もしも願いが叶うなら…


星に願いを…


美しい星空というものは、美しいレディと見るものなんだけど…。

「何で野郎ばっか…」
はぁ…と小さく溜め息を吐くも、現状は変わりやしない。

遠征の帰り、日が落ちてきて急いで野営地へと帰る、俺達の頭上には澄み渡った夜空。

「いいじゃんかジタン、どうせ野営地に戻ったって男ばっかだしさ」
「そんな現実、思い出させるなよ!!」
ちょっとでも、枯れた現実を忘れたい俺に対して、仲間は逃避する術を奪う。

「……早く帰るぞ」
俺とバッツより少し先を歩くスコールが、ちょっと俺達を振り返ってそう言う。
「おい!待てってスコール!」
笑って相手へと走り寄るバッツの背を見て、俺は再び溜め息を吐く。

彼等が誰の笑顔を見たくて足を早めるのか、その理由を知ってるからだ。


男ばっかりの俺達の中で、仲間が誰に対し想いを募らせているのか、残念ながら俺は知ってる。

何故か皆の心の中には、あの純粋な義士がいるらしい。
彼に想いを募らせている人間なら、誰が自分のライバルで誰がそうでないのか位分かってる。

気付いてないのは本人と、仲間の少女くらいなものだ。
そのクセ、仲間の仲は破綻するどころか、何事もなく上手く回ってる。


不思議な事もあるものだな、と思う。


それは渦中の想い人が、博愛主義なせいだろうか?

だが、この崩れそうで崩れない関係は、案外、居心地がいい。


「おーい、ジタン置いて行くぞ!」
立ち止まっていた俺に、前を行く仲間がそう呼び掛ける。
「今行く!!」
そう大声で答え、二人の元へと駆ける。


もしも…願いが叶うなら…。


『俺達を、この関係のままでいさせて欲しい』




後書き
星に願いを…第二段、ジタン編。
589はやっぱり仲良し、っていうか仲良しでないといけないでしょう。

私にとってジタンはノーマルな方です、普通に女の子が好きです。
なので、彼等の恋路を傍から見守る立場にあります。
否定はしない、けど…現在の皆の関係が良好なので、できればこのままでとか思ってるそんな人です。

でもちょっと、ジタンが攻めになる話も面白いかな…と、思っていたりもします。
作成する予定は、今のところありませんが……。

授業の合間にちゃっと練成したネタです、なのでもの凄く短い。
さあ、次はスコールさんだ。
2009/6/25


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