もしも願いが叶うなら…


星に願いを…


目が冴えて眠れなくなってしまった…。

気分が落ち着かない、こういう時は夜風に当たってくるのが一番いいんだ。
側で寝息を立てている仲間を起こさないように気をつけながら、そっと寝床を起き出す。
見張り番に「ちょっとその辺を歩いてくる」と笑顔で言うと、野営地から出て近くをゆっくりと歩く。


雲一つない空っていうのは、見ていてとても気分がいい。
青空でも、星空でもそれは同じ。
自分の見たいものが、隠れる事がない。

「こればっかりは、どうしようもできないからなぁ…」
そう、人の力ではどうしようもない。

それは意思のない天気の問題。
意思がないからこそ彼等は自由に動き回れる、他人の事なんてお構いなしに。
彼等はそれで、何も感じないからだ。

そんな意思のない存在は、想い人にも通じる。

僕の気持ちを、一切理解してくれない想い人…。
だから、彼は無意識の内に僕等を喜ばせも、悲しませもする。
そんな意思の無い、だけど憎めない存在。


だけど、意思があるからこそ性質の悪いものもある…。

「例えば、“人”とかね…」
想い人の周囲に集まる仲間達、彼等の中にはそんな意思を持って近付く仲間もいる。
他の人間に、彼を見せなくするために。
光を遮る、雲のように…。

だけど、誰かにとってはきっと、僕が雲のような存在なんだろう。
誰かにとっては、きっと僕が邪魔な存在。
僕も彼等も意思があるからこそ、相手の邪魔をしたくなるんだ。
自分の見たいものを、できれば誰の目にも触れさせたく無いから。

意思のある僕等は、そうやって周囲の何かを意識して、邪魔していく。


恨みっこは無しだ。


誰が最終的に、彼を手に入れたって。
誰かの空を永久に曇らせてしまったって、相手を恨んじゃいけないんだ。

だけど望むなら…見上げる空は、何時までも晴れてて欲しい。
そんなお願いなんて、本当は叶うはずがないんだけど……望むだけならいいでしょ?


もしも…願いが叶うなら…。


『晴天の空を僕だけのものに』





後書き
星に願いを…第七弾セシル編。
バッツより、ブラックさは抑えてみました、2話続けて黒い人は駄目でしょう。

さて、セシルさんがどうして目が覚めてしまったのか…。
気分が悪いと言ってる辺り、何か嫌な夢でもみたんでしょうね。

ちゃんとしたセシフリとか、初めて書きました。
なんなんでしょう、この人の絡みは苦手なんですね…なんか想像し難いのかもしれません。
ちなみに管理人はブラックなセシルさんも、ほんわかした優しいセシルさんも好きです、なので作品によって性格が180度変わる可能性があります(バッツも同様)。
どうでもいいんですが、セシルさんには夜空が似合いますね。

次回はオニオンナイト編。
当たり前ですけれども彼はティナ絡みの話ですよ、新境地開拓はしません。
2009/7/4


BACK