もしも願いが叶うなら…


星に願いを…


「綺麗ね」
星空を見上げてそう言うと、隣を歩く少年がつられて空を仰いだ。
「本当だね」
ちょっと微笑んでそう言うと、彼は空に輝く星を指して、「こんなお話知ってる?」と、私に問いかけた。


空に架かる星の川、その両端に離れ離れになった恋人が住んでいる。
彼等は天界の掟を破ったから、離れて暮らすしかないんだけれど、一年に一度だけ会う事ができるんだって。
天の川に白い鳥が飛んできて二人の為に、橋を渡してくれる。


「その日の夜に、星に願いをかけると叶うって、そんな伝説があるんだ」
「どうしてお願いを叶えてくれるの?」
「えっ…どうして、って言われても……」
そういうお話なんだよ、と彼は困ったようにそう言う。

どうして、彼等は人の願いを叶えてくれるんだろう?彼等の方が、自分達の願いが叶う事を祈ってるはずなのに。


そこで脳裏に現れたのは、夢を追う仲間の、彼。
彼も、自分の願望が実現する事を祈ってる。

のばらの咲く、平和な世界。

とても、素敵な夢。
彼は何故、その夢を追うのか…。

あっ…そっか。


「きっと、皆に幸せになってほしいからだと思うの」
「えっ…」
「願い事を叶えてくれる理由」
自分達だけじゃなくて、他のたくさんの人達も、笑顔になってほしいから。
幸せになってほしいから。

「ティナは凄く優しいんだね」
「ううん、優しいのは私じゃないよ」
優しいのは、平和を祈る彼で、私はそんな人になりたい。
そんな願望を胸に抱いてる。

「ねえ、お願いしよう?」
幸せになってほしい、皆の為に。


もしも…願いが叶うなら…。


『皆が、笑顔でいられますように』




後書き
星に願いを…第五弾、ティナ編。
ようやく半分まできましたよ!折り返し地点に立てましたよ!!

ティナの一人称は初めてなんですが、なんか新鮮な感じで楽しかったです。
ただ…これでもか!というくらいに何事もない話になってしまいましたが…。
自分の中ではティナは平和な子なんです、優しい良い子なんだと信じてます。
あっ、名前出てきませんでしたが、ティナと一緒に居るのは勿論オニオンナイト君ですよ。
DFFプレイしてて思ったんですが、彼は名前で呼ばれる事あんまりないですよね…今回はそれに合わせてみました。

次回はバッツ編。
先に忠告しておきますと、バッツが純粋な良い子だと思ってる方は、気をつけた方がいいかもしれません。
2009/7/1


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