強引な貴方に、捕まってしまった俺が悪いんだ
悪い子にはお仕置きを
今日は仕事はなかった、だけど庭師として働く傍ら、勉強している薬の調合について、町医者のミンウさんから手ほどきを受けて帰る頃には、すっかり陽も暮れてしまっている。
「気を付けて帰るんですよ」
「そうだよ、最近、何か物騒だし…フリオニールはしっかりしてるけど、どこか抜けてるんだから」
「分かりました、それと玉…抜けてるは余計だ」
「玉じゃないって!」
見習いの少年が頬を膨らませてそう言う、そんな彼に俺は謝る。
「気を付けて帰るよ、心配してくれてありがとう」
素直にそう言うと、彼は「別に心配した訳じゃないよ」と困ったように言う。
そんな俺達を見つめる師匠に礼を言い、俺は師匠の家を後にした。
提灯の明かりに照らされて、夜道を歩いて行く。
一応、武道の心得もあるのだが…やはり、夜道を歩くのは心もとない。
「フリオニール」
「はい」
背後から声をかけられてビックリして振り返ると、一人の青年がそこに立っていた。
「今日も先生の所へ行っていたのか?勉強熱心だな、君は」
「ウォーリアさん…お勤め御苦労様です」
町役場に勤める知人の役人さんに挨拶をすると、彼はふっと微笑んで俺の隣りへと近付いてきた。
「ウォーリアさんなんて他人行儀でなくていい、いつも通り、ウォーリアと呼んでくれれば」
そう言うと、彼は俺の手から提灯を取った。
「あっ……そんな、ここ外ですから」
頬を染めてそう言う俺の肩へと、彼の腕が回った。
「さぁ、帰ろう」
ギュッと力の籠る彼の腕を、少し押し返して「駄目ですよ、外ですから」とそう言う。
「気にするな、もう夜で人通りも無い…二人っきりと変わらない」
そうは言われても、人目を憚ってしまうのは仕方ない。
彼と俺は所謂“恋仲”にある。
だが、彼も俺も男である…つまりは衆道という事だ、だから周囲の人目を憚ってしまう。
好いているのはその通りなのだが、彼には俺とは違って役場での立場と言うものがある。バレる訳にはやっぱりいかない。
「全く……君は気にし過ぎだ」
「そんな事、言ったって」
静かな民家の並びを歩き、彼と俺が住む家へと向かう。
寺の向こうにポツンと建った一軒家、それがウォーリアの家であり、俺がお世話になっている家。
橋を越えた先、人の住まなくなった民家の側で、ウォーリアは足を止めた。
「ウォーリアさん?」
「済まない、家まで我慢するつもりだったんだが…な」
トンと、地面に提灯を置くと、彼の腕が俺の腰へと伸びて来た。
するりと着物の合わせ目へと、彼の手が滑りこむ。
「ちょっ!ちょっとウォーリアさん、待って!!ここ、外」
いくら人が住んでいないと言っても、ここは他の民家や往来にも近い…もし他の人に見られたりしたら。
「気にし過ぎだ、君は…もう少し、私に気を使ってくれ」
するすると俺の胸元を弄る手つきに、体が震える。
「ウォーリアさん、お願い止めて……」
「止めない、それと…ウォーリアさんではない、ウォーリアだ」
耳元に囁きかけられる彼の、低く熱っぽい彼の声に腰が砕けそうになる。
完全に二人だけの時の声、このままだと、本当に流せられてしまう……。
「お願い…お願いだウォーリア、もう直ぐ家なんだから…もうちょっと我慢、して」
「駄目だ、今すぐにここで君を可愛がりたい…コラ、逃げるな」
彼の腕から逃れようとした俺の腕をしっかりと掴むと、そのまま窓の格子へと引き抜かれた帯で結び付けられる。
背後に立つ彼が、ふと笑ったのを感じて怖々と後ろを伺い見れば。ニヤリと勝気な彼の熱を帯びた笑顔があった。
「これで逃げられないな…さあ、私を拒んだ悪い子にはお仕置きだ」
「い、やぁ……ごめんなさい、ごめんなさい…ウォーリア」
謝ってももう遅い、彼の表情を見てそう悟った。
熱っぽい手が胸や内股を撫でて行く感覚に、肌が泡立つと共に、ゾクリとした快楽の波が背中を駆け抜けて行く。
この体は既に、彼から与えられている快楽に流されかけてしまっている、だけど…全て、全て流されてしまえない。
「ふぅ…………ん、んん…ぅ……」
相手の愛撫に震えるも、声は上げられない。
身を捩ろうとも、腕が括られてしまっていて逃げる事もできない。
立ったまま、震える俺の後ろから彼は俺を責め立てて行く。
「駄目だ駄目だと言いながら、君も随分と感じているな…こんなにも濡れて、固くさせて、震えているぞフリオニール。そんなにイイか?」
「ん…んんん……」
手拭いで猿轡をされている為に声は上げられない、それどころか…目元も布で目隠しをされてしまているので、何も見えない。
感じる彼の手に、俺は抵抗もできず翻弄されているだけだ。
竿を上下に擦られ、亀頭をグリグリと押し潰す様に弄っていく。
それだけではなく、彼の指は後方にある俺の蕾の内側へも侵入し、ナカを平然と荒らし回って行く。
見えない事で、体の感覚がより敏感になっている様で…彼の息遣い、自分の上げる淫らな音にさえも反応してしまう。
敏感になった体はその強い刺激に解放を求めるものの、彼はその先を与えてはくれない。
達しそうになる度に、愛撫を与える彼の手がそれを塞ぎ止める。
意地悪だ!と叫びたいものの、口から洩れるのは意味のないくぐもった声だけだ。
彼に達したいと懇願しようにも、彼にそう申し出る言葉をかける事もできない。
「今ここで誰かが通りかかったら、君のこの卑猥な姿も見られてしまうな」
「んっ!…んんん!!」
それだけは避けたいと思いつつも、体をくねらせる事しか俺はできない。
「大丈夫だ…君の姿は私しか見ない……ほら、どうしたい?」
「ぅ…ん、んん」
「言葉にできなくても、行動で示せるだろう?どうしたいんだ、フリオニール?」
グチ…と彼の手が俺の性器を強く扱う。
彼の手の中で育ちきった俺の熱……それを、早く解放したい。
「ん…んぅ……ん」
彼の手の中にあるそれを擦りつける様に動かすと、背後に立つ彼が、ふと息を漏らすのを感じた。
「ああ……私の手でイカして欲しいんだな?」
そう尋ねる彼に、頷くとフフフと小さな笑い声が聞こえた。
「こんなに必死に腰を振って…君はいつから、こんなイヤらしい子になったんだ?」
貴方の所為だろう!!そう叫びたいが、どうせ言葉になんてならない……だから、彼の笑いに俺は耐えるだけだ。
どうか、早く俺を解放して欲しい、それだけを願う。
「さぁ。私の手の中で、淫らに乱れて達しろ…フリオニール」
塞ぎ止めていた手は解かれて、容赦なく一気に与えられる強い刺激。
「ふっ!ん、んんんんん!!」
ビクンと大きく体が揺れて、彼の手のナカに性を吐き出す。
射精後の強い倦怠感から体の力が抜けるも、括りつけられている為にヘタリ込む事もできず、震える足でなんとか体を支える。
「ヨカッたみたいだな…それにしても、こんなイヤらしい体にはまだお仕置きが必要そうだ」
そう言うと、彼は俺の声と視界を抑制していた布を取り払った。
自由になった口から大きく息を吸い込み、そして思いっきり咽返る。
開いた視界の先には、涙で滲んだ世界が広がっている。
帯を抜かれて、前は完全に肌蹴て体に引っ掛かっているだけになっている俺の着物。後ろに立つ彼は、もうほとんど隠れてはいない俺の左足を持ち上げた。
「……何?」
惚けた頭で考えは定まらずそう口にした矢先、蕾の入り口に熱を感じた。
「ぁ…ウォーリア、それ…待って!お願いだ!!」
「君は天の邪鬼だからな……こんな淫らな体だ、どうせ待ち切れなかったんだろう?」
支えの取れない体勢のまま、彼の熱に刺し貫かれる。
「あっ!ぁあああああ!!」
射精の後でまだ快楽に沈んでいた直後の体に、強すぎる刺激が襲う。
「あっ……ぁあ、あう…うぁああ、ぁん!」
ビクビクと震える体、その中心を全く俺とは違う熱が支配している。
それを感じるだけで内側に力が入る。
片足と両腕だけという体勢も相まって、内側に感じる彼を深く深く、感じ取ってしまう。
「声を抑えなくてもいいのか、フリオニール?……君の淫らで綺麗な鳴き声が、周囲に筒抜けだぞ」
「ぁ!あぁ……そんな、こと…言ったてぇ……ウォーリア、この体勢…無理、奥……凄い感じる」
「私はまだ何もしてないぞ、フリオニール…ただ君のナカへと押し入っただけだ。それにしても、今日の君は随分と熱い…それに、物欲しそうにキュウキュウ締めつけてくる……欲しいんだろう?」
「ひゃっ!ぁあああああん!!」
グッとナカを突き上げられて、思わず甲高い悲鳴が上がる。
それに気を良くしたのか、ウォーリアは俺のナカをどんどんと責め立てて行く。
「君の体は随分と淫らなんだな、こんな所でこんな事をされて…こんなに感じるなんて」
「イヤっ…ちが、ちがうんだ…ウォーリア…俺、そんな淫らになんて」
「なっているだろう?ほら、こんなに感じて」
「あっ…ああ」
分かっている、自分の雄が触れられてもいないというのに、再び熱を持ち始めている事くらい……。
感じている、感じ入ってしまっている。
駄目だと思えば思う程に、彼の熱を締めつけてしまうのだ……でも。
「こんな、俺がこんな事になるのは…ウォーリアの所為だ」
涙交じりの声でそう訴えると、彼が首筋に唇を寄せて口付けた。
「私の所為?」
「俺をこんなに、してるのはウォーリアの所為じゃないかぁ……ウォーリアが、ウォーリアが俺を…こんな、淫らにして……」
「私の所為にするとは、悪い子だな…フリオニール」
言葉とは裏腹に、とても優しい声でそう言うウォーリア。
「もっともっと、お仕置きが必要そうだ」
「ひゃぁあ!ウォーリア……ウォーリア激しい!」
激しく突き上げられて、もう限界が近い。
もう駄目だ、もう駄目……。
「ウォーリア、ウォーリア…もう出ちゃうよ、また…出ちゃ」
「また淫らにイクのか?フリオニール…君は悪い子だな」
耳元で囁きかけられる声に、ゾクリと背中が粟立つ。
「ちが、淫らじゃない……俺、ちゃんとイイ子にして」
「そうか……なら、我慢できるな?良い子なんだろう?」
腰を打ちつける彼が、達しかけている俺を根本でぎゅっと握りこんだ。その痛みに、思わず本当の悲鳴が上がる。
「嫌だ…嫌だ嫌だ……ウォーリア、お願い許して」
「嘘を吐くからだろう、君が。それでどうなんだ?君は良い子なのか?悪い子なのか?」
ああ、この人は意地悪だ…本当に意地悪だ。
だけど、言わなきゃきっと……許してはくれない。
「俺は……俺は、貴方が欲しくって仕方ない…淫らな、悪い子…です」
だから、貴方が欲しい……貴方と達したい。
そう告げれば、背後で満足そうな彼の、笑う声が聞こえた。
「正直にそう言えばいいんだ……さあ、正直なイイ子にはご褒美をあげないとな」
俺の雄から手を離すと、彼は腰を掴んで一気に最奥を穿つ。
「ふぁっ!ぁあああっ…あっ!……ぁああああ!!」
ドクンと、体の奥で熱いモノが弾ける。
その瞬間に俺は再び白い性を吐き出し、欲に濡れた体から…背後に立つ彼のモノが引き抜かれた。
スルスルと、乱れた俺の着物を直して帯を整えると、ウォーリアは俺の顔を覗き込んで微笑んだ。
「相変わらず……君は綺麗だな」
そんな恥ずかしい褒め言葉と共に、口を吸われる。
彼の唇の柔らかい感触を楽しみつつ、優しくしてくれるいつもの彼にほっとした。
時々、彼はとても意地悪になるのだ。
それは俺達が人目を憚らねばいけない関係だと、彼の方は、認めたくないからの様だ。
もしバレてしまったら、陽の下を歩けなくなってしまう……そう言った俺に、彼は酷く怒ったのだ。
「愛し合っている者に……許すも許さぬも、ないだろう?」
確かにその通りだけれど、人々から奇異の目を向けられる事は確かだろう。
俺だけならばまだいい、だけど、彼も一緒だとなると…そんな事はさせたくないのだ。
「俺は貴方を守りたいんだ、分かってくれ」
彼は、そんな言葉を受け入れつつも…俺の持つ劣等感が、気に入らないようだ。
だから……時々、こんな意地悪な事をする。
俺がどんなに、この事が表沙汰になるのを恐れているのか、彼は絶対に分かっていない。
いや……分かっているからこそ、こんな往来でこんな行為に及ぶのだろうか?
「さぁ、帰ろうか…いや、君は歩かなくていい。無理をさせてしまったからな、私が家まで運ぼう」
立ち上がろうとした俺を押し留め、彼は俺を横抱きにすると歩き出した。
恥ずかしいと思ったのだが、彼の腕の中、聞こえてくる胸の鼓動が心地良くて、抵抗するのを諦めた。
それに今は夜だ、すっかり灯りの消えてなくなったしまった提灯では、俺達の姿は周囲には見えない。
縋りつく俺の額に、優しく彼の唇が触れた。
「さぁ、フリオニール…君が悪い子なのが分かったから、帰ったらお仕置きの続きをしようか」
「えっ…………」
「安心しろ、私だけだと言ったから…優しくしてあげよう」
そう言う彼が酷く楽しそうで、俺はもう溜息しか出てこない。
悪いとか悪くないとか言うのならば、そう……貴方に掴まってしまった俺が悪い。
こんな貴方を好きになってしまった上に、貴方に愛されてしまっている…この関係が悪いのだ。
だけど……いつか貴方も言っていた。
悪い事は、止められない。
WOL×フリオで時代モノパロです、チャット宿題品でした。
和モノ大好きです!と公言する管理人が気が付けば「期待してます」と、いう一言を賜ってしまいました。
着物はエロいよねって話です、お約束通り、全力でフリオを縛って、更に後ろから…です。
必殺仕事人的な設定だったのに、必殺仕置き人(フリオ限定)に気付けばなっていたWOL、一番悪い子は彼ですよね。
結局、玉ちゃんの心配は的中してる訳ですね……。
2010/8/17