俺の頑張りへのご褒美
約束、したよね?
Present for you
「期末試験で、成績が学年20位以内に入れたら、その時は好きなものあげるよ」
今年のクリスマスプレゼントを兄貴におねだりしたら、そんな言葉が返ってきた。
まるで、レースで走らせる馬の目の前に糸で釣った人参を垂らすような、そんな方法だ。
沈黙が支配するのもつかの間、俺は自分の頭を急ぎ復活させる。
「ねえ、兄貴それってさ…20位以内には入れれば、何でも好きなものくれるの?」
つまり言い返せば、そういう事になる、そうだろう?
「何でもって…そうは言っても限界があるからな」
あまり高いものは買えないぞ、と兄貴は俺にそう釘を差したいのだろう。
「分かってるよ、でも…叶えられるものなら、いいわけだね?」
「まあ、そうだけど…」
俺の言葉に、兄貴はおずおずと頷く。
「OK、その言葉絶対に忘れないでよ」
俺はそう言うと、彼に向かってニッと笑った。
その言葉、忘れないでよ…兄貴。
「まさか……本当に入るとはな」
張り出された期末試験の結果表を前に、兄貴がそう呟く。
学年一位は今回も俺の大好きな兄貴、やっぱり兄貴は頭良いね。
そして、毎回50位までしか張り出されないこの票の中に俺の名前が、明記されていた。
ぴったり、20番目に。
「お前……やっぱり、馬鹿じゃなかったんだな」
「俺はやればできる子なの」
まあ、“馬鹿”じゃないけど、“馬”ではあったわけだ。
「約束、忘れてないよね?」
「勿論覚えてるよ、お前よっぽど欲しい物があったんだな」
俺の隣りで呆れたように笑う兄貴に、俺はゆるゆると首を横に振る。
「もう、それもあるけどさ…俺は兄貴に褒めてほしかったわけ」
「お前そればっかりだな…それで、お前は何欲しいんだよ?」
それを聞いてくれるのを待ってたんだ。
俺は兄貴の耳元にそっと唇を寄せ、俺の“欲しい物”を呟く。
「なっ!!」
途端に、顔を真っ赤に染める兄貴に、俺はニヤリと笑いかける。
「お前……何、馬鹿な事言って…」
「約束したでしょ?兄貴…何でも俺の欲しいものくれるってさ、俺頑張ったんだから…ご褒美くれるよね?」
俺の勝ち誇った笑顔に、兄貴はぐうの音も出ない。
「じゃ、クリスマスは楽しみにしてるからね」
兄貴と二人っきりでゆっくりと過ごす、スッゴイ幸せな時間。
普段よりも少し豪華な夕食と、兄貴の手作りのケーキ。
「やっぱ、兄貴はいいお嫁さんだよね」
「嫁って…お前の?」
「そう、俺の大事なお嫁さん」
ニッコリ笑ってそう言うと、兄貴は呆れたように溜息を吐いた。
「さてと、今日は俺早めに寝るよ」
「えっ…もう、寝るの?」
「うん、俺イイ子ですから」
「……嘘つけ」
呆れたようにそう呟く兄貴を残して、俺はリビングから出て行った。
そっと電気を消して、ベッドに横になる。
自分の寝床でぬくぬくと布団にくるまって寝たふりを続ける俺の耳に、廊下を歩く小さな足音が聞こえる。
誰のって、勿論一人しかいない。
ノックの音もなく、ゆっくりと部屋のドアノブが回される音。
そろそろと音を立てないように静かに近付く足音、さあ、一体どうするんだろう?
「シャドウ?」
俺の名前を小さな声で呼ぶ相手の手が、そっと俺の体に触れる。
そこでベッドサイドのランプを付ければ、ハッとしたように後ろへと一歩後退する兄貴。
「俺の為に可愛くしてくれたんだね、兄貴」
「…お前が付けろって、言ったんだろ?」
俺の言葉に頬を真っ赤に染めた兄貴が、ふいっとそっぽを向く。
兄貴の首に巻かれた、薄いピンク色のリボンを見て、俺は自然と笑みが零れる。
「……まったく、男にこんな事して…何が楽しいんだよ?」
そんな俺に対し、赤くなったままの兄貴が俯いたままそう言う。
「楽しいに決まってるじゃん、兄貴可愛いんだからさ」
俯いたままの兄貴の顎に手をかけて、そっと上を向かせる。
赤く染まった頬に、羞恥から潤み始めた瞳が凄く可愛い。
「クリスマスには、兄貴が欲しいな」
「はぁ?」
「一晩だけ、兄貴のこと俺の好きにさせて…それが俺の欲しいもの、いいよね?約束したんだから」
そう言った瞬間に、一気にゆで上がったかのように赤く染まった兄貴の顔は忘れられない。
だけど、兄貴は約束は破らない。
だって、兄貴はイイ子だからね。
特に、俺が兄貴の言った条件を守ったんだから、だからきっとくれると思ってた。
俺に、兄貴を。
「メリークリスマス、兄貴」
すっと相手の額にキスを送り、微笑んでそう言うと、頬を赤く染めた兄貴も俺に微笑みかける。
「メリー、クリスマス…シャドウ」
咥内を貪るようにキスを交わす、赤く濡れた舌を絡めて、熱い吐息すらも奪い合うような深いキス。
「ん……ぁん…」
震える兄貴の腕が俺の首へと回り、きゅっと抱き締められる。
そんな可愛い兄貴の行動に、少し笑みが零れる。
チュッと音を立てて離れれば、彼と俺の間を銀糸が繋ぐ。
早くその肌に触れたくて、兄貴の衣服を脱がしていく。
その少し手荒で性急な俺の動きに、兄貴は驚いたように「自分で脱ぐから!!」と叫ぶ。
「駄目。俺さ、兄貴の服こうやって脱がせるの好きなんだよね」
「お前!何、言って…っあ!!」
露わになった兄貴の素肌、その胸の飾りに噛みつけばビクリと体を震えさせる。
いいね、そういう反応、大好き。
「ねえ、兄貴…今日は俺の言う事聞いてくれない?」
ぺロッと耳を舐め上げて囁くようにそう言うと、彼はくすぐったそうに身を捩り、「どういう事?」と首を傾ける。
「だから、これから俺が兄貴に何して欲しいか言うからさ、兄貴はそれ実行していってくれればいいの。
分からなかったら、俺が教えてあげるからさ…いいでしょ?」
耳元でそう呟くと、頬を染めた兄貴が俺を睨み返す。
「ん、んん……ん…」
ピチャピチャと、水音を立てて兄貴の舌が俺の欲望を愛撫していく。
必死になってご奉仕する兄貴に、俺は自然と笑みが零れる。
「何…笑ってる、んだよ……」
上目遣いに俺を見つめる兄貴が、俺を見てそう尋ねる。
「ん?兄貴がエロい顔して俺のをご奉仕してくれてるのが、スッゲー嬉しいから。
ほら兄貴、咥えて」
「はっ……ん、咥えるって…んん!!」
抗議しようとした兄貴の口の中へ、自分の物を入れる。
「ふぅ…ん、ん……」
無理に押し込まれ、それでも必死で口に含んだモノを健気に奉仕する兄貴。
「おま……ちょ、うし…乗るな」
口の中で成長する俺に、涙目になりながらも必死で耐え忍ぶ兄貴は、やっぱりエロい。
「そんな事言ってるけど、でも、ちゃんとシテくれるんだね?」
「ぅん…ん」
赤くなって睨み返す兄貴に、俺はちょっとした優越感を覚える。
「兄貴…もういいよ」
「ふぇっ!んぁ、っあ!!」
限界を感じて兄貴の口から自分のモノを引き抜く、その瞬間に達して兄貴の顔へ向けて白い欲望をかける。
まあ……狙ったんだけど。
「うぅ……ベタベタする」
「ゴメンゴメン、でも兄貴、今の顔スッゴイエロいよ」
兄貴の顔に飛ばした精液を拭き取ってあげながらそう言う。
「さてと…兄貴、ちょっと手貸して」
「……何?」
疑問を感じつつも手を差し出す兄貴の手を取って、指を咥える。
「っあ!ちょっと…何、して……」
兄貴の指に舌を絡め、一本一本丁寧に舐め上げて行くその感覚に兄貴がフルリと震える。
「こうやってさ、濡らさないと…入らないでしょ?ナカに」
「ナカ?」
「今日は、兄貴が自分で準備して」
「えっ……ええ!!」
俺の行動を理解できたらしく、ビックリして目を見開く兄貴。
そんな兄貴を上目遣いで見つめ、俺は震える兄貴の指に優しく噛みつく。
「この指でさ、自分の気持ちイイ所に触ってみてよ」
「はっ…ふ、そんなの、無理だって」
「今日は、兄貴に断る権利ないよ」
しっかり濡れた指を口から離し、そのまま兄貴の蕾へと誘導する。
「あっ!嫌だ、嫌…」
恐怖やら羞恥心やらで赤く染まった兄貴の頬に、そっと優しくキスをする。
「そんな事言わないの…ほら、兄貴のナカは凄く気持ちイイんだから」
丸まろうとする兄貴の指を無理に伸ばし、その内の一本を蕾の中に押し入れる。
「あっ!!ふぅ…あ……」
ビクッと兄貴の体が大きく震える。
「指動かして、気持ちイイ所探して見つけてごらん、いつも俺が兄貴にしてるみたいにさ」
そうは言っても、初めての事に対し恐怖で震える兄貴が、そこまで大胆な事をスグにできるわけがないのは分かってる。
動けない兄貴の手に俺の手を添えて、出し入れするのを手伝ってあげる。
「ぅあ…ん、あ…ぁ」
ビクビクと震える兄貴を抱きしめてあげて、顔中に優しくキスを送る。
「どう?兄貴のナカ、熱くて締め付けてくるでしょ?」
「ヤダ…ぅあ、動かすな!!」
目に涙を溜めて俺に止めるように訴えかけるが、しばらく続ける内に慣れて来たのか、自分から少しづつ手を動かし始める。
っていうか、自分でしないと、今夜は俺が慣らさない事を悟ったのかもしれない。
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てて、ギュッと強く目を閉じて、自分のナカを必死で掻きまわす兄貴は、なんとも言えず扇情的だ。
「兄貴、気持ちイイ?」
「ん……ん、んぁ…」
「ねえ、答えてよ兄貴」
チュッと軽い音を立てて兄貴の唇にキスをすると、薄らと潤んだ瞳が俺を見つめる。
「ねえ、気持ちイイの?」
再度そう尋ねれば、一度小さく息を吐いた後、俺を見つめる瞳が揺れる。
「ぁ…うん、っあ…変な、気分だ」
「ふーん、そっか……ねえ兄貴、兄貴は気持ち良さそうだけど…そろそろ俺ももっと気持ちヨクして欲しいな」
笑顔で相手に訴えかければ、その意味を理解できたのか、自分のナカを弄っているその指をゆっくりと引き抜く。
「ねえ兄貴、兄貴から挿れられる?」
「ん……はぁ、どうせ…やらせるつもり、なんだろう?」
「流石兄貴、察しがよくて嬉しいよ」
「馬鹿」
笑う俺に兄貴は悪態を吐くが、しかし緩慢な動きで横たわる俺の上に座り、俺の欲望に触れると、それをゆっくりと自分の後方へと宛がう。
「……っ」
と、そこまで来たのはいいが、その先へ進むのが怖いのか、その状態で止まったまま動けない兄貴。
赤く染まった頬に、潤んだ瞳は今にも泣き出しそうで…下から見上げる俺からすると、それはもう物凄くイイ眺めなんだけど…これじゃあ、生殺しもいい所だ。
「……はぁ、兄貴…もう無理」
「ふぇ、っあ!あああああ!!」
ぐっと兄貴の腰を掴み、俺のを一気に奥まで突き上げる。
いきなりの来た衝撃に体を小刻みにビクビクと震わせる兄貴の肩をそっと抱きしめ、その顔に何度もキスを送る。
「うっわ……兄貴のナカ、熱いね…俺の事考えながら、ナカ弄ってたの?」
「お前……そんな事、言うの…止めろよ」
「無理だよ、だって兄貴が凄くエロくて可愛いんだもん、弄って遊びたくなるくらいに」
兄貴の目尻に浮かぶ涙をそっと舐め取り、体の位置を入れ替えて兄貴を下に押し倒すと、ぐっとその足を持ち上げる。
「ヤッ!!ちょっと待てって、まだ早……」
「さっきも言ったでしょ?もう無理だってさ、もう俺は待ちきれないの」
そう言うが早い、兄貴への律動を始めれば、兄貴の口からは艶っぽい綺麗な声が漏れ聞こえてくる。
快楽に溺れまいと必死に耐える兄貴、その苦悩に満ちた表情が凄く俺の欲望をそそる。
首に結ばれたまま、まだ解かれていないピンク色のリボンが目に入り、フッと微笑む。
兄貴は何時だって俺のモノ。
だけど、それをどうにかして確かめないと、不安になるんだ。
兄貴は初心で可愛い、こういう性的な行為にはいつもどこか奥手だ。
それに抱かれる側という、男としては屈辱的な行為であるからだろうか?兄貴が自分から俺を求めてきた事は、今までに一度もない。
だから時々不安になるんだ、もし…兄貴が俺以外の誰かのモノになるかもしれないとしたら…俺は、どうしたらいいんだろう?
きっと、無理にでも兄貴を自分の元へ繋ぎ止めるんだろうな…そう思えて仕方ない。
意地悪かもしれないけれど、俺は試してみたくなるんだ。
ちゃんと兄貴が俺のモノなのかどうか。
だから、こうして兄貴が俺に向けて愛情をくれる内は、俺も安心して兄貴の温もりを貪っていられる訳だ。
「愛してるよ、フリオニール」
激しく腰を打ちつけ、相手の奥の最も快楽を感じる部分を狙う。
「ふぁ!んんあっ!!そこ、ばっかり駄目だって…ぁ」
「イイんでしょ?嘘吐きだなぁ…ほら、フリオニールのここは気持ちイイって言ってる」
蜜を垂らす相手の欲望の先端を指で擦ってやれば、ビクビクと震え、更に奥から蜜が溢れてくる。
「やぁん、触るな…もう、イキそう…だから」
「いいよイッて、俺もフリオニールのナカでイキたい」
律動を早め、快楽に震える相手の奥を揺さぶれば、途端に上がる甘い声。
「フリオニール…大好きだよ」
「あっ……ふぁ、俺も好きだよシャドウ…」
ギュウっと俺の背にしがみ付く兄貴の手に更に力が籠り、俺の耳元に顔を寄せるとそう呟かれる。
兄貴の体に唯一絡みついたリボンは、首元で怪しい力を持って色彩を放っている。
ああ、俺のモノなんだね…兄貴は。
「あっ!ああ、う…イクッ!!」
一際大きく兄貴の体が揺れて、白い欲望が吐き出される。
「っ……俺も、イクよ」
「ん、んん……」
同時に体の中に吐き出された俺のモノの感覚を、必死で耐え忍ぶ兄貴。
眉をひそめて、必死で快楽の波に耐える姿が何とも言えず、色っぽい。
「最高のクリスマスプレゼント、ありがとう兄貴」
優しく額にキスを送り、俺は小さな寝息を立てる兄貴の首に巻かれたリボンの端を取り、ゆっくりと首から解いた。
「メリークリスマス、兄貴」
翌朝、俺の腕の中で目を覚ました兄貴にそう言うと、挨拶のキスを送る。
まだ完全に頭が覚醒していないのか、朝から熱烈はキスを受けてくれる兄貴。
「ん……んん、ん…ん!」
クチャッという音を立てて離れる俺の舌を見て、兄貴は頬を染める。
「お前なぁ…朝から何するんだよ…」
「何だよ、兄貴だってノリノリでキスしてくれてたじゃんか!!まあいいや、それより受け取って欲しいものあるんだ」
昨晩、渡しそびれたソレをそっと取り出して兄貴へ差し出す。
小さな青い色の包みを見て、兄貴は驚いたように俺の顔を見つめる。
「コレ……」
「俺から兄貴へのクリスマスプレゼント」
「ありがとう……開けていいの?」
「勿論」
笑顔で俺が頷くのを見て、兄貴はそっとその包みを開ける。
中から取り出した銀色のドッグタグのペンダントを見て、兄貴は不思議そうに首を傾ける。
「俺の趣味で選んだからね、兄貴の好みじゃなかった?」
「いや……あんまり普段、こういうの付けないからさ…本当に貰っていいの?」
「いいよ、その為にあげたんだから…貸して、付けてあげるからさ」
相手からペンダントを受け取り、金具を外して兄貴の首へとそれを回して付ける。
俺と同じ色の褐色の肌に、銀色の鎖がよく映えて綺麗だ。
「ねえ、これからずっとコレ付けてよ」
「ずっとって…毎日、か?」
「そう。いいでしょ別に、兄貴は制服上までボタン閉めるから、付けてても気付かれないでしょ」
だから、お願いだから付けて。
兄貴は俺のだって、そう主張したいから。
「ありがとう、シャドウ」
少し気恥ずかしそうに笑顔を見せる兄貴に、俺も笑って返す。
そのタグに刻まれた文句に兄貴が気付くのは、一体何時かな?
アナザー×ノーマルフリオ、現代パロ。
長い、クリスマスネタ長いですよ!!途中で一体どれだけやる気を失くしたものか。
そして、書くのに時間が掛かったわりにこの残念なクオリティ…一体どうしたらいいんでしょう。
しかし、クリスマスに真に合って良かった…けれど、クリスマスにエロってね……また、救われない事してます。
アナフリがノマフリに送ったタグの文句については秘密です、機会があったらまたどこかで書くかもしれません。
…別に、考えてなかったわけでは…ないんですよ。
2009/12/24