もしも願いが叶うなら…


星に願いを…


満点の星空って、この事を言うんだろうな…なんて思いつつ、オレはほっと息を吐いた。
今日の夜の見張り番はオレ。
皆はもうすっかり夢の中なんだろう。

アイツも、きっと皆の側で寝息を立てている…。

「…って、当たり前ッスよね」
明日の為に休まなければ、この闘いの中で生き抜くことなんてできない。
仲間の、そして彼の安眠を自分が守っているんだ、なんて思うと、ちょっとオレって良い奴だよな…なんていう気になってくる。
まあ、何時もやってるわけじゃないんだけど。

「…………はぁ」
だけど嫉妬してしまう。

オレの知らない所で、どんな風な夢を見てるのかとか…その夢の中で、一体誰と一緒にいるのか、とか。
そんなどうしようもない、見えない何か・見えない誰かへの嫉妬が、オレ胸中に渦巻いている。
小さい男だって言われてもしょうがない、だけど、気になるものは気になるのだ。

ただ、面と向かって尋ねるにも気が引ける。

だってオレは所詮、彼の仲間の一人でしかないわけで。
オレが望むような関係になるには、まだまだ努力が必要なわけで…。
しかも、相手は色恋沙汰にはとくと疎いあの青年。
いい加減、コッチの気持ちに気付いてもいい頃なのに…彼のオレへの態度は変化なし。
前から変わらずに、年下扱い。

「そりゃ、のばらは頼りになる兄貴みたいな人ではあるけど…」
オレにとっては、もっと特別な存在なんだ。

「のばらの事、好きなんッスけどね…」
溜息混じりにそう呟けるのは、今ここに誰も居ないからだ。
誰かが聞いてたらすっごく恥ずかしいんだけど、しかし相変わらずオレの周囲には静かな空気が広がっている。

「もうちょっと、大人になれたらいいのに…」
膝を抱えてそんな事言ったって、酷く子供染みた行動に見えるのは分かってる、分かってるけど…いいだろ、別に。
オレだって、もう少し背伸びしてアイツに近付きたいんだ。

満点の星空を眺めながら、オレは溜息を吐く。


もしも…願いかが叶うなら……。


『フリオニールにとって、特別な存在になりたい…』





後書き
近所の商店街で、七夕飾りが出されていました。
もうそんな季節か…と思って、そのまま便乗してみます。
基本的にフリオ総受けの方向で、まあ基本的にはですよ。

という事で第一弾がティ→フリオ。
ティフリいいと思うんですがあまり書かない、だってティーダさん書くと全部話が似通ってくるから。
好きなんですけどね、ティーダ…もちょっとキャラの特徴をつかみたいところです。

七夕までに十人全員書き終わればいいな…と思いつつ、ちょっと無理っぽいなと思ってます。
できるだけの努力はします。
2009/6/24


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