したと、説明を受けるも感想として出てきたのはそうですかという一言だけで、興味ないかと呆れ口調でつぶやく。
「いえ小生には少し難しかったなと思いまして」
「そうか」
 芸術の理解とは難しいものだと返す相手に、そういうものでしょうかと返す。
「見る人にそこまでの解説は、視覚情報からだけでは頭に入ってこないものではないかと」
「それは、そうかもしれないが」
 すみません素人の意見でしかないもので、本業の人にとっては違うのかもしれませんと断りを入れると、いや貴重な意見だと首を緩く振る。
「らしくないと思いながら作っていた」
「そうなんですか?」
 人に関わる物を作れと言われて、それならばと色々と考えながら作っていたが、どうにも自分の中で納得ができていないのだと首を振る。
「自信がないようには見えなかったんですけれど」
「作っている間は視界が狭いからな」
 全体を見返すことはできても、他人にどう見られているのかまで頭は回っていない、自分の作っている物が正しいと思いこまないとやっていられないだろう、そう力なく語る。
「正しいってなんでしょう?」
「評判や評価は他人の視点からくる、それは正しさだろう」
「どうでしょう、音楽には譜面が存在するので外れると演奏になりませんが、でも書かれていることが全てでもないでしょう」
 花が美しいことには誰かの評価でもなく、ただなんとなく心のままにそう見えるだけではと返すと、そっと視線をあげてそういうものかとつぶやく。
「先生みたいなことを言うな」
「そうですか?」
「もし生徒だったとしたら、これ以上なく不良学生だろうが」
 まあいいさ仕事のほうはきっちりこなす、と残っていた紅茶を飲み干してしまうと、準備をしてくるからもう少しゆっくりしてくれと言って席を立つ。
「線彫りだけでも半分は終えたいな」
 まだ先は長いぞ覚悟しておけと言われてしまう、まだなにも受けていないのにじわりと背に痛みが走る、もちろん錯覚なのはわかっているけれど、まだまだ続く針の感触をすでに覚えてしまったらしい。思わず体をすくめると、注射を怖がる子供じゃないんだからいい加減に慣れろと笑われてしまった。

 マシンの機械音と、背中を走る鋭い痛みと比べて触れてくれる指が優しい、作品のキャンバスなんだから丁重に扱うと当たり前のように告げられて、そういうものですかと苦笑気味に返す。
「今日の分はここまでだな」
 予定の作業分は終わったが、時間は遅くなってしまったなと言うとおり、夕方までには終わる予定だったのに、すっかり陽も暮れていい時間になってしまった。変な奴に絡まれたりしなければ、もっと早くに片づいていたのに悪いなとバツの悪そうに言われるので、気になさらないでくださいですよと返す。
「今日は特に予定もありませんでしたし、お気になさらず」
「なら、このまま泊まっていけ」
 思わぬ提案に、そこまでしていただくわけにはと返すと、明日まで居てくれたほうがこちらも助かるんだと、機材の部品を外しながらこちらを見ることなく告げる。
「しつこいのが、また来ないとも限らない」
「ああ」
 一度ついた嘘は最後まで突きとおすべきだ、既成事実がなくてもな、首を突っこんだのはキサマのほうなんだからと言うと、とりあえず奥でシャワーでも浴びて来い、着替えは適当に用意しておくと部屋から追い出されてしまった。
 少し古びたシャワーのノズルをひねって、背中をかばいつつもなんとか体を洗っていく、水に触れると傷に染みるものの、我慢できないほどではない、かといってそう簡単に慣れるものでもないんですが。
 以前に注意されたように、できるだけ施術を受けた場所には触れないようにして体を洗い終えて出ると、古着で悪いがと言う彼の言葉どおり少しくたびれたスウェットが置かれていた、ありがたく着させてもらうものの、少し着丈が足りないが外へ行くわけでもないので、問題はないでしょうか。
「なんだ、もう出てきたのか」
 早かったなと言う彼に、あまり長湯をしたい気分でもないですよと答えれば、確かにそうだなと答えつつ、アトリエの奥にあるらしいキッチンで、夕飯の準備を進めているらしい彼に、なにか手伝いましょうかと声をかける。
「いや気にするな、もう完成する」
 作り置きしてあったスープと惣菜を温めて、サラダとパンを用意しただけだが、これで足りるかと聞かれるので突然のことなのに、ありがとうございますとお礼を言う。
 野菜とベーコンを細かく刻んだスープを二人分、皿に盛り少ないほうがワタシのものだ、席にくらいは運んでおいてくれと渡されるので、近くにあるテーブルに置いて次の皿を受け取った。
「前にあまり人は来ないと聞いたんですが」
「そうだな」
 その割に食器や服はあるんですねと聞けば、あって困るものじゃないから置いてあるだけにすぎない、置いたまま忘れて帰ってそのままになった物もあるがと言うので、そういうものですかと苦笑気味に返す。
「すぐに汚れる物、壊れる物にあまり金をかけてはいられないからな」
 ワタシ一人だけじゃなくポケモンたちがいる、食費だけでも成人一人では済まないし、画材の代金を惜しむことはあってはならない、他で節約できるならそれに越したことはないだろうと話す彼に、確かに削れる場所は気にしたほうがいいですが、限度というものがあるのではと聞く。
「お古というなら、このアトリエその物から否定しないといけなくなるぞ」
 元を辿ると古くなったパン工場だ。彫像を作れるような広い部屋と、作品や画材を片づけられる倉庫はほしかったんだが、条件に合ってかつ安く住める物件として紹介されたのが、ここだったというだけ。
 変わった家だなとは思っていたんですが、まさか本当に工場だったとは思わず、そうだったんですかと驚きつつも納得はできた。一人で住むには広すぎませんかと聞けば、広くて困ることはないだろうと淡々と返ってくる。
「仕事と私生活があまりにも近いと、人は心身を壊すと聞きますけれど」
「問題ない、仕事の割合のほうが少ないからな」
 苦悩があるとすれば、それこそ芸術活動を仕事にできていないことだ、こればかりは自分の仕事ぶりだけで評価があがるわけではない。工場のような流れ作業で本日分の納品が完了すれば終わる、なんて目に見えた成果ではない仕事を目指す者が、こんな場所に住んでいるのはおかしいかもしれないけどな、と自嘲気味に答える。
「工場として稼働してるほうが、ここも役に立てただろうに」
「しかしあなたが買い取らなければ、壊されていたのでしょう?」
 必要とされる人の手に渡ったという意味では、よかったのではないですかと聞けば、取り壊して新しい建物に造り替えたほうがいいだろ、なにを作るつもりだったのかは今となってはわからない。
「キサマはどうなんだ」
「小生ですか?」
「ドラゴンタイプなんて巨体のポケモンばかりだろう、安い部屋ではすぐに手狭になると思うが」
「そうですね、家を出てから困ったことは多々ありますです」
 今はバイト先の社宅が広く、門番の意味もこめて交代で番をすることで住む許可をもらいました、門番にドラゴンを配置するなんてずいぶんと守りが硬い社宅だと笑う。
「バイトをしながら音楽をやる、どちらが本業かわかり難いな」
「それはお互いさまということで」
 人のことをとやかく言える身分ではない、と言うとスープやパンをまだ半分ほど残したままスプーンを置いた、もう食べないんですかと聞けば、元から食が細いんだと言う。
「そうは言いましても、あまりにも食べなさすぎでは?」
「これ以上食べたら、むしろ体調が悪化する」
 水差しを引き寄せてグラスに注ぐと、机に置いてあった入れ物から錠剤を取り出して口に入れ、一気に流しこむ。どこか体の具合が悪いんですかとたずねれば、大したことじゃないと小声で返す。
「でもかなり数が多かったように思いますが」
「生まれつき、体が強くないだけだ」
 本当にそれだけ、生きるのにすら金のかかる厄介な体だろうと悪態を吐く相手に、多くのかたが生きるのに枷はあるものですから、自分が悪いと責めすぎるのはどうかと思いますと正直に返せば、健康体そのものたるキサマに言われると腹が立つなと眉を寄せてつぶやく。
「すみませんですよ」
「悪気がないなら謝るな」
 わかっている、医者を除いて心配してくれる相手がいるわけじゃないから、なんというか居心地がよくないんだという。
「ご家族は?」
「芸術活動で生きていくのに反対されて、飛び出してから帰ってない」
 反対したことを後悔するほど、立派になってみせると豪語したはいいものの、現実はこのザマだ、理想と現実はそう簡単に埋まらないままズルズルと生きている。
「後片づけは任せていいか?」
 次の制作に取り掛かりたいと言う彼に、構いませんがこんな時間から始めるんですかと聞き返せば、キリのいいところまで終わらせておかないと気が済まない、と言うとアトリエとして使っている大きな部屋へ移動し、置きっぱなしだったキャンバスの前へ座った。
 作業に戻ると決めて、すぐに続きが始められるのは彼の集中力の高さの現れでしょう、しかし体が弱いのに加えて無茶な作業量を抱えて、栄養もあまり取らないとなると、どうしたって心配になってしまう。
 片づけを手伝ってくれる彼のポケモンくんに、きみたちの主は本当に大丈夫なんでしょうかと聞けば、いつものことだと言いたげにオリーヴァは首を横に振る。
「志が高いのはわかりますが、その前に燃え尽きてしまわないか、側から見ている者は怖くなってしまいますね」
 皿を片づけ余った分は明日に食べるという言葉を信じて、パンなどは別に分けておき、近づいてきた彼の仲間たちの遊び相手を引き受ける。普段は触れ合わない草タイプの子たちは、優しい反面で意外と力が強く、気を抜くと体勢を崩しそうになってしまう。どんなに小さくともポケモンなのだ、植物の生命力はやはり強いのだなと痛感する。
 しばらく遠目に見ていたものの、ややあって自分もと近づいて来たセグレイブの冷たい体温を、彼女たちは好ましく思わないのかすっと距離を取られてしまい、少し落ちこんでいるのを見て、あなたが悪いわけではないですからと頭を撫でて慰める。
 そんな彼を遠巻きに見ていたものの、オリーヴァくんが勇気を持ってそばに寄ってくれる、彼の特性は鮫肌ではないため触れてもダメージは負ったりしない、それを身を持って伝えてくれたので、少しずつ近づいて来てくれる。
「よかったですねえ」
 うんと一つ頷く相手に、もう少し遊びますかと問いかけたところ、やったと言うように声をあげるが一部、小生の背後を注視して固まった。
「騒がしいぞおまえたち」
「あっ、すみませんですよ」
 ご近所迷惑になってしまいますよねと言えば、その心配はいらん、広いだけに声も外に出ずらいし、そもそも人が住んでないからなと淡々とつぶやく。
「迷惑なのはワタシだけだ」
「それは、本当に申しわけない限りです」
 別にいい下絵は終わった、今日はもう仕舞いにすると結っていた髪を解き、大きく一つ伸びをする。
「シャワー浴びてくる、散らかした分は片づけておいてくれ」
 わかりましたと彼を見送り、遊びのために用意した道具を一つずつ片づけて、散らかした部屋を少し掃除していると、アトリエに飾られたままだったキャンバスが目についた。
 なんとなく気になってのぞいてみると、そこに描かれていたのはなんだか暗く重苦しい雰囲気が漂う、なんだろう見ていて気が滅入ってくるというか、どう言い表したらいいものかわからない。
「なにをしている」
「すみません! なにを描かれているのか、気になってしまって」
 下書きだと言っただろう、まだ完成にはほど遠いと切り捨てる相手に、一体なにを描かれているんですかと聞けば、しばし間があってからワタシが見ている世界そのものだと言い切る。 「これが、世界ですか?」
「もちろん、ただ写実で描いたものじゃない、心象風景が働いた姿だが」
 それがなにかと聞かれて、いえ小生にはやっぱり芸術は難しいなと思っただけですと、正直に答える。
「彫像でも同じこと言っていたな」
「すみません、やはり審美眼は持ち合わせていないようで」
「別に、世の大半の人間はそうだろう」
 キサマが謝ることではないと言うと、キャンバスに布をかけて寝室に案内するから、ついて来いと手招きされた。
「悪いが客室はしばらく手入れしていない、すぐに使える部屋はワタシの寝室だ」
 客人であることを考慮して、流石にベッドは譲ってやると言う相手に、そういうわけにはいきませんですよと、部屋の主人たる彼にしっかり休んでほしくてベッドを譲ると、別に眠るだけならどこでもいいと言い切る。
「あなた体が強くないのでしょう、なら睡眠くらいはしっかり取るべきです」
「だから寝るとは言っているだろう」
 その姿勢が問題だと言っているのです、少しくたびれた古いソファに毛布一枚でというのもそうですし、元より部屋の主人を差し置いてベッドをお借りするわけにはいかない。
「納得できないと言うのなら、一緒に寝るか」
「えっ」
 それはいいんですかと困惑する自分に対して、キサマその気はないんだろう、手狭ではあるが眠るだけとなれば大した問題でもあるまいと言うので、自分が知らないだけで世間的には珍しくないのだろうか、と疑問に思いつつもそれでいいのならばと提案を飲む。
「さっさと横になれ、明日の予定に差し障りがあっても困るんだろう」
 通常は彫りを入れてからしばらくは、あまり激しい運動などは避けたほうがいいらしいのですが、とりあえず現状では背中が痛むことを除けば特に困ったことはありません。頑丈だと言った彼の言葉どおり、鈍く痛み続ける背中が気になりはするものの、目の前に迫る問題のほうが今は気にかかる。
「その気のない者に手を出すほど、ワタシも困ってはない」
 骨張った抱き枕だとでも思ってくれと言いながら、隣で横になる相手に、そんな簡単にはいきませんですよと返すしかない。
「なにもしない」
「それは心配してませんです、でも」
 ごちゃごちゃうるさい、今日はなんだか疲れたんだ、久々にゆっくり眠れそうなんだから黙ってろと厳しい口調で返されると、こちらに背を向けてゆっくりと息を吐いて、静かに眠りに着く。本当に他意はないのだと知り、少しだけ胸の内にモヤがかかるものの、なんとも落ち着かない浅い眠りに身を任せ、朝になるのを静かに待った。

「朝帰りかい?」
「ああ、すみません」
 帰らないとは連絡してありましたが、突然の外泊は心配をかけてしまったかと思ったものの、社宅の管理人は子供じゃないんだから別にいいさ、真面目な子だと思っていたけどハッサクくんも隅に置けないもんだと笑われる。
「お相手さん、どんな子なんだい?」
 せっかくなんだから教えてくれよと笑う相手に、草タイプのポケモンが好きな人ですよと返すと、なるほど癒し系の子かと笑われる。
「ドレディアみたいな可憐な娘かい?」
「いいえ、どちらかというと、女王さまなんですかね」
 そりゃ怖いアマージョのほうだったか、怒りに触れないように気をつけなよと茶化されるので、相手の性別については黙っておいたほうがいいでしょうね。

あとがき
このコルサさんが住んでいるアトリエには元ネタが存在します。
現代作家さんなので、こんな場所で名前を挙げるべきではないかなとは思うんですが、まあこいつのオリジナルではないよってことだけ。
2023-05-22 Twitterより再掲
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