愛されたい。
それはこの世で一番、俺が望んではいけないことだ。

カルディアの回顧録

にっこり笑った道化師が手を振ってる、なんで笑っているんだろう?なにも面白いことなんてないのに、彼はいつでも笑っている。
「バイバイ、ロー」
笑いながら言うことじゃない、そんなの嫌だと泣き叫んでも俺の喉から声はあがらない。血を吐くくらいに嫌だと叫ぼうと、その叫びは音にならない。
静かな世界に、彼の声だけが響く。
「バイバイ、ロー」
いやだ、いやだよ。
お願いだから、お願いだからもう一度言ってほしい。
声もなくそういう俺に、彼は笑って手を振る。そして、ゆっくりと後ろに下がっていく。
その分だけ近づこうとしても、彼はもっと早いスピードで俺から離れていってしまう。
どうして、お別れしなきゃいけないんだ。
大好きなんだよ、コラさん。離れたくないよ。
「バイバイ、ロー」
なんで笑ってるんだよ、そんなに優しく笑って手を振らないで。
寂しいんだ、あなたがいなきゃ寒いんだ、寒くて凍えて死んじゃうだろ。
だから、生きろって言うなら、俺を愛して?

浅い眠りなら、目を開けるとそこは暗い船室の中だった。雑魚寝している他の船員達を見て、ゆっくりと体を起こして甲板に出た。
ここはどの辺だろうと考える、夜の海には浅い霧が立ちこめていて、先が見えない。
夜風に当たっていると、夢では感じなかった寒さが身に染みる。
「なにしてるんだ、カルディア」
声をかけられて振り返る、この偽名にも、もう随分と慣れてきたなと考えながら、なんです?と問いかける。
声をかけてきたのは同じく船員として乗りこんでいる男だった。ペンギンと名乗る彼は、なにかとこの船では新入りの俺を気遣ってくれる。
「眠れないんだろう?ホットミルクでも淹れてやろうか?」
「ガキじゃあるまいし、そんな気使わなくていいですよ」
でも疲れてるだろう?と俺の頭をくしゃりと撫でてそう言った。
「少しでも休まないと、この船で医学がわかるのは今あんただけなんだ。もしもの時に医者が使えないってなったら、俺たちはどうしたらいい?」
そう問いかけてくる相手に、そうだなとしばし考えてみる。
「その時は、全員まとめてあの世行きかな?」
「恐ろしいこと言うなよ、仮にも医者なんだから」
医者だと言われて、胸の奥がざわめく。確かにそう名乗って乗せてもらったし、それ以外に自分の力として売りに出来る力は持っていなかった、とはいえ胸を張ってそれを名乗るのに、まだためらいがある。
「正規の医者じゃない、独学だから」
「でも、俺のことを助けてくれた」
あんたはきっと、俺達を助けてくれると信じてる。
そうやって信頼を寄せてくれる相手に、別にあんただから助けたわけじゃないと、何度も言っている。

「俺を船に乗せてくれませんか?」
酒場で船員達と飲み交わしていた大男に向けてそう言った、手配書を確認して、彼が海賊の船長であることは知っている。
「俺の船に乗りたいって?雑用係なら手が足りてる、他をあたれ坊主」
「でも、医者は足りてないんでしょう?」
そう問いかけると、相手はなにを言っているんだというような顔をしてみせた。
「医者を探してるって聞いた、俺はもぐりの医者だけど、師匠から独り立ちの許可は得てる、必ず役に立つと約束します」
相手を真っ直ぐ見つめて言うと、彼はしばし考えた末に、お前の名前は?と問いかけた。
「俺は、カルディア」
「そうか……カルディア、ウチの船員に一人、ちょいと重症な奴がいる。頼りの船医はこないだ、どっかの海賊に吹っ飛ばされちまってな、困ってるんだ」
そいつを助けられたなら、乗せてやってもいいと男は言った。
「まあ、助からなかったところで、そいつはここで捨ててく。雑用係の席が一つ空くから、乗せてやってもいいぜ」
そう言って笑う男に、どうもと言って一礼すると、早速その船員がいるという船に連れて行ってもらった。

道中、案内している船員は、俺のことを怪しく思っているようだった。
「お前、若いよな?歳はいくつだよ?」
「今年で十七歳」
「そうか……てっきり、どんなに大人でも十四くらいかと思ったぜ」
「童顔なんですよ、昔から」
「ふーん。まあ、若いのには変わんねえか」
十三歳まで病で体の発育が遅かったから、実年齢よりも若く見られること。本当はもうすぐ十五になる、ということは伏せておいた。
連れて来られた船室には、一人の若者が毛布に包まって震えていた。
「もう三日もこの状態だ、食事もまともに食べれねえ。流行病ならすぐにでも捨てるんだが」
「大丈夫だ、なんとかする」
そう言うと、彼を処置の邪魔になるからと追い出して、男の前に来た。
「あん、た……なんだ?」
震える声でたずねた相手に、オペの準備をしながらぶっきらぼうに、俺は医者だと答えた。
「これからあんたを診察する、無事治ったら、俺はここの船医になる」
じゃあ始めるぞと言って、麻酔をかけて眠らせた。意識があろうが治療はできるが、見られると面倒だ。
Roomを展開して俺流のオペを開始した。

結果として、彼の病は魚の毒による中毒だと判明した。解毒剤を投与し、点滴を受けさせたら一晩で回復した。
おおよそ、食うものに困って知らない魚をそのまま食ったんだろう、ものによっちゃ肝に毒を持ったやつもいるから気をつけろ、と忠告しておいた。
このお陰で、俺は船の奴等から医者としての技術と実績を認めてもらい、なんとか隠れ蓑をみつけることができたのだ。彼を救うためというよりも、自分のためにしたと言った方がいい。

「それでも、あそこで助けてもらわなかったら、俺は今頃、墓場行きだったからな」
海の底が墓にならなくて良かったと、彼は笑って告げた。
「海賊に墓なんているのか?」
「まあ、海の男は海で死ぬのがかっこいいのかもしれないけどさ。海の底が墓場になるのはな、やっぱり嫌なんだよ、寒いし暗いし。それに死んで誰にも覚えておいてもらえないのは寂しいだろ?」
墓でもあれば、知ってる人が来てくれるかもしれないしなあと言う相手に、俺は無言でただ海を見つめていた。
墓なんてなくても、忘れられるわけがない。
思い出す死体の山、家族に、村の人達、そして大好きだったあの人。彼等の墓標はこの体にある。墓石であり続けるために、冷たさと固さに慣れてしまった俺は、感情の行き場をなくした。
今の自分を突き動かしているのはなにか、考えなくてもわかる。寒い夜に溶けた煙と同じく、動いているはずの心臓が黒く焦げつかせるくらいの、憎しみだ。

「カルディア、お前さ。なんかわけありだろ?」
沈黙する俺を見てなにを思ったのか、彼は唐突にそう言った。聞かれたところで答える義理もないので無言を貫く。
「まあ、わけなしの海賊なんていないんだけどさ、あんまり一人で抱えこむなよ。俺はあんたの味方でいるつもりだし」
「命の恩人ってだけで、勝手に相手を信じない方がいいですよ。どこの誰が、いつ裏切るかなんてわかんないんだ」
自分を裏切った弟を、その手で殺す兄だっているんだ。
そう言うと、ペンギンはそうかと静かに返事をしてから、俺の頭をまた撫でた。
その手をできるだけ雑にならないように払いのけて、そういう事はやめてくれと相手に向けて言う。
「馴れ合う気がないなら、それでもいいさ。でも船にいる限りはあんたと俺はクルーだぞ」
一人じゃ船は動かせないんだぜ、と言って真面目な顔をしてみせた。
「なあ、俺に教えてくれないか?」
「なにを?」
「医術、お前が倒れたら困るのは俺たちだから」
頼むと言う相手に、俺は口の端を少しあげて笑う。
「いいんすか、俺はもぐりの闇医者なんだけど?」
「海賊も闇医者も仲間みたいなもんだろ」
後ろ暗い奴に変わりない、と言いながら肩を一度ポンと軽く叩く。
「……授業料、取りますよ」
「それはないだろ新入り………まあいいや。それは、出世払いで頼む」
そう言うと彼は行ってしまった。

面倒なことになったなあと思ったのは、敵との戦闘の最中に俺が船から落ちた時だった。
悪魔の実の能力者であることは船員の誰にも話していない。勿論、船長にだってだ。こんなことを知られれば非常に面倒なことになる、特に自分の持っている能力には、とんでもない力が宿っている。
不老不死の医術、それは世界中を見渡してどんな権力者だって欲しがる、国を傾ける麻薬だ。だからバレるわけにはいかない。少なくとも下手にあの男の耳に入るような真似をすれば終わりだ。
俺の逃走生活の全てが意味を無くしてしまう。
あの人が繋いでくれた命の意味がなくなってしまう。
だけど、冷たい海に放り出されて力の抜けていく体を感じて、ああここで終わりかと思った。
いつだかペンギンが言っていた、海の底が墓場になるのは嫌だという言葉が泡になって目の前を登っていく。そうだな、こんな場所に墓を作りたくはない。そう思いながら目を閉じた。
瞼の裏側で、あの人が笑っている。
手を振って「バイバイ」と口にする。

「バイバイ、ロー」
今、俺の本名を知っているただ一人の人が声をかけてくれる。
なんでだよ。俺は今からあんたのところに行くんだ、もうお別れじゃない。
出迎えてくれよと手を伸ばそうとした、重くて全然持ちあがらない。
振っている手を俺のために伸ばして、もう一度言ってほしい。俺のために。
けれども、あなたはまた笑って遠のいていくんだ。声にならない俺の叫びの前に、どこまでも無情に通り過ぎていく。
その手を、確かに誰かが掴んでくれたような気がした。
あなたはいつも通り、どんどん遠くに離れていくのに。

次に目を開けた時、俺は海の底でもあの世の闇でもなく、船室の薄暗いランプの光を見た。
「お前、泳げないのかよ」
驚いただろと言うペンギンに、すまないと一言謝ると、別にいいけどさあと軽い調子で返答された。
海から浮いてこない俺を見て、助けに入ってくれたのだという。医学を教えて欲しいと言った彼が、一番最初に聞いたのが溺れてる人間の蘇生方法だった。本当に助けられるとはな、とぼんやりそんなことを考える。
俺が診察のために与えられた医務室のベッドの上で、今は他の誰でもない自分が横になっている。
いざって時には全員あの世行きだと言った夜を思い出し、苦笑いすると、体を温めろとマグに淹れたスープを渡してくれた。
それを受け取らずしばし見つめていると、ペンギンは溜息を吐いた。
「いい加減にしたらどうだ、人が作った物を食べないのは」
貸してみろとマグを奪い取ると、彼はそれを一口飲んでなにも入ってないだろ?と聞き返す。
「わかんないじゃないですか、即効性の薬じゃないかもしれないし」
俺は潔癖症なだけだよと言って、まだふらつく足で立ちあがると、薬剤を調合する時に使うアルコールランプで湯を沸かして愛飲しているコーヒーを淹れた。
熱いコーヒーを一口飲んで、体の奥の、心臓にまで温かさが広がっていくのを感じて息を吐く。
そんな俺を見つめていたペンギンは、なあとまた声をかけてきた。
「子供の頃とか、泳ぎ教えてもらったりしなかったのか?」
「元々、体が弱かったんで。家で医学書読んでる方が多かったんだ」
「家に医学書なんて、転がってるもんだっけ?」
「親が医者だったんで」
そう言ったら。ふーんと彼は俺をまじまじ見つめてそう言った。
医者の子供がなんで海賊船に乗せてくれなんて言い出したのか、とでも考えているんだろう。しかし、昨今じゃあそんなに珍しいことでもないはずだ、どんな理由で故郷を追い出されるかわかったものじゃない。今の世の中なら。
「まあいいや、次の島についたら泳ぎ教えてやるよ」
授業料まだ払ってないもんな、と彼は笑う。それじゃあ安すぎると答える俺に、そんな皮肉言えるならもう大丈夫だな。寒いところじゃないといいな、と言うペンギンに対し悪いけど結構だと断った。
「なんでだよ?泳げないとこの先、船で困るだろ。覚えておいて損はない、つーか覚えておかないと生きていけないぞ」
「溺れなきゃいいだけの話なんで」
「いやいや、泳げない海賊なんて早々いないだろ。それこそ悪魔の実の能力者じゃあるまいし」
冗談めかして言われた単語に、そうだなと返しつつ、でもいいんだと俺は言った。
そんな俺を見つめていた相手は、そっとベッドに近づいて、能力者なんだろ?と小声で問いかけた。
「あんたを拾った港の酒場で噂になってた、悪魔の実の能力者で医者だって名乗る少年を、ある裏社会の大物が探し回ってる」
名前はトラファルガー・ローというらしいと、真剣な顔でそう言う相手に、内心の同様を悟られないよう、得意になったポーカーフェイスを使い、それでと聞き返す。
「俺の名前はカルディア、そう言ったはずですけど?」
「それが本当の名前だなんて、誰が証明してくれるんだ?」
ここにはお前の生まれた場所の帳簿なんてない、素性を隠すなら名前なんて簡単に変えるだろうと彼は続ける。
まあ、そう返されるのは予想済みだ。
「俺がその噂の人物だっていう証拠は?」
「トラファルガー・ロー、年齢は十五歳」
「俺は十七ですけど?」
「それも、あんたが口で言ってるだけだ。別人だって証拠にはならないし、二歳くらいサバ読んだってわかんねえよな。どっちにしろ、その若さで独立した医者だってこと。潜伏してる港で乗れる船を探してた。泳ぐことができない。理由もなく泳ぐ練習を拒否する。そういえば、あんたいつもシャワーだけで、風呂に浸かるのは見た事ないな」
状況証拠だけ揃えたらぴったり当てはまる、とペンギンは言った。
探しているのはたぶんあの男だろうことは簡単に想像できた。追手がかからないように、身を隠してきたつもりだったけれども、どこでどう情報を掴んだのか、本当に抜け目がない。貧民街の子供達に紛れて、闇医者の間を渡り歩いて助手をしながら食いつないでいたものの、力と金を求めてそこから出てきた瞬間にこれだ。

「で、俺をそいつに売り渡そうって魂胆かよ?」
新入りだったからと下手に出ていたのに飽きて、普段の口調に戻して目の前の男にそう問いかけると、俺はそんな気はないときっぱりと告げた。
「でも、船長をはじめとした他の奴等はそうじゃない」
俺を手土産に、ジョーカーに取り入ろうと話し合いで既に決まっているそうだ。
「最初からそうだ、あんたを乗せたのは船長がその噂を聞いたからだ。もし本物だったら、でかい相手に取り入ることができる。その証拠が出るまでは、普通に接しろってさ」
医者を探してたのは本当だけど、貧民街からやってきたどこの流れ者とも知れない男を易々と乗せやしないさと、ペンギンは言った。
どうせ乗せるなら、それだけの見返りがある奴を乗せる。ここの奴等は金と権力に目がないんだと。そりゃ、海賊なんてそんなものだ、略奪者なんだから価値のあるものが欲しいに決まっている。
別に汚いとも、狡いとも言う気はない。
俺だって、そんな中で育って来たし学んできたのだから、よく知っている。

それでと彼は背筋を伸ばして、真剣な顔で問いかける。
「なあカルディアさん、あんた本当にトラファルガー・ローなのか?」
そう問いかけた相手を見つめて、右頬だけをあげて笑う。
「本名を呼ばれたのは、久しぶりだ」
そう言ってやったら、相手は大きな溜息を吐いた。そしてベッドに座る俺に更に距離を詰める。
「これから、どうするつもりだ?」
そう問いかける相手に、笑いかけて問う。
「噂だけど『トラファルガー・ロー』は生け捕りにしろって言われてるんじゃないか?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ大丈夫だ、生かされている間になんとかして逃げ出すよ」
情報ありがとうなと言ったら、彼は神妙な面持ちで、ここからなら三日あれば着くとなにかをさし出した。
ある島の名前が書かれたエターナルポースと、食糧と水だった。
「あんたは賢いし、航海術くらい身に着けてるだろ?買い出し用の船奪って、ここから逃げたらいい」
「お前は、どうするんだ?」
俺を逃がしたってことがバレればただでは済まないはずだ、この船の奴等からすれば、かなり見返りのでかい相手との交渉なんだから。俺は足の生えた財宝だ。みすみす逃がしたとあれば、行く末なんて見えている。
「あんたが助けてくれなくちゃ、もうなかった命だからなあ」
笑ってそう言う男に、胸の奥がじわりと痛んだ。
ああ嫌だ、出てくるなと目を閉じてゆっくり首を横に振る。
同情、傷心、そういう感情を揺さぶるものは嫌いだ、正常な判断を揺るがすきっかけになる。
それより気になったのは、一瞬だが彼の目に宿った影だった。
あれは知ってる、鏡を見つめると覗きこんでくる、自分の中にある暗い穴。それと同種の何かだ。
そういえば、以前こいつは言っていた「わけなしの海賊はいない」と。それは暗に、自分もわけありだという事だったか。

「顔と名前を知られた以上、この船の奴等を生かしておくわけにはいかない」
「ちょっと待てよ……このまさかとは思うが、あんた、この海賊団を全員、消すつもりか?」
船長は三千万の賞金首なんだぞ、と慌てたようにペンギンは言う。それがどうしたと、俺は返す。無謀だと言うのか?もし、ここで始末するのが無謀なら、どの道逃げるのも不可能だ、違うかと問いかければ、ぐっと返答に困って口をつぐむ。
そんな彼の腕を掴みそっと耳打ちする。
「逃がすつもりなら一緒に来い、俺は海に落ちたら死ぬ。その時に、助けてくれる人間が必要だ」
そう言うと、彼は意外そうな顔をした。あれだけ一人にしろと邪見に扱われてきた相手から、一緒に来いと言われれば不思議に思うのも当然かもしれない。
「この船の奴等を始末して、俺とここを脱出する、いいな?」
そうと決まれば準備しなければと、荷物をまとめ始めた俺に、いいのかよと彼はたずねた。
「なにがだ?」
「もしかしたら、俺があんたを裏切って、そいつのところに突きだすかもしれないだろ?」
「その時はその時だ、お前一人程度だったら切り刻むのはわけない」
切り刻むってと言う相手の前で、Roomを展開しメスで心臓を取り出す。
「ちょっ!なに……」
手の中に現れたものを見て、彼は唖然と口を開く。
「これはあんたの心臓」
「俺の心臓って、そんなっ!」
がっと苦しむ声と共に胸を押さえて、その場にうずくまった相手を見つめ、掴んでいた手の力を緩めた。
「わかったろ?今すぐ潰されて口封じされたくないなら、俺の脱走に協力しな」
「それは……脅しってことか?」
「どうせ捨てるつもりの命だろ?俺一人だけを助けるか、命賭けで俺と一緒に付いてくるか、どっちか選べって言ってるんだ」
そう言うと、ペンギンは心臓を掴まれていながらもニヤリと笑った。
「トラファルガー・ローさん、あんた、ここの船長よりも頭に向いてるんじゃないか?」
「そりゃどうも。だが今は『カルディア』だ」
その名前を使うのは、まだもう少し後って決めてるんだと言うと、彼はそうかと言って立ちあがった。
「いいよ、その賭け乗った」
準備してくるよと言って、部屋を出て行った相手を信じるかどうか、まだ決めかねている。
心臓は確かに俺が握っている。でももしも、これも全て罠だったなら?それを考えている暇もないかと思い直す。いざとなれば全て切り刻んで、海にでも投げ捨てればいい。

早いとこ片付けた方がいいなと判断して、適当な医療器具をまとめて、先にシャンブルズで買い出し用の船に積んでおく。そして医療器具だと言って隠し持っていた箱から鬼哭を取り出した。
刀を手に甲板に出ると、船員達は俺を見て固まった。宴でもしていたのか、酒や食べ物を広げて騒いでいたらしい。戦いに勝った事よりも、俺を使った交渉に対する前祝いだったのかもしれない。
「船長、悪いんですけどちょっと用ができてしまったんで、俺この船を降ります」
右頬を吊り上げて笑うと、相手は馬鹿にしたように大声で笑うと立ちあがった。
「おいおい、バカ言うんじゃねえよクソガキ。てめえの一存でここから無事に降りられると思ってんのか?」
所詮、スラムのガキだろうがと笑う相手に。俺も笑いかける。
「切り刻まれたくなかったら、その口閉じたほうがいいぞおっさん」
そう言ってRoomを展開しメスで船長の心臓を奪い取る。先程のペンギンと同じく、呆然とする一同の前で手の中にある心臓に力をこめる。気持ち悪い男の悲鳴に、船員達が騒めく。
「悪魔の実の能力者を捕まえるなら、海楼石の手錠でも持ってきな、こんなに自由じゃ逃げてくれって言ってるようなもんだ」
「てめえ……お前ら、このクソガキを捕まえろ!」
そう言われて、襲いかかってくる船員達。斬りかかろうとしてきた者を、シャンブルズでバラバラにしようとした瞬間、彼等の体が撃ち抜かれた。
「援護は任せてくれよ、カルディアさん」
背後から声をかけてきたのは、銃を構えたペンギンだった。よそ見しない方がいいですよ、と言いながら更に二発、しっかりと船員の頭にぶち当てた。
「ミスって俺に当てんじゃねえぞ」
「そんなノーコンじゃないですよ!」
正確に相手を撃ち抜く男に、言葉通りの実力があるのはわかった。こいつは使える。そう確信すると同時に、俺もRoomで船を包んだ。
手にした鬼哭を振るう、太刀筋に入っていないと安心したであろう船員の体が、綺麗に真っ二つになる。そこからメスで内蔵を取り出して、刀で突き刺せば、絶叫が響き渡る。
「なっ……なんだ、こいつ」
バケモノか。
その言葉に、俺は右頬だけ釣り上げて笑う。
「そうだよ、俺は、バケモノだ」
この中にある限り、俺の思うがままに捕えた体は切り刻まれる。どんどんと、海賊船の船員達はバラバラになっていく。
ついでだと思い、バラけたパーツをタクトで海に放り出す。報復されても面倒だ、やるなら徹底的に排除しておかないと。

「カルディアさん、そろそろ終わりでいいんじゃないですか?」
あらかた片付いたでしょ?と銃を片手に問いかけるペンギンに、まだ一人残ってると言って、苦しむ声の聞こえる船員達を置いて、最後に生き残っていた男の前に出た。
四肢を切り離したちめに、身動きが取れなくなっていた船長は、俺を睨みつける。
「残念だったな、あんたが船に乗せたのはスラムのガキじゃない、闇医者でもない」
俺はバケモノだ。
そう言って、抜き取っていた心臓を海に放り投げた。

生き残りはもういない、そう判断しペンギンと一緒にシャンブルズで買い出し船に移動する。
「……これどうやって」
急に景色が変わったことに驚いた相手が問う。
「これも能力の一部だよ」
瞬間移動かあと関心している相手に、さっさと逃げる準備するぞと告げる。
どっと疲れを感じたので、俺はさっと買い出し船のロープを下ろして帆を張った。
夜の海に降りた船の上で倒れこんだ俺に、大丈夫か?と心配そうにペンギンが声をかけてきた。
「能力の使いすぎだ、しばらくして体力が回復したら大丈夫だ」
それまで、船の操縦を頼むと言うと彼はわかったと、積み込んだエターナルポースの指針を見つめ、舵を切った。
「これで、俺達も賞金首かもなあ」
遠のいていく船を見てそう言う。
「証言者がいないんじゃ、懸賞金もかからねえよ」
ああでも、五千万ベリーの賞金は欲しかったなと呟く俺に、硬い顔のままペンギンは、あのと問いかけてきた。
「やっぱり。あいつら全員、死んじまったんですか?」
そうしなきゃどうしようもないからな、と答えた。俺はまだ、逃げなきゃいけない。
「俺に賭けたのはあんただ、どんな結果だろうと、決めたのはあんた自身だ」
そう言うと、俺は少しだけ浅い眠りについた。

エターナルポースを手に三日ほど航海すると、確かに島に辿り着いた。
発展している港町もあったものの、そんな所に船をつけるのはまずいと更に島を半周ほどして、小さな村がある岸部に止めた。
流れ着いたよそ者を嫌そうに見つめる村人に、とりあえず、商船が難破したと嘘をついた。俺は医者の勉強をして旅をしていた学生、ペンギンは船に乗っていた船乗りだと言って、なんとか上陸して宿を取ることができた。
医者のいない村だったので、俺がもぐりでいいなら治療をすると言ったのは大きく働いた。流れ者が多く、治安が悪いものの政府が動くような大きな問題があるわけでもない、島民の中にも後ろ暗い奴は何人もいるんだろう、こういうところで生きるのは楽だ。
逃げる前に船から食料の他に、宝をいくつかくすねてきたのが、かなり役に立った。換金所で金に変えると元金には充分すぎる額になったので、空き家を借りてちょっとした診療所を開くまで、さほど時間はかからなかった。
元から居た住人達によると、政府の方に正式な医者の駐在も頼んでいるらしい。いつやって来るかわかりはしないがと残念そうに言う相手に、治療をほどこしてやると大変喜んでくれた。
必要以上にやましいことをしなければ、いい隠れ蓑になりそうだと密かに思う。
とにかく、政府から派遣される医師か、そのための視察団が来るまでの間は繋ぎみたいなものだ。
後ろ暗いところがある身としては、長くやっていくこともできないし、恩賞を受けて派遣してもらう医者を敵に回すのは村の人間にとっても厄介だ。政府の監査で流れ者が減れば、それだけ治安もよくなるだろう。だからそいつがやって来るまでの間に、金を貯めて出て行く必要がある。

「医者にピッタリの能力ですね」
俺のことを気に入ったらしいペンギンは、もぐりの診療所を手伝いつつ、俺のオペオペの能力についてそう言った。
これ以上はあんたも面倒事に首をつっこむ必要はないだろうと、口止め料と逃亡への謝礼として戴いて来た宝を半分やると言ったのに、それを受け取らず傍に居ると言い張ったのだ。
まあ、もしここで受け取っていた場合は口封じを考えていただけに、お人好しと思いながらも、手を染めるようなことをしなくて済んだことを非常にありがたく思っている。
医者としての技術はまだ磨いている最中だが、家事や雑用は器用にこなしてくれるし、用心棒としても腕は立つので、医療費を払えないと暴れるごろつき退治には有効だった。その反面で、人の良い彼のお蔭で島の情報や噂もしっかりと耳に入ってくる。

「そういえば、聞きましたか?あいつらの噂」
軽い口調でそう問いかける相手に、なんだ?とたずねる。こういう時の話は、大体、俺が知らない情報だ。
それにしても、つい先程まで、金はねえと言ったごろつきを縛り上げ、拳銃をつきつけて脅していたとは思えないなと、改めてこいつの神経の太さと実力に関心する。
ペンギンによると、あの海賊たちの行方について情報は海の怪物の仕業として、噂が広まっているらしい。
まあそうだろう、突如として船員がわけもわからずに切り刻まれた上に、誰もその手柄を名乗り出ないのだから。
「怪物の仕業には違いねえな」
「自業自得だって言う奴が多いですね。あんまり評判よくなかったから」
町の略奪なんかで、生計立ててたからなあとペンギンは思い出しながら呟く。
奪って来た宝の他にあったエターナルポースは、標的としてたまに立ち寄る町や村のものだったらしい。金が溜まった頃合いを見て、どこかに移動した方がいいなと思って、入手しておいたのだが、良かったかもしれない。
こういう街は、政府から見放されて野放題にされてる可能性はある。いつか、隠れ蓑に使えるならそうしようと思った。

「お前はなんであの船にいたんだ?」
「ん?なりゆき上ですかね」
そう笑って答えるが、続きをなかなか言おうとしない。こいつにも踏みこんでほしくないものがあるんだろう、ならこれ以上は聞く気はなかったのだが、しばらくして、敵討ちしようと思いましてと呟いた。
「誰のだ?」
「親父です。海兵だったんですけどね……まあ海を、墓場にしちまったんですよ」
あの船長のせいでね、と深いため息を吐いた。
「産まれてすぐのことだったから、俺は一度も親父の顔見てないんです。お袋は、海兵で出てる親父ほっといて外に男作る女だったから、子供の俺もあんまり見てくれなくて、ばあちゃんに育ててもらって……まあ寂しかったんです、子供の時はね。だから、勝手に家族放り出して死んだ親父に腹が立って、そいつを殺した相手にも腹が立って、ばあちゃんが死んだら家を飛び出して来たんです」
それからなんとかあの船に乗りこんだものの、いつどうやって仇討ちの機会を狙おうか、考え続けていたらしい。
「だから、あんたを逃したら、あいつの首取って死んでやろうと思ったんですけどね」
生き残っちゃいました、と軽く笑ってペンギンは言った。
そうやって、なんともない顔で笑う相手に、俺の中にある墓穴から、痛みと共にあの笑顔が浮かんできた。
お人好しな奴は、どいつもこいつも一緒なのかと、呆れてしまう。
「今はあんたに恩返ししたいと思ってますので、とにかく捨てれらないように、力つけてついて行きますよ」
そう言って笑った男に、なら好きにすればいいと告げる。
待合室の方から声がしたので、出て行こうとしたペンギンにちょっと待てと声をかけた。
「昼飯、なんか暖かいもんが食いてえ」
作っておいてくれるか?と問いかけると、彼はちょっと驚いた顔をしてから、勿論ですと嬉しそうに返事した。

村の野菜を使ったというポトフは、美味しかった。三食ちゃんと食べてくださいよと言う相手に、用意してくれるならと返せば、それくらいお安いご用ですと笑って返された。
「口に合います?」
「ああ、美味い」
人が作った飯を食べるのは、三年ぶりだった。最後に食べた手料理はもっと下手で、野菜が切れてなかったり、味付けがおかしかったりしたものだ。
器用なもんだなと感心する俺に、一人で過ごすことの方が多かったんでと、寂しそうに笑った。祖母に教わったという料理は、一人でも生きていけるようにという、はからいだったのかもしれない。
自分で身の回りのことは出来るよう、器用になったと彼は零した。
「俺も一緒にいただいていいですか?」
「いいぞ、食えよ」
それじゃあ失礼します、と俺よりも少し多めに持った皿を手に、目の前の席に着いた。
「カルディアさん、あんたの家族は?」
「死んだよ、みんな」
それだけ言うと、黙って彼の作ったスープを飲んだ。どこか懐かしい味がするのは、母親が似た料理を作っていたからだろうか?そんな気がするだけで、実際どんな味だったのか上手く思い出せない。
「いつのことですか」
「十歳の時だ、殺された。家族全員な」
それから、俺はずっと逃げ続けてるそう言うと、彼は神妙な面持ちでそうですかと静かに呟いた。
同情されたくはなかった。本当のことだからだ。
「美味いよ、お前の飯」
ちょっと明るい声でそう言うと、彼は顔をあげて笑いかけた。
「それは、良かったです」
バイバイと笑う男の声が、頭をよぎった。

政府からの視察団が来ると聞いて、俺とペンギンはさっさと診療所を畳んだ。
今はどこも医師が不足しているらしく、どんだけ申請してもなかなかに田舎にまで医師を渡す力がない。視察が終わっても医師が必ず来るとは限らない。それでも、流れ者に頼るよりはいいし、俺はみつかるわけにはいかない身だ。早く出て行くのにこしたことはない。
田舎とはいえ、貧乏で仕方ないスラム街ではなかったので、村人からは治療に合った金はもらえたし、治療費でなくても食糧や酒などと引き換えに診察をしたケースもある。対価を払えば腕はいいと、評判は悪くなかった。
足元の暗い奴からは、逆に少し上乗せして代金を取っていたが、それでも払ってもらっていた。若干、手荒な真似をして更に上乗せになった奴も居たけれど。
それもあってか、この周辺でごろつきが揉め事を起こしにくくなったらしい。怪我をしたら、喧嘩相手より怖い医者に行かなきゃいけないとなると、腰も引けるらしかった。

「本当にいっちまうのかね?」
最後の診察の日に、村の奴等は俺達にそう言った。こんな小さな村だ、帳簿にない人間が二人も紛れていては政府にも示しがつかないだろう。そう言って、残ることはできないと、きっぱり残留を断った。
貯めた金もそろそろいい金額になっている。医術の腕も磨いたことだし、次の島に出て同じようにもぐりの医者を続けることくらいわけはないだろう。

「なあドクター、貯めた金を何に使う気なんです?」
「ドクターってら呼び方はやめろ、ペンギン」
いいじゃないですか、みんなからそう呼ばれてますよ、ドクター・カルディアと、彼は笑って言う。
「それで、コツコツ貯めた金をどうする気なんですか?老後のためとかでもないでしょう?」
この一年間の間に医療助手として、俺の元で勉強してきたペンギンがそう問いかける。
生活費と医療器具、薬品の代金、あと住み込みの助手とはいえ、こいつへのちょっとした給与を与えていたが、それでもなお余っていた金を見て彼は首を傾げていた。
「船を買う」
「船を?」
「医療機器をたっぷり積んだ、船を作るんだ。一箇所に落ち着いて診療所は開けないからな、なら病院ごと移動すりゃいい」
そう言ったら彼はにやりと笑った。
「移動する病院かあ、ドクターが船長を務めるんで?」
「当たり前だろ?闇医者の病院だ、海賊相手にたんまり稼いでやろうじゃねえか」
それじゃどっちが海賊かわからないなと言うペンギンに、いいじゃねえかと呟く。
「船員がどれだけ怪我しても平気だろ?」
「怒りを買ったら、その船長に叩っ斬られそうですけど」
大丈夫だ、体をバラバラにしたって生きてるからと言ったら、その方が嫌だと笑って返された。
「お前どうするんだ?」
これからも付いてくるのかとたずねると、野暮なこと聞くなと相手は笑った。
「あんたに一緒について行くって前にも言いましたよね?」
行くに決まってるでしょ、とほほ笑む相手に俺の心臓が痛み出した。
ああ、そうかこれは古傷だ。
こういう馴れ合いには、まだ慣れていない。

目を覚ますと、そこは見慣れた船長室だった。
昔の夢を見るなんて爺さんじゃないんだからと思ったところで、耳の中に伝わる地響きのような振動音に気づいた。
隣にはあの日からずっと、俺について来るペンギンが寝ている。
医者が不眠症ってどういうことだと笑って言った相手に、静かな場所じゃなければ落ち着いて眠れないのだと言ったことがある。
すると、なにを思ったのか彼は、俺の耳を塞いで寝てくれるようになった。
今でも時折、こんな風にしてやって来る。俺の気分の機微について、どうもこいつは嗅ぎ分けるのが上手い。
でも、これじゃあ駄目なのだというのも、どこかでわかっているのかもしれない。
耳に押し当てられた手からは、ペンギンの中に流れる血の音がする。体内の僅かな音の変化も見落とさない俺からすれば、これは騒音でしかない。
普段よりも脈拍は早め、今は睡眠としては浅い方だろう、俺が少しでも身じろぎすれば起こしてしまうかもしれない。右手を俺の頭の下に敷いていることから、少し血流が滞っていることもわかる。
世界は、そう簡単に静かにはならない。

「ペンギン、起きろ」
「んー?……アイアイ、せんちょー」
お呼びですか?と言いながら目をこすって起きた相手に、もういいから船員室で寝ろと告げる。
「いいじゃないですか、船長の部屋、広くて寝やすいんですよ」
ジャンバールが来てから、寝床が更に狭くなったと文句をつける相手に、バラされたいかとたずねる。
「冗談きついですよキャプテン!」
両手を挙げて降参するポーズを見せる相手に、俺は怒りの矛先を静めた。
そのかわりに持ちあがってきた言葉は、もうこんなことしなくていい、といういつも通りの拒絶だった。
「いいんですよ、俺が好きでやってることなんで」
「それが迷惑だって言ってるんだ」
そう言いながらも、命令して止めさせる気にならないのは、ギリギリと締めつけるように痛みがこみあげてくるからだ。
離れないでほしいと手を伸ばす、あの人の夢を思い出して、掴みそうになるのだ。
そんな弱さを奥歯で噛み潰すと、ほんのりと舌先に苦味がにじみ出てきた。
振り払うようにゆっくりと息を吐いて、相手の頭に触れる。帽子を取った相手の髪を、犬のように撫でつけてやる。
「……船長は、もうちょっと素直になった方がいいと思いますよ」
「素直な俺なんて気持ち悪いだけだろ」
そんなことないですよ、とペンギンは笑う。
「俺達は、あんたにもっと幸せそうに笑ってて欲しいのさ」
んじゃ、俺は船員室に戻るんでと頭を下げて出て行った相手を見送り、再びベッドに横になった。

あいつはいい奴だ、こんな俺を支えてくれて、助けてくれて、気にかけてくれて。それに甘えるのはよくないと胸の奥に空いた穴へ、それを葬り去る。俺の体に空けた墓地には、多くの遺体が眠り続けている。
泣くな動揺するな、平静に生きろ。侵食されない凪の状態があの人のためになる。
深海をいく船の中は低い機械音が鳴り響いている、海の水圧にも耐えきれるように、船体全部が機械でできているために、進んでいる間は機械音が止まらない。
これでいいと思う、うるさいくらいで今はいい。
目を閉じると、闇の向こうにあの人の笑顔が張り付いている。

あとがき
ローはドフィから逃げる間、偽名使いながら、闇医者してたらいいなぁと考えてます。
偽名の方の由来については、その内に触れたいです。
次回はシャチさん登場の予定ですー。
2014年12月31日
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