明日の天気:一日晴れ
降水確率:30パーセント
……なんて、よく言うよ。
水も滴る
「うっわ…もう、ツイてない!!」
バタンと、大きな音を立ててドアを閉めて、玄関先で二人揃って息を吐く。
二人揃って下校しようと思って、学校を出て約五分。
思いっきり雨に降られた。
寒い季節の雨は、一気に体を芯まで冷やす。
途中でコンビニのビニール傘買おうって言ったのに、その時にはもう芯まで濡れていて「このまま走って帰ろう」と兄貴が言うもんだから、仕方なくそのまま家まで走ったのだ。
「ほら、これ使って」
俺にタオルを差し出す兄貴を見て、ほう…と溜息が出る。
雨に濡れて肌が透けた制服のシャツに、張り付いた髪。
走って帰って来た為か、少し上気した頬がなんというか…色っぽい。
「……ねぇ兄貴、お風呂入ろうよ」
「ああ、入って来いよ」
タオルで自分の髪をガシガシと乱暴に拭きながら、俺の方を見もせずにそう返答する兄貴の手を取る。
「何言ってんの?兄貴も一緒に入るの」
「えっ……ええっ!!お前、何言って」
ビックリしたような兄貴を引き摺って風呂場へと連れて行く。
「風邪ひいたら駄目でしょ?二人で入れば一気に体温まるし」
「そりゃ、そうだけど……でも、二人って…狭いだろ?」
「いいじゃん狭くても、兄弟でくっ付いて入れば」
ニヤリと笑ってそう言えば、兄貴は俺を訝しそうに見つめた。
「……お前のその台詞から、何か下心しか見えてこないんだけど」
「うん?いいじゃん別に…二人でアツーい事して、温まればいいでしょ?」
「なっ!!」
しぶる兄貴を無理に引き摺って行き、脱衣所で濡れた制服を脱がしにかかる。
「ちょっ!!お前、止めろって!昼間から何考えてるんだよ!!」
「んー…俺は今、兄貴と気持ちヨくなる事しか考えてないよ」
「そんな、馬鹿な事考えなくて…ふぅっ、ん!!」
反論を続ける相手の口を塞ぎ、抵抗を続ける体をしっかりと抱き寄せる。
「んっ…ぅ、ふぅ……」
なんとか俺から逃げようとする兄貴の、熱い舌に自分のモノを絡ませ咥内をゆっくりと舐めまわしていけば、抱きしめた相手の体がその感覚に震える。
抵抗する力が弱まった所で、ゆっくりとシャツのボタンを外していく。
その手の動きに気付いた兄貴が、俺の腕から再度逃れようと激しくもがく。
「はぁっ……お前、何…盛ってるんだよ!!」
長いキスと俺の腕の中から解放され、脱がされかけたシャツを肩に引っ掛けたまま、荒く息を吐いて俺を睨みつけそう言う兄貴。
いいね、その表情……凄くエロい。
「何って言われても…兄貴とイイ事したんだよね、俺は」
ニッと笑ってそう言うと、兄貴の表情が途端に引きつる。
何?今の俺、そんなに怖い顔してる?
「なぁ…本気、なのか?」
怯えた表情で、兄貴が一歩後ろへと下がる。
「勿論」
逆に俺は相手に近付き、狭い脱衣所の中、壁際へと追い込んでいく。
「…止めろよ、こんな所で」
壁際に追い詰められ、俺を怯えたように見つめる兄貴に俺は問いかける。
「何で?」
「何でって……」
すっと頬に朱色が交じり、言葉を詰まらせる相手に俺は微笑みかけて、その額に優しく口付ける。
「大丈夫だよ兄貴、ちゃんと気持ちヨくしてあげるからさ」
「っ…そんな問題じゃ…ひぁ!」
ぺロリと相手の首筋を舐め上げて、耳を甘噛みする。
「兄貴は、ココ気持ちいいんだよね?」
ぺロリと舌を這わせてやると、ビクビクと震える兄貴。
相変わらず感じ易い、敏感な体……可愛いけど。
「兄貴、一緒にお風呂入ろ」
熱いシャワーを二人で浴びる。
後ろから兄貴を抱きしめていると、触れあった肌が段々と温もりを持ってくるのが感じられる。
いいよね、なんか…生きてるってかんじ?
抱きしる腕を動かして兄貴の体を撫でていくと、「んん…」というくぐもった声が室内に響いた。
「声、我慢しちゃ駄目でしょ?」
耳元でそう囁けば、薄らと開いた目で背後に居る俺を振り返って見つめ返す。
「そんな…無理だ、響くから……ひゃん!!」
キュッと芯を持って立つ兄貴の胸の飾りを摘まむと、ビクビクと体を震わせる。
「アハハ、可愛い声…もっと鳴いて?」
「イヤだ…って、止めろよ、なぁ…っん!」
「もう、兄貴も往生際悪いなぁ…楽しんじゃえばいいのに」
そう言ってから、片手を放し、兄貴の上げる声を邪魔するシャワーの水を止める。
そして今度は洗い場の隅に置かれたボディーソープに手を伸ばし、パチンと蓋を開けて、トロリとした液体を兄貴の体へ垂らす。
「あっ!冷たい……」
火照ってきている体と液体の温度差に、悲鳴に近い声を上げる兄貴の耳をそっと食む。
「ひぃあっ!!あ……」
耳を舐めて、肩越しに兄貴の体を見つめる。
体を伝い落ちて行くボディーソープが、酷く官能的。
「大丈夫、すぐに暖めてあげるから」
熱い吐息と一緒に、耳元でそう呟く。
「へっ?何……あっ!あん、ん!!何して…」
「ん?綺麗に体洗ってあげようと思って」
そう言いながら、ボディーソープを垂らした兄貴の体を直に撫で回す。
「ふぁ!…はぁ、ん……っぁあ」
兄貴から言わせると“イヤらしい”手つきで体を洗ってあげていると、ボディソープの花の香りに負けない、甘い鳴き声を上げる相手に俺も気分がよくなってくる。
「ほらイイ匂いでしょ、兄貴?兄貴の好きな薔薇の匂いだ」
気持ち良さそうに、いや違うかな?羞恥で体を震わせる兄貴。
「ぁ…好き、だけど……何?」
「うん?嬉しいかなって……気持ち良さそうだし、ここも洗ってあげる」
「えっ……えっ!何、ちょっと!!」
涙を流している兄貴の欲望に、ボディーソープを垂らす。
たっぷりと、念入りに。
そして相手の欲望に対し指をかけて、そっと刺激を与えてやる。
「泡立ってきたね、それに…兄貴からは蜜が垂れてる……」
「あっ!なん……ヤメ、ひゃんっ!!…ぅあ、あっ!…」
グチャグチャと音を立て室内に響く水音。
そして、兄貴の声と…。
「いいなぁ、甘くて…スッゲーエロい匂い」
室内に充満する、香りに俺もとても興奮してきた。
「あっ!あああぁあん!!……はぁあん…」
一際大きな声を上げて、兄貴が達する。
白濁した液体が兄貴の足を伝い流れるのを見て、小さく溜息を洩らす。
綺麗だ、スッゲーエロくって……もう、最高。
「な……なぁ…っは!…ぁ、あの……」
「ん?どうしたの?兄貴?」
そう尋ねると、どこか言い難そうに視線を彷徨わせる兄貴。
「あの、さ…………お前の…当たってる、ん…だけど……」
当たってる、という言葉に何を?なんて野暮な事は言わなくていいだろう?
「んー……だってさ、兄貴の事、スッゴイ欲しくて、欲しくて…仕方ないんだもん、俺…」
「そんな……」
すっと、耳まで赤く染まった兄貴を俺の腕から解放し、そっと俺の方へ向ける。
「兄貴、顔見せて」
俯いた兄貴にそう声をかける。
「嫌だ……」
「見せてよ…兄貴の色っぽい顔」
「嫌だって!…こんな、みっともない顔」
「いいから…ほら」
クイッと顎に手をかけて、俯いた相手の表情を上げと、真っ赤に染まった兄貴の瞳が怖々と俺を見返す。
「もう、こんな可愛くてエロい顔、隠してちゃ駄目だって…」
「なんだ、よ…それ」
そう言って少し微笑む相手に、俺も笑いかけて、同じ高さにある唇を塞ぐ。
熱い吐息を奪い合うように、熱くキスを交わす。
「っあ!ああん、はぁ……う、ん」
肩に置かれた手が、俺の事を強く掴む。
洗い場に座った俺の上に向かい合って腰を落とし、荒く息を吐く兄貴。
「しゃど、う……ぅあ…っあ…深い、よ」
潤んだ瞳で俺を見つめる兄貴に、ふっと笑いかける。
「うん、スゴく深く俺の事、咥えこんでるよね…フリオニール」
ククッと喉を鳴らして意地悪く笑う。
「んっ……そんな、事…言うな、よ!!…ひゃぁっ!」
赤くなって反論しようとする兄貴の中を、そっと突き上げれば甘い声が上がる。
「本当でしょ?ほらほら、フリオニールの中は、俺の事、離したくないって言って…締め付けてるし」
「やぁん、ちが…はぁ……違う、俺…っあ!ああ、ん」
口では違う違うとそう言うものの、兄貴の中はさっきから俺をキュウキュウと締め付けて離さない。
しかも、熱くてトロけそうなくらい気持ちイイんだから…ほんと、クセになるよ。
「感じてるんでしょ…ねぇ?」
下から突き上げ、揺さぶってあげれば、途端に兄貴の口から甲高い甘い声が上がる。
ビクビクと震える体は、気持ちイイって正直なのに…相変わらず、初心な兄貴。
そこが、好きなんだけどね。
「あっ…ん……な…シャドウ、俺…もう、駄目……」
快楽にトロけそうになっている兄貴が、涙ながらに限界を訴える。
「OK…イカしてあげる、俺が」
「ふっ!あ、あああん!!」
一層強く突き上げてやれば、肩を掴む手に更に力が込められる。
俺の事、求められてるみたいで、スッゴイ嬉しい。
「ほら、イッちゃいなよ」
耳元でそう呟き、ギリギリまで自身を引き抜き、最奥へ向けて穿つ。
「やぁっ!あっ、イっちゃ、うっぁ、あああ!!」
最奥を突きあげられ、ビクビクと体を震わせると俺と兄貴の体の間に、兄貴が自分の欲望を放つ。
「っ…中で、出すよ」
「えっ…あ!!」
放った後の締め付けに耐えきれず、兄貴の中で俺も自分の欲望を放つと、熱に満たされた兄貴の体がフルフルと震える。
「フリオニール…愛してる」
くたり、と力の抜けた兄貴の体を抱きしめて、俺はそう呟いた。
「まったく……この、馬鹿」
「なあ、兄貴…恋人と愛し合った後にその台詞は酷くない?」
「煩い!!お前が勝手に襲ってきたんだろう!この万年発情期!!」
そう言うと、ソファに置いてあったクッションを俺へと投げつける。
あの後、兄貴の体をしっかりと洗い直してあげたまでは良かったのだが…。
そこでもう一回事に及んだ俺に対し、兄貴が今、完全にキレている。
「体がダルくて動かない」と主張した兄貴を、こうやって部屋まで運んであげた上に、現在、兄貴の命令通りに家事を肩代わりしている俺。
いや、確かに普段は家事全般を兄貴に任せているわけで、こういう時くらい言われなくったって俺がやってあげなくもないけどさ…でも、さっきから俺の扱いが、ちょっと酷くない?
「当然の報いだろ?っていうか、お前反省しろよ!!」
駄目だ、完全に御冠だ。
「だ・か・ら、さっきからゴメンって謝ってるだろ?」
「謝るなら反省しろ、そして二度としないって心に誓え!」
「スミマセンでした、二度としません」
「……なんで、そんな棒読みなんだよ?」
そりゃ勿論、機会があればもう一回やる気があるからです。
「お前…本当に馬鹿だろ!!」
手元にあったクッションを更にもう一つ俺へ向かって投げつける兄貴。
中身綿だけど、渾身の力で投げつけられると結構痛いんだぞ、コレ。
「何だよもう、兄貴だって気持ち良かったんだろ?」
「!!いい加減にしろ、このっ…」
「おっと…ここまでね」
三度目の攻撃を腕を掴んで制し、兄貴を見下ろすと、ビクッと怖がるように体を震わせる。
「いい加減にしないと…俺の事“欲しい”って言わせるまで、兄貴の事虐めるよ」
「!……何、考えて…っあ」
パクリと耳を食めば、兄貴から悲鳴に似た声が上がる。
「元気があるならもう一回付き合ってよ、俺さ…兄貴だったら何回でもイケちゃうんだから」
「無理!もう無理!!絶対無理!!!!だからお願い、止めてくれ!」
半泣きになりかけながら、俺に必死で訴える兄貴。
……そこまで拒絶されるのも、なんていうか、ショックなんだけど…。
「はいはい…だったら大人しくしといてよ」
そう言って兄貴の頭をそっと撫でると、くすぐったそうに身を捩る兄貴。
生乾きのままの長い髪が、また色っぽくて綺麗なんだけどな……。
「ねえ兄貴…流石に、キスはしていいよね?」
「えっ……あ…うーん…しょうがないな」
小さく溜息を吐いたあと、恥ずかしそうに俺を見つめ返す兄貴の唇をそっと塞ぐ。
「ところでさ……お前、何で今日はあんなに急いてたんだよ?」
ふと思い出したかのようにそう尋ねる兄貴の方を振り返り、俺は笑いかける。
「んー…なんていうの、水も滴るいい男…ってヤツ??
水に濡れた兄貴が、普段よりも数倍色っぽかったから…欲情しました」
「……何、言ってるんだよお前」
「兄貴が聞いてきたんだろ?」
「まあ、そうだけど……」
この後、兄貴は教訓を生かしたのか決して折り畳み傘を手放さなくなった。
まあ、これはこれでいいんだけどね。
「兄貴、俺も入れて帰って」
「お前なぁ…いい加減に傘持ち歩けって言ってるだろ?」
そう呆れつつも、狭い傘の片側に俺の入るスペースを空けてくれる兄貴。
やっぱり、優しいよね。
「明日も、にわか雨降らないかな…」
「はぁ……明日は、快晴だってさ」
アナザー×ノーマルフリオ、現代パロ。
シリーズ化できる話は今の所ないですが、一話完結のネタが三つくらいあるという…お前、どれだけアナノマを書きたいんだと思ってます。
なんていうんですか?個人的に今、アナノマが来てます、この組み合わせが凄く美味しくて仕方ないのです。
アナザーフリオはエロカッコいいと思うんです(某歌手に非ず)、他の攻めキャラとは違う、凄く色気が漂う人だと思うのですが…賛同が得られるかは不明ですが…。
…てか、エロが書きたかっただけだろうお前、と言われたら……否定しませんよ。
2009/12/13