「君は私を愛していればそれでいい…それだけで、いいんだ」

それでも、それを愛と呼ぶ

根城にしている塔に戻ると、彼の姿が見えなかった。
「フリオニール?」
そう呼びかけて、彼の姿を探せば…寝台の上で、そっと丸まっている彼を見つけた。
寝顔と規則正しい寝息に安心し、私は鎧を解き、汚れた体を清める為に水場へと向かった。

綺麗に体を洗い清めた後、彼の側に戻ってみると…彼はまだ眠ったままだ。
疲れているのか?彼は最近動こうとしない。
以前と比べて、少し痩せた様な気もする。
そっと横になった彼の髪を撫でると、くすぐったかったのか…少し身動ぎする。
「ん…っん」
震える瞼に、起こしてしまったか…と思うも、彼は再び規則正しい寝息を繰り返し始めた。


「……なさ……」
「ん?」
ふと、彼が何か呟く声が聞こえ、そっと口元に耳を寄せる。

「ごめんなさ…ごめんなさい、ごめんなさい…皆」
ぎゅっと苦しそうに敷布を掴み、彼は何度もそう呟く。
ごめんなさい、と…誰かに向けて。
皆と呼ぶ、きっと…私以外の誰かへ向けての、謝罪。
彼は優しい、誰よりも他人を思いやり、他人を心配し、心にかけ、そして自らを省みない。
それで傷付くのは、誰なのか…分かっていない。
そんな風に傷付き続けた君を、私はもう…傷つけさせたくは無い。
この腕の中に居れば、君は何も傷付かなくていいのだ。
誰にも、謝る必要なんてない。
君は何も見なくていい、何も聞かなくていい、君は何も考えなくていい。
ただ、私にその身を委ねればそれでいいのだ。

他人の事なんて、考えるな。
私を…私を見ろ。
私だけを……。


何度も謝罪の言葉を口にする彼の唇を、私のモノで塞ぐ。
薄く空いていた彼の咥内へと、易々と侵入を果たすと、熱い舌を舐め上げる。
最初は寝惚けた様に緩慢な動きを見せ、私から逃れようとする舌を絡め取り、ちゅっと吸い上げてやると、彼の体が跳ねた。
「…ん……んん!!」
ビックリした様に私の肩を掴む彼を、私は無視して、その咥内を奥まで味わって行く。
それに最初こそ抵抗を示していた彼も、段々と力が抜けて行き。解放する頃には赤く染まった頬に涙の浮かぶ瞳で、怒った様に私を見返した。
「急…に、何するん、だよ…ウォーリア」
荒い息を零して、私にそう問いかける彼に、しかし私は何も答えずにその衣服に手をかける。
「!…ちょっと、ウォーリア待って!!」
それに驚いた彼が、私の腕を掴んで阻止しようとするも、上手く力の入らない腕では何も阻止する事なんてできない。
服の前を肌蹴させ、露わになる首筋をねっとり舐め上げていく。
その感覚に、体を震わせる彼がぎゅっと、私の腕を掴む。

「何の夢を見ていた?」
彼の耳に吹きかける様にそう問い掛け、そっと耳朶を甘噛みする。
「はぁ…ん、えっ?」
「何の夢を見ていたんだ?私の居ない間に」
「何のって…昔の夢を……」
「昔の…どんな?」
「どんなって、昔の話だから…そんなに覚えてない、から」
そう曖昧に答える彼に、私は少し怒りを感じた。

「どんな夢なんだ?君は、誰かに謝っていたようだが?」
「そんな事言われても、夢の事なんて目が覚めたら忘れちゃ…ひぁっ!!」
彼の胸の飾りを摘まみ上げると、ビクリと大きく体が跳ねた。

「分からないのか?君が謝りたい相手に、心当たりはないのか?」
そう言いながら、指先で強く飾りを摘まみ上げてやればビクビクと彼の体が震える。
ここだけの刺激だけでは、彼は観念したりはしないだろう…そう思って、彼の下腹部へと手を伸ばす。
痛いと言いながらも、私の刺激に既に反応を示している彼の欲の中心を握り締める。

「イア、ウォーリア!!ぁ…痛い!痛いから止め…」
爪先で、グリっと思いっきり彼の先端を弄ると。甲高い彼の悲鳴と共に、再び彼の体が大きく震える。
「教えろフリオニール、君は誰に謝っていたんだ?」
「嫌ぁ…ウォーリア、それ、それ止めて……」
「私は答えろと言ってるんだ、フリオニール」
私の強い言動に、彼は答えないといけないとようやく気付いたらしく、そっと涙で潤む瞳で私を見つめると「昔の仲間だよ」と小さく答えた。

何故謝るのか、その理由を彼は話さない。
女神に召喚された時に、その記憶は抜け去ってしまったのだろうか?
許して、と謝る彼の謝罪の相手は、私へと変わっていた。

「分かった、許してやろう…君が、その人達の事を全て忘れてしまうなら」
「わす、れ…そんな、そんな事…できな、」
「私に反抗するのか?フリオニール」
「っ!!」
私の凍った様な冷たい低い声に、彼の顔が恐怖で強張る。
「ち……が、違う!違うんだウォーリア!!俺、そんな…貴方に逆らうつもりなんて!!」
彼は知っているハズだ、私に逆らえばどういう事になるのかくらい。
それを知っていてなお、私に逆らおうというのならば…問答無用だ。
「お仕置きが、必要そうだな」

拒絶した彼への戒めとして、怒張した私のモノをまだ解してもいない彼の内側へと押し入れる。

「イァッ!!いやぁあああああ!!やぁ、ヤメて!ヤメェええ!!」
震える喉から、周囲をつんざく様な悲鳴が上がる。
彼の体は強張り、私が侵入してくるのを防ごうとするものの、私はそこに無理に押し入っていく。
ミチッ……という肉の裂ける音がして、彼の内股へと赤い血が伝い落ちていく。
まるで、処女を犯しているようだ。
自分の中に生まれてくる加虐心と陶酔感に、ふと口角が吊り上がる。

「ぁっ……ぁああ、あ…ぁあ……」
涙で濡れた彼の声は、痛みでまともに言葉を発する事もできないようだ。
無理にそのナカへと私のモノを全て飲みこませると、休む暇も与えずに腰を打ちつける。
「やぁっ!!そん、なっ!急に激し、の……イヤだ、いやぁああ!!」
「何が嫌なんだフリオニール?急に挿れられようとも、君の体は充分に快楽を感じているだろう?」

長く過ごして、既に知っているのだ……実は、彼が痛くされる事で快楽を感じられる様な、特殊な趣味を持っているという事を。
本人はその事実を否定してはいるが、しかし体の反応まで隠しきれるものではない。
彼の欲からはしとどに蜜が溢れだし、彼の内側は押し入って来た私を咥えて離そうとしない。
嫌だと何度も呟く彼の声すらも、既に甘い響きが混じっているのだ。
……しかし、よくよく考えたらこれではお仕置きにはならないな。

「やぁ、あ!ウォーリア……ねぇ。いたい、から…おねが…も、止めて」
涙を溜めて私に縋りついて求める。
全く、その可愛らしい表情ったらない。
「優しく、して欲しいか?」
そう尋ねると、彼は激しく頷く。
「ウォーリア…俺、ウォーリアが好き、だから……だから」
「私に、優しく愛して欲しい…と?」
首を傾けて尋ねると、彼は頷く。
「なら誓えるだろう?私だけを、愛してくれ…他に、何も求めるな」

私には、君しかいないんだから。

「わか…った、分かった、ウォーリア…好きだよ。ねぇ、好きだから……貴方だけしかいないから、俺も貴方しか居ないんだ、から…」
ギュウッと彼は私に抱きつく、そして私へとキスをする。
縋りつくのだ、私の愛情を求めて。
そうだ、君には私しか居ない。
私は永久に、君だけを愛そう。
私は君しか居ないんだから。
「全て忘れろ、フリオニール……君には私だけだ」
「うん……ウォーリア、大好き」
トロンとした目で、私を見つめる彼に微笑みかける。
「ああ、愛している」
そうだ愛してる。


彼の体を優しく抱きしめ、そして、優しく彼を快楽の淵へと追い詰めて行く。
柔らかく響く、彼のあえやかな声。
幸せな、そしてどこか壊れた様な、彼の笑顔。
全ての恐怖が取り除かれて、彼は全て私のモノへとなるんだ。
これ以上の幸せなんて、もうないだろう?
さあ、このまま二人、永遠に幸せに。

あとがき

放置されていた狂気WOL×フリオです。
……何でしょう、フリオを虐める事がとっても楽しかったのですが。
フリオを虐めるWOLという構図、とっても美味しいと思います。
それにしても、ビックリしました、狂気WOL一年以上放置していたんですね……。
2010/8/26

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