恋をすると人は綺麗になる…とか、よく言うけど
アレは本当に当たってるなと、最近…本当に思った


ああ……マジで、もう限界

Limitation

最近…………兄貴が、色っぽくなった。

別に惚気でも何でもなく!!これは誰の目からしてもそう感じられるくらいに、兄貴は変わった。
具体的にどこが?と、言われると…それは微々たるものなのだが…その身を包む雰囲気が変わった。
時折見せる仕草や表情、それがどこか大人びた艶を帯びていて…なんていうか、凄くエロい。

授業中に黒板を見つめる横顔とか、休み時間とかに少しボーとしてる時とか、なんか大した事じゃないんだけど、何か違う。
……ああ、もう!何て言ったらいいか、自分でも分からない!!
とりあえず、兄貴が確実に変わったという事、これだけは確かだ。

そして、そんな兄貴に対し、以前にも増して心臓が高鳴りっぱなしの自分がいる。
寝ても覚めても…なんて言葉の通り、脳内では兄貴の事ばかり考えていたりする。

「あー……スッゲー、シたい」
最後にそんな言葉で締めくくった俺を、バイト先の同僚が眉をしかめて見つめる。
「…で、その惚気話に一体何の意味がある?」
いやいや、お前だって男なら俺の気持ちは分かってくれるだろ?な、スコール。

「性欲が強すぎる恋人を持つ、お前の彼女はさぞ苦労してるだろうな、とは思う」
そんな俺に、冷徹な眼差しを向ける同僚は、俺よりも“俺の彼女”の味方らしい。
「要約すると、彼女と寝たい…という事だろ?」
「まあ、そうだな」
俺の今まで熱意を込めて喋ってきた内容を、そんな一行足らずで説明されてしまうのも癪なのだが、まあ…突き詰めてしまうとそういう事だ。
流石に、相手が居るのに右手のお世話になる気はないさ。

「惚気以外の何物でもない」
そんな俺の言葉を、スコールは正面から一刀両断してきやがる。
「ちょっ!お前酷くないか!?俺は真剣に悩んでるんだぞ!!」
「悩むなら、もうちょっとまともな事を悩め、付き合ってるコッチが迷惑だ」
露骨に嫌そうな顔をすると、溜息を一つ吐いてスコールは立ち上がった。

「悩んでいるよりも、ハッキリと相手に言って早々に解消した方がいいと思うぞ」
「それができれば、苦労しないし……」
涙目でそう言う俺に、「頑張れ」という投げやりな台詞だけ残して、相談役は先に帰って行った。


「ただいまぁ…」
何だかんだでドップリ疲れて家に帰ると、奥から顔を出す最愛の人の姿。
「お帰り、遅かったな」
笑顔で俺を出迎えてくれる、エプロン姿の兄貴に…クラリとする。
「うん……疲れた。今日の晩御飯、何?」
動揺から会話の中に少し空いた間は心労の所為にしておいて、靴を脱いで家へと上がる。
「ゴメンな、実はさっきまで買い物に出ててさ、これから夕飯の用意するから…先に風呂に入る?」
「ん……いや、いいよ。先にご飯食べる」

何?この新婚さんみたいな会話…。

「そうか、じゃあ急いで支度するからさ…洗濯物あるなら、先に出しておけよ」
ポンと俺の背中を叩き、台所へと戻ろうとする兄貴の…その腕を取る。
「ん、どうした?」
振り返って俺の事を見つめる、兄貴のその無垢な表情が、酷く俺の心を揺さぶる。


純粋なんだか、可愛いんだか、色っぽいんだか……。


「ねぇ、キスしていい?」
「えっ……ちょっ!ちょっと待っ、んっ!」
抵抗しようとする兄貴を抱き寄せて、その唇を塞ぐ。
軽いモノで済ませようとしていたのに、押さえきれなくなってきて…重ねた唇のその奥へと、舌を侵入させる。

「ん……んん、ふぁ…ぁ、ん」
思った以上に熱い兄貴の舌に自分の舌を絡めて、咥内を侵食していけば、力が入らなくなってきたのか俺へとしがみ付く兄貴。
求められてる?俺?
チュッという音を立ってて唇を解放してやれば、浅い息を繰り返す兄貴。
「ん……はぁ、も…満足したか?」

そう尋ねる兄貴の、恥ずかしそうに赤く上気した頬、それとは反対に反抗的な目と、どこか情事の後を思わせるような台詞……。
ゴクリと、生唾を飲み込む。
恥じらいと挑発のそのアンバランスさで、余計に際立つ兄貴の色気…。


俺の中で理性の糸が…切れた。


「もう、無理…我慢できない……」
「何が…って、ちょっ!待て、何」
廊下の壁に兄貴を追いやり、兄貴の着ている衣服へと手をかける。
「コラ!待てよシャドウ!!…お前、何考えて」
「俺は兄貴の事しか考えてないよ」
パサリと音を立てて俺と兄貴の間に落ちるエプロン、抵抗しようとする兄貴の腕を押さえつけてパーカーの前を開け、その首筋へ噛みつく。

「んっ!ぁあ…待てよ、お前、こんな…こんな所で……駄目、ぅあ!」
兄貴の体を撫で上げて行けば、いつもの様に敏感に反応するので、俺は気を良くしてどんどんと行為を先に進めて行く。
そんな状況についていけてないのか、涙目で俺を見つめる兄貴。
「駄目なのは俺の方!もう、待てない」
熱に反応して、ビクビクと体を震わせている兄貴の姿が酷く官能的で、俺の熱は膨らむばかり。
こんな綺麗な兄貴を前にして…我慢しろなんて、そんな事は言わないよね?

「止めろ!駄目だって…な?」
怖々と俺を見返す兄貴へ返答の代わりに唇へキスを送り、少しずつ熱を持ち始めた兄貴自身へと手を伸ばす。

「ふぅっ!ん、んん……!」
ビクリと震えて俺を必死で押し返そうとする兄貴の、力の入らない抵抗を無視してそのまま兄貴自身を攻め立てれば、トロトロと熱い蜜を零し始めるソコ。
濡れてきた指を後方へと滑らせ、グルリと蕾の周囲を撫でると、ハッとしたように兄貴が目を見開く。
「お前……まさか、ここで最後まで、するつもり、か?」
「はぁ…今更、何言ってんの?」
我慢できないって、言っただろ?
つぷり、と兄貴のナカへと指を捩じ入れてナカを解すように掻きまわしてやれば、兄貴の口から痛みに耐える声が響く。
しかしその呻き声も、しばらく慣れさせてやれば甘さを帯びたものへと変わっていき…熱を帯びた兄貴の声は、俺への拒絶が無くなっていく。
そろそろいいだろうと思い、兄貴のナカから指を引き抜くと、体の向きを変えさせ壁へと押し付ける。
「んっ、何す……」
「しっかり支えてなよ、兄貴」
背後に立つ俺を見ようと、振り返った兄貴にただ簡素にそう告げる。
「えっ……っ、ぅあ!」

双丘の割れ目に手をかけ、その間に俺の雄を押し当てる。
「あっ…まさか、お前……ちょっと待てよ!立ったままなんて、無理だ、って…ぁっ!うああ!!」
拒絶の言葉なんて無視して、俺は兄貴のナカへと押し入っていく。
いきなりの挿入に対応できない兄貴の体が、強く強張る。
「ぁ…痛……」
性急に事を進め過ぎた所為か、ちゃんと解し切れていなかったらしい兄貴のナカは、しかし俺を熱く包み込む。

初めての体勢に荒い呼吸を繰り返す背中。
中途半端に脱がされかけたままの衣服、その下にある兄貴のしなるような体を思い、俺の中の熱が更に増す。


「あっ!ちょっ、何で大きく……」
俺自身の変化に気付いたのか、ビクッと体を震わせてそう言う兄貴の項へと優しくキスする。
キスの優しさに、彼は安心したのか少し体の力が弱くなった。
そのまま兄貴の腰を掴み、グッと奥まで俺のモノを咥えこませる。


「ふぁ!あっ!うっ、んぁ……痛い、って…」
壁に手をついて必死に迫りくる刺激に耐える兄貴の姿、獣のようにただ性の欲望のままに抱かれようとしている兄貴の姿は、予想以上に俺の欲を刺激してくれる。
「この体勢、凄いそそるんだけど…」
耳元でそっとそう囁けば、俺の吐息にも反応してしまうのか、彼の体が震える。
「そんなの、知らな、い……ん、こんな…こんなのは、嫌だ」
「嘘だ、凄い気持ちイイくせに」
「き、もちヨクなんか、な…ぁあ!!」
強がって反論しようとする兄貴の腰を捕らえ、思いっきりナカを突き上げる。
何度も抱き合っている内に見つけた、兄貴の感じる場所をピンポイントで狙って突いてやれば、綺麗な喘ぎ声が兄貴の口から漏れてくる。
「ほら、気持ちイイんじゃんか…腰、揺れてるよ」
そう指摘してやれば、自分の無意識の行動に恥じらいを感じたのか耳まで赤く染まる相手を、絶頂へと向けて更に揺さぶる。


「ぅあ……も、駄目…」
限界を訴える震える声に、俺は微笑む。
「いいよ、俺もイキたい」

凄く気持ちヨクさせてあげるから、俺にも…兄貴を全部頂戴。

「大好きだよ、フリオニール」
俺自信をギリギリまで引き抜き、一気に奥まで穿つ。
「あっ!ああ!!うあっ!!」
ギュウッという急激な強い締めつけと共に、兄貴が果てる。
ナカの気持ち良さに、俺も兄貴へと自分の性欲を全て注ぎ込む。


「はっ……はぁ…」
肺に酸素を送り込もうと大きく呼吸を繰り返す兄貴のナカから、自分のモノを引き抜くと「んっ」という、どこか未練がましい声が聞こえる。
思わず兄貴を抱きしめようとするも、急激な行為に耐えられなかったのか、崩れ落ちるように兄貴はその場にヘタリと蹲ってしまった。

「兄貴……」
俺も兄貴と同じように床に座り込み、兄貴と向かい合うとそっと唇を重ねる。
そのままゆっくりと床へと横たえさせると、兄貴はゆるりと目を開けて、怖々と俺を見上げる。
「まだ、足りない」
その目が問うている事を先に伝えると、絶望でも送られてらような表情で固まる兄貴。

中途半端に残っていた衣服を全て剥ぎ取り、両足を左右に割り開けば…先ほど達した兄貴自身のモノで汚れた足と、ナカへと注ぎこんだ俺の白濁が蕾から零れ落ちてきて、更に官能的な情景を生む。
「シャド、ウ……俺は、もう無理…」
「平気でしょ?まだまだ、若いんだし…ここも元気そうだけど?」
クニクニと指先で再び力を持ち始めた兄貴をつつくと、兄貴の体がビクッと面白いくらい跳ねる。
「ヤッ!…コラ、ぅあ…止めろ!」
「止めない、まだ欲しい」
「えっ…あっ!!コラ、駄目だって言って…シャドウ!!」
ナカでイカされたばかりの兄貴の蕾へと再び俺自身を突きいれれば、そこは難なく飲み込んでいく。
うねるような兄貴のナカを味わいながら、兄貴の体に赤い跡を散らしていく。
「そんな、目立つ場所に…」
兄貴は俺のものだって主張しようとしているだけなのに、それに怒る兄貴は涙目で俺を睨む。
誘っているのではないか、と思うその色気のある表情に俺は微笑み、胸の飾りを食む。
先程は弄れなかった胸の尖がりを、舌先でつつき吸い上げると、「はぁ、ん」という熱い兄貴の吐息が漏れる。

ギリッと床を引っ掻く音がして見れば、縋るものを求めて彷徨う兄貴の指が、その先が白くなるくらいの力で床を掴んでいた。
「腕はコッチ、毎回言ってるでしょ?」
「あっ…」
床の上を滑っていた兄貴の手を取り、俺の背中へと回す。
「好きなだけ引っ掻いていいって言ってるでしょ?」
俺にも兄貴の跡をの濃い手欲しいから。
そう言うと、兄貴のナカがキュッと切なく締めつける。


俺を煽るようなその力に、押さえきれない欲望を吐き出したくて割り開いていた兄貴の足を、高く抱え上げる。
「あっ!ちょっと……シャドウ、深い!!」
そう訴えかける兄貴の苦しみを紛らわせる為に、強い快楽を与えようと早く腰を動かす。
「ひっ!あっ…ぁあ、う…シャドウ、無理だって俺もう、止めろって、なぁ…ぁん」
拒絶も否定も、快楽に染まる甘い声で言われてしまえば、ただ可愛らしく恥じらっているようにしか聞こえない。
もっとだ、もっと…兄貴の全てが欲しい。
「シャドウ!シャドウ…俺、おかしくなるから!もう、駄目だって!」
「おかしくなってよ、俺そんな兄貴見たい」
「ヤァ、だ…イヤ、イヤだって…」
赤く染まった兄貴の頬へ、ポロポロと大粒の涙が零れ落ちる。

しがみ付く兄貴の腕が回された背中に感じるピりッとした痛みに、ああ本当に引っ掻いちゃったんだな…と思って、なんていうか…嬉しくなる俺は、もうおかしいんだろうか?
「シャドウ、もう…もう無理だって…嫌だ、イヤ」
あんなに泣かせたくないって、心に決めているのに…こんな時ばかりは、兄貴を泣かせたくなってしまう。
肌と肌がぶつかり合う音を聞いて、悲鳴を上げる兄貴の声が甘く響くまで、ずっとずっと抱き続けたい…。
涙で濡れる顔も、悦楽に浸る顔も、苦痛に歪める顔も、全部綺麗に思える俺は…。


兄貴無しでは、いられないんだ。


「やっぱり、フリオニールのこと、凄い愛してる」
「あっ!ああああああ!!」


兄貴と俺の二人だけの生活になって、大分長いが…お互い会話の種が尽きた事はあまりない。
普通の兄弟の数倍、俺達は仲が良いという自負はお互いにあると思ってる。
だから、困るんだ…。

「ねぇ、兄貴…怒ってる?」
「…………」
俺の問い掛けをしかとし、ただ黙々と目の前の食事を粗食していく兄貴。
このダイニングテーブルの真ん中に、越えられない大きな壁があるようだ。

こんな風に、怒って口を利いてくれなくなると…どうしたらいいか分からない。

いや、まあ確かに俺は悪かったと思うよ…兄貴が嫌がってるのに無理矢理ヤリ続けましたけれども…でも、いいじゃないか兄貴だって気持ちヨカったんだろ?
そう言うと、ギロリとそれはもう殺意の込められた目で睨みつけられました。
「ごめん、兄貴…俺が悪かったって……本当に、俺最近かなり溜まっててさ」
再び兄貴に睨みつけられる、多分、「お前は何馬鹿な事言ってるんだ」と言いたいんだろう。

確かに、週に最低でも2回は致してますけれども…それだけじゃ足りないんだ。
「本当にゴメンって…最近、なんか兄貴が綺麗になったからさ…余計になんかヤリたくなっちゃって」
「!!」
パァンという音と一緒に頭に走る衝撃。
手元にあった新聞を丸めて、思いっきり頭を叩かれた。

何、今の俺ってゴキブリ並みの扱いなの?

「兄貴、マジでゴメンって謝るから本当にいい加減許して!!」
顔の前で両手を合わせてお願いのポーズを取る俺から、ふいっと目を逸らす兄貴。
その横顔が、少し赤く染まっていた。

「兄貴、可愛い…」
「何、言ってるんだお前……」
呆れたような溜息と一緒に、兄貴がそう呟く。
良かった、ようやく話してくれた……。

「兄貴さ、どうも最近色っぽくなったんだけど…何で?」
「知るわけないだろ、そんな事…お前の目が悪くなったんじゃないか?」
そう言うが、兄貴の頬がさっきよりもより強く染まっている。
「兄貴さ、色っぽくなったの…恋してるからでしょ?俺に?」
「なっ!!いい加減にしろ!!」
パァンと再び、頭の上に新聞紙が落ちる。
食事を早々に終え、さっさと片付けに入る兄貴がそそくさとダイニングから出て行く。

「へぇ……」
そんな兄貴の後ろ姿を見て、ニヤリと微笑む。

どうしよう…このままだと、またすぐ俺の限界超えそうかも……。

あとがき

アナザー×ノーマルフリオ現代パロ、リクエスト品で“余裕ないアナフリ”を…との事でした。
ウチのアナフリは、基本的に余裕を持ってお兄ちゃんをン何だかんだ言って手籠にしちゃう子なので、余裕ないというのはちょっと新鮮でした。
表現しきれた自信はありませんけれども……っていうか、余裕ないってなったらガッツリとヤッてるだけの話に…。
でも、書いてる本人はとても楽しかったです。
お気に召していただければ、良いのですが……。
2010/1/21

close
横書き 縦書き