鬼神の如く…という言葉がぴったりだと、その姿を見て思った
一体何があったのか、常の彼では有り得ない程の惨状
恐る恐る彼の名を呼び、振り返った彼の目を見て、俺は凍り付いた
その瞳からは、人の感情が失われてしまっている様に見えたからだ
Berserk
数多くの敵に囲まれていたのだろう、という事は周囲の惨状を見れば分かる。
散らかった水晶の様な鉱石の欠けら、イミテーションの残骸…傷だらけのマップ、荒野にも似たそこに一人の仲間が立ちつくしていた。
「スコール、大丈夫か?」
一体何があったのか、常の彼とは比べ物にならない程の破壊をこの目で見て尚、俺は彼がまだ平静を保っていると思っていたのだろうか?
静かに振り返った彼の目と、一瞬目が合った瞬間に、俺はその考えを捨てた。
人間らしさが欠落した目。
何があったのかと心配するより先に、俺はそれが怖いと思った。
そしてその場で、直ぐに逃げれば良かったのかもしれない……いや、逃げたらもっと酷い事になっていたのか?
戸惑う俺よりも先に、彼は動いた。
俺へと一気に距離を詰めて、強い力で俺を地面へと押し倒す、背を思いっきり打ちつけ、痛みに目を閉じる俺の喉元へとヒタリと当てられる刃。
目を開けた俺の目の前には、スコールの扱うガンブレードの刃があった。
「スコール……?」
一体、どうしてこんな事になっているのだろうか?分からない。
混乱する俺は相手の名前を震える声を呼ぶ、彼はそんな俺を見てすっと目を細めた。
首元にあった刃がつっと下がる、俺の着る鎧の継ぎ目へと切っ先が向けられ、その間へと刃が入れられた。
ガチッという不協和音と共に、俺の体を守る鎧が剥がされる。
「ふ…ぁ……?」
俺の上に馬乗りになっている相手から逃げようと身を捩る俺の首元に、再び刃が突き立てられる。
マントの襟元に突き立てられたナイフは、その形に見覚えがある……俺の愛用の品だ。
抵抗しようとした気持ちが一気に削がれる、相手の冷たい目には相変わらず感情は伺えない。
怖い、冷静そうに見える彼の内側にある狂気が……。
「んっ!んぁ」
噛み付く様なキス、咥内を貪る様に蠢く舌の感触に背筋が震える。
酷く熱い舌の感触、冷たく映る相手とは正反対の感触。
震える手で抵抗しようにも、相手はそれを簡単に押しとどめる。
自分の内側から響く水音から逃げたいのに、相手はそれを許してくれない、相手に翻弄されるだけの俺。
「ふぁ……ぁ」
濃厚なキスに力が抜けて、解放され足りなくなった空気を求めて早い呼吸をする。
そんな俺の衣服の前合わせに、ガンブレードの刃が差し入れられる。
「ぁ……っ、スコ…止め」
俺の口から出た弱々しい懇願も虚しく、彼は簡単に俺の衣服が切り裂かれる。
露わにされた俺の体へと触れるスコールの手袋越しの手が、俺の体をなぞっていく。
ゾワリと俺の背筋に走る感覚、寒さの震えとは違う、熱を帯びて戦慄く体。
恐怖に震える俺の上でスコールは笑う、俺の知る微笑とは違う、獣の様にギラつく眩しさを持った欲に塗れた笑み。
整った彼は舌舐めずりする、冷静な彼には不釣り合いな熱い欲望を全面に押し出した表情だ……。
俺の体の上に覆いかぶさった彼が、露わになった俺の上半身へと噛みつく。
どうしてこんな事になっているのか、俺の頭はもう追いついて来ていない。
肌に感じる、彼の吐息と少し強い力で噛みつく歯の感覚が、現実感の無いこの状況でも酷く鮮明に感じられる。
ふと刺し向けられるブレードの切っ先を、俺の足の間に感じた。
通って行くブレードの先がどこに辿り着くのか、怖々としながらもじっと耐えてやり過ごすしかない。
俺の股間部を切っ先が弱く突く、急所を傷つけられるのではないか、という恐怖が体に走る。
そんな俺とは反対に、彼はそのまま俺の下衣にブレードの刃を差し入れる。
「っひ!ぁ……」
肌に感じる金属の冷たさ、それは一瞬で、次の瞬間には俺の衣服を切り裂いて刃は外へと出された。
纏わりつく残りの衣服を、彼は手で破り捨てて行く。
二度と元の形を取り戻せないだろうその衣服を見て、自分までも切り裂かれて行く様な、そんな感覚を得る。
露わにされた自分の性器に、スコールの手が伸びる。
「スコ…何、するんだ?……なぁ、スコール?」
俺の質問にスコールはやっぱり答えてくれない、そのまま俺の性器へ触れそこを握りこまれる。
「ふぁっ!」
恐怖で震えているというのに、人に触れられるとそこは反応してしまうのか。
「スコール、スコールお願い離して!」
そう叫ぶものの、彼はそれを聞いてくれない、聞こえていないのかもしれない。
彼は笑う、見た事ない程に欲に歪んだ笑みで。
痛い、熱い……それが俺の感じた事。
「ぃ……ぁ、あ…」
体の奥にある熱の奔流、こんなものは初めてだ。
恍惚とした表情で俺を見下ろすスコールは何も言葉をかけない、言葉にならない荒い息使いだけが聞こえる。
肉を打つ音が、酷く鮮明に響く。
「はぁ、ぁ……スコール、おねが…も、や」
彼の腕を掴んでそう言うも、彼には俺の言葉は届いていない。それは分かっている、分かって居るけれど俺は助けを求めたい。
誰かに縋りついていたいのだ。
熱に翻弄されている自分を、救い出して欲しいのだ。
「ひぃ!ぁあっ!!」
彼と繋がった場所から響く水音、自分の足を濡らしているのは彼の精液なのか、それとも肉が裂けて流れ出した自分の血液なのか……もう判断する気も失せる。
激しく打ちつける彼の熱に、俺はただ思う。
「スコ…ねぇ、もう助けて……」
俺の中で弾けた熱い熱、それに溶かされてしまう様に俺の意識も白くなった。
目覚めた時、自分の体の至る所に感じる軋みに呻き声を上げた。
「……大丈夫か?」
小さな声でそう尋ねる相手を見て、俺は頷く。
自分の体にかけられていた布と、体にかけられていた衣服を見て、俺はあれは本当にあったのだと思った。
目覚める前と違って、理性を取り戻したらしいスコールは、俺から視線を逸らす様に斜め下の地面を見つめている。
「すまない、俺は……取り返しのつかない事を、した」
体を小さく丸めてそう言う彼。
「も、大丈夫なのか?」
掠れた声でそう尋ねる。
「俺は問題ない!問題なのはアンタの方だ!!」
そう言って俺を見た彼の目には、薄い涙の膜が張っていた。
「俺はアンタを犯した、強姦した、分かってるな?」
「でもスコール、あの時のお前は……」
普通じゃなかっただろう?そう言おうとした俺に、彼は首を振った。
「言い訳にはならない、事実は事実だ」
そう言う彼の頬に、涙の筋が出来る。
とめどなく流れる彼の涙を見て、俺は慌てる。
こんな弱い彼の姿を見たのは、初めてだったからだ。
「すまない…すまない、本当に……」
「スコール」
「許してくれなくていい、俺の事なんて……」
「スコール、いいから」
震える彼の肩を抱いて、自分の胸へと引き寄せる。
項垂れた彼は、拒絶しようとしたが…俺の腕の中へ収まった。
「ずっとアンタの事を、大事にしたいと思ってた……なのに」
そう呟く彼は、俺の胸の中で泣いている。
俺はそんな相手の頭を撫で、そっと呟く。
「おかえり、スコール」
ウチのヘt…奥手のスコールをガン攻めにしてみたい、というスコフリです。
以前、某所で開かれたチャットに参加していた時に起きた誤変換『剥ぐスコ』より、フリオの衣服をガンブレードで剥ぐスコールを見たかったのです。
でも誰も形にされないので、しかも自分が出したネタでしたので自分で形にしてみました。
書いてなかったですけど、一応この二人できてますよ。
因みにスコさんが何故バーサク状態に陥ったのか、それはあんまり突きつめて考えないで下さい。
2010/12/12