食欲・睡眠欲・そして性欲
生命体が活動する中で、求められる三つの欲求
満たされたいのは……
Nocturnus 〜 a sound sleep and sleeplessness 〜
俺を自分の“食糧”に選んだこの男について、今日一日で分かった事がある。
この男は、誰もが認める美貌を持つ吸血鬼は…。
どこまでも、本当にどこまでも、自分の欲望に忠実に生きている。
「だから!!何で俺がそこまでしてアンタの隣で寝ないといけないんだよ?」
そうやって声を上げるも、相手は涼しい顔をして俺を見返す。
まるで、我侭を言う子供を相手にしているような、そんな態度だが、実際我侭を言っているのは相手の男の方だ。
「さっきも言っただろう?貴様は私の命を繋ぐものだぞ、そして私は貴様の命を繋いでいるものでもある、あまり遠くに離れすぎない方がお互いの為だ」
「だからって言っても、添い寝はおかしいだろう!!?」
っていうか、何でそんなに強制されないといけないんだよ?男を隣に寝かせて、一体何が楽しいっていうんだ?
しかし、そんな俺に対しこの男は一切動じずに「ならば仕方あるまい」と小さく溜息を吐いた。
ようやく諦めたのか、…と思ったのだが、それは俺の間違いだった。
「ならば、貴様の首に首輪を付けて、四六時中、私の側に繋いでおく他に方法は無さそうだな」
「…………はい?」
今、スッゴク聞きたくない言葉が聞こえたんだけど、気の所為か?気の所為なのか?
「そうすれば問題は全て解決するな、私が鎖を持つ限り貴様が私の側から離れる事はない。
それに、何時だって好きな時に貴様を愛でてやる事もできる」
自分の考えに相槌を打ちながら、マティウスは恐ろしい事にそんな事を呟く。
ちょっと待て、それって俺の自由を完全に奪うってそう言いたいのか?
冗談、だよな……?
「フリオニール、先に言っておこう、私はすると言った事は必ず行うぞ」
俺の心中を見透かしたように、男は俺の目をしかりと見てそんな事を言う。
その眼光の鋭さに、ちょっとたじろぐ。
つまり、その申し出を断ったら、俺は完全に貴方の奴隷扱いだと?
「さあ?どうする?」
間違いない、マティウスは本気で言ってる。
「…………添い寝させてもらいます」
嗚呼…何が悲しくて、男の隣で寝る事を相手に頼まなければならないんだ。
しかし、そんな俺の心の中の葛藤なんて一切この男は介さずに、「そうか…」とちょっと残念そうに言った。
一体、この男は俺に何を求めてるんだ?
「そうか、ならば…来い、早く」
既にベッドに横たわっている相手は、自分の隣を指して俺を呼ぶ。
「そっ…そんな」
自ら人の寝床へ入り込むなんて、そんな真似…できない。
頬を赤らめて立ち尽くしている俺に、ベッドで寝転ぶ男はニィっと意地悪く口角を吊り上げる。
「早く来い、フリオニール…焦らすな」
「ぅっ……」
官能的な雰囲気に、生唾を飲み込むゴクリという音が大きく鳴った。
さぁ…と腕を伸ばす男に、俺はおずおずとしながらも近付き、そっと相手の待つベッドに伸し掛かる。
……っていうか、こんな巨大なベッドで二人でくっ付いて寝る必要もないだろう。
そう思って、相手からできるだ離れた場所で横になる。
「そんなに端に寄るな」
「あっ」
端に居ようとする俺の腕を掴んで、真ん中の自分の側まで連れて来る。
「焦らし上手な奴め」
ニヤニヤと面白がるように笑ってそう言う男の笑顔に、俺はどう反応していいのか分からない。
だって…だって、俺は女性ともそんな関係を結んだ事がないんだ。
っていうか、まともな恋愛の経験がない、それなのに急に…急にこんな……。
「そう身構えるな、そんなに怖がらなくとも、そこまで性急に手を出したりはせん」
抱き締めて俺の耳元でそう言うマティウスに、頬が赤く染まる。
「あの……マティウス」
「何だ?」
「その手、止めてもらえるか?」
喰ったりしないと言いながら、その手の動きが官能を呼び起こすものなのが気に掛かる。
っていうか、腰を撫でるな。
「別に触れ合いくらいでガタガタ言うな」
「いや、これ絶対に“触れ合い”なんていう領域超えてるぞ」
まるで俺が小さい事にこだわって文句を言ってるようにマティウスは言うが、これは絶対小さい事ではない。
俺にとっては、これは自分の生命の危機なんだ。
「契約の時にキスを交わしておいて、この程度大した事「それ以上言うな!!」
思い出しただけでも恥ずかしい。
あんな初体験になるとは、全然予想にもしていなかった。
俺の意思すらも溶かしてしまいそうな、そんな熱いキス…。
確かに、アレに比べれば…今の事なんて大した事ないのかもしれないけど、でも…。
「さて、そろそろ本当に寝なければ…お休み」
チュッと軽く音を立てて俺の額に優しくキスを落とすと、俺を抱き締めた腕をそのままにゆっくりと目を閉じる。
「今日は、安眠できそうだ」
「…そうかよ」
満足そうに瞳を閉じ、俺を抱き締めたまま横で眠る男の顔を見つめ、そっと溜息を吐く。
俺は、全然眠れそうにない。
あとがき
吸血鬼パロ、先の展開に進めるにあたって、フリオが本当に皇帝によって添い寝しているシーンが書きたかったんです。
っていうか正直、フリオのあの有名なシーンをやりたかったんです。
ゴクリってやらせたかったんです。
因みに、皇帝は本気でフリオに鎖を付ける事を検討しましたよ、でも実行しません。
だってフリオの事が好きですから!ベタ惚れですから!!
それに、フリオは絶対に自分の元へ帰ってくるって分かってるんで繋いだりはしません。
次回はマティウスの城に住む住人(という名の居候含める)が登場予定。
そして、フリオ総受けへと移行していく…。
2009/6/23
吸血鬼パロ、先の展開に進めるにあたって、フリオが本当に皇帝によって添い寝しているシーンが書きたかったんです。
っていうか正直、フリオのあの有名なシーンをやりたかったんです。
ゴクリってやらせたかったんです。
因みに、皇帝は本気でフリオに鎖を付ける事を検討しましたよ、でも実行しません。
だってフリオの事が好きですから!ベタ惚れですから!!
それに、フリオは絶対に自分の元へ帰ってくるって分かってるんで繋いだりはしません。
次回はマティウスの城に住む住人(という名の居候含める)が登場予定。
そして、フリオ総受けへと移行していく…。
2009/6/23