もしも願いが叶うなら…


星に願いを…


夜風に当たっていると、心が落ち着いてきた。

闘いで緊張した心を静かにさせる為に、野営地の手前で足を止めたのだ。
見回りからの帰り、一人の時間というのは酷く大切だと痛感する。

良い夜だ。

静かで、落ち着いてて、無駄に気を張ってる俺に対して、もっと気を楽にしろ…と言う様に、時々優しく風が吹く。
その優しさは、まるで……。
そこまで思って、溜め息。

「フリオニール……」

俺の思考の端に、気が付けばアイツがいる。
悪い事だとは思ってない、ただ…どうしたらいいのか分からない。
側に居たいと願う、その願いは最初から叶えられているハズなのに。
もっと近くに居たいと思う。

彼の唯一無二の存在。

望むなら、そんな存在になりたいと思う。


勿論、現実はそうじゃない。
仲間の一人として、またその夢を語った相手として、俺の事は多少気にかけてくれているかもしれない。
だが、俺が望むのはその程度の存在ではなく…。
彼が、あの夢を語る時のような温かみのある輝く目で、俺の事を見てくれるようにと、そう思うのだ。

「夢か……」
彼の持つ純粋さには敵わない。

「星にでも、祈るか……」
晴天の夜空に無数に輝く星、そのどれに祈りを捧げよう。

この無数に存在する星々のどこかに、俺の声を聞いてくれる星があるかもしれない。
俺の願いを聞いてくれる星が、あるかもしれない。

「幻想だな…」
だが、幻想を抱くのは俺も同じ。
なら、その幻想にすがり付くまで。


もしも…願いが叶うなら…。


『夢を抱くアイツの隣に居たい』




後書き
星に願いを…第四弾、クラウド編。
移動時間に書き上げました、電車の中で携帯片手にカチカチと練成。
それにしても、自分はクラウドをそんなに片想いでいさせたいのか…まあ、今回のシリーズは片想いばっかりなんですが(だってそうじゃないと話が書けない)。
幻想に憧れを持つ、現実主義者なクラウドを一応は目指そうとしたのです…途中でそんな考えが吹っ飛んだのは、言うまでもありません。

さて、次回はティナ編…ティナがフリオの事好きだとか、そういう方向には持って行く予定はないので、ただの小話になります。

七夕が近付いてきてます、毎日一話上げたら、確実に間に合うんですが…。
2009/6/30


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