後悔先に立たずって
“後”悔が、先にできる訳がないんだよな…

それでも、止めなかった事を…俺は悔いた

後悔先立たず

「あぁにきぃ…ただいまぁ」
深夜になる少し前、間延びした声と一緒に帰って来たアイツ。
大学に入り、友達と飲みに行くと言って出かけて行ったアイツ。
未成年なんだから酒は駄目だぞ…そんな俺の言葉が、どの程度届いたのか、それは帰って来たアイツを見て分かった。
全く伝わっていない。

「遅かったな…まったく、そんなに飲んで」
「んー?ゴメン兄貴、寂しかった?」
愛してるよ、と言って俺にキスしてくる弟に、俺は溜息。
「…お前、酔ってるだろ?」
「そぉんな事、ないって」
そうは言うが、彼の大きな声とニコォとした笑顔とトロンとした瞳。
間違いなく酔っている。
「もう!しっかりしろよ」
ふらつく相手の腕を取ると、ゆっくりとした動作で俺を見るシャドウ。
「兄貴?」
「シャワー浴びて、もう寝る?なら着替え出しとくから風呂に…」
「兄貴!」
ダンッという音と一緒に、俺は壁に押し付けられる。
真剣な眼差しで俺を見つめる相手に、額に汗が流れて行くのを感じた。
間違いなく、冷や汗だ。


「どう……したん、だよ?シャドウ?」
「兄貴とシたい」
耳元に吹き込まれる熱っぽい吐息と言葉に、俺は身を震わせる。

「駄目だ、シャドウ…何考えて」
「兄貴と気持ちヨクなる事」
そう言うが早い、何処にそんな力があるのか?と疑う様な力で、俺を無理矢理抱き抱え上げて自室へと向かう。
「ちょっ、シャドウ止め、ヤ…ん」
ベッドに押し倒されると、噛みつくようなキスが降って来た。
相手に文句を言おうと叫びかけていた俺の咥内に、相手の舌が忍び込み、激しく深く口付けられる。
呼吸まで奪う様なキスに、俺の頭はクラクラする。
そうやって体から力が抜けた隙に俺の衣服へと手をかける相手、手早く剥ぎ取られていく衣服に、俺は慌てる。
「はぁ…ちょっ、ちょっとシャドウ…」
「も、兄貴が欲しくてさ、仕方ないんだよ」
俺を押し倒して見つめる相手は、獣の様にギラついた目をしている。
そんな相手に固まってしまった俺を前に、シャドウは自分の来ていた服をさっさと脱ぎ去る。
その下で、既に熱を持って欲望を膨らませている相手の、張りつめた雄を見て…俺は委縮する。
「ぁっ……」
どうしよう、相手を…止められそうにない。


「今日は、兄貴をめちゃくちゃに、イヤらしくしたいな」
「ぁあ!そんな、嫌だっ…んぁ!」
耳を舐め上げられ、手は俺の胸や腰をイヤらしい手つきで撫で上げて行く。
逃げなければいけない、そう強く感じているものの、同時に彼から逃れる術はないと直感的に感じている。

「兄貴、ねぇ兄貴…シックスナインって、知ってる?」
「はぁ……何?」
「ん?知らない?」
性行為について疎い俺が知っている事、というのは…弟によってもたらされた知識だけなのだ。
恐る恐る首を横に振る俺を見て、彼は嬉しそうに笑顔を深めた。
「じゃあ…教えてあげるね、兄貴に気持ちヨクなる事」
そう言うと、体の向きを変えて俺の下半身へと顔を近づける相手。
それとは反対に、俺の目の前には相手の下半身が晒される。
一体何をしようとするのか…不安に感じる俺の、反応し始めていた雄をシャドウの熱い舌が舐め上げた。

「あっ!うぁ…ぁ!」
雄に感じる直接的な刺激に、体が震える。
「ほら、兄貴…兄貴も俺の、して」
そんな声がかけられ、相手の下がやまずに俺を攻め立てて自分もと強請ってくる。
恥ずかしく感じながらも、相手の張りつめた雄に恐る恐る手を伸ばし、その先端に唇を付ける。
「ん……」
やわやわと先端をゆっくり舐め上げると、ビクンと相手の雄が反応を見せる。
ドクドクと脈打つソレを、優しく舐める。
「そ……兄貴、イイ子だね」
嬉しそうにそう言う相手は、俺の雄を音を立てて舐め上げる。
その音にすら、反応してしまう自分は、高まる快楽に流されまいと必死になる。
だが、相手に与えられる刺激は俺の注意力を他へと逸らす事なんて容易で、ついつい、彼の欲から口を外してしまう。
「あっ!…ん、んんん…っぁ、はぁ…ふっ」
相手からの刺激で、どんどんと自分の下半身に熱が溜まっていくのを感じる。
漏れ出す自分の声に羞恥を感じるも、音を立てて俺の欲を舐め上げていく水音にも、恥ずかしさを感じてしまう。
そんな俺の雄から、ゆっくりと相手の舌が離れた…そう思った次の瞬間。
「ふぁっ!ぁあああん!!…ちょ、しゃど…食べないで」
本当に食べられるのではないか?と思う程に、深く深く、俺の欲を咥え込む相手。


「んーんん、んんんんん」
「こ…ら、ぁっ!咥えた、ひゃんっ!…まま、喋るなぁ」
相手の舌が絡まる感覚と、柔らかい咥内に包まれ…強い快楽が身を揺さぶる。

「っは!…ほら、兄貴も俺の咥えて、しゃぶってよ…もっと」
「っえ……」
「足りないんだよ、兄貴…もっと…ヨクして」
そう言って押し付けられる相手の雄の、強く香る男の臭いに咽そうになる。

コレを、咥える?

そんな事を想像しただけで、羞恥に体が火照るのを感じ、ぎゅっと目を閉じる。
「ね、兄貴…お願いだからしてよ」
「あっ!ぁあああ!!」
思わず上がる悲鳴。
そう言う相手の手が、俺の雄をぎゅっと握り込んだのだ。
「ねぇ、兄貴…お願い」
「ヤッ…おねが、離し…手、離して…」
幹の部分を強く握りしめられ、思わず涙が滲み出る。
何より、片方の手は握りこんで快楽を塞ぎ止めようとしているのに、変わらずに先端には舌が絡まるのだ。
生じる快楽と、増幅する苦痛。
快楽を感じていた部分を強く抑えてけられ、そこに生じる苦痛がだんだんと強くなる。
「シャドウ…ねぇ、ね…おねが」
「兄貴が俺のちゃんとしてくれるなら、兄貴だって好きなだけ気持ちヨクしてあげるよ…。
ねぇ、だから俺のをさ……兄貴の可愛い口いっぱいに、頬張ってよ」
俺は再び、目の前にある相手の張りつめた雄を見つめる。
トクトクと脈打ち、先走りや俺の唾液によって淫らに光る相手のモノ…。
「はぁ……ん」
ゆっくりと、まずは先端だけを少し咥えて相手の様子を伺う。
「ん…いいよ、兄貴。もっと、深く」
「んん!」
物足りないのか、腰を揺らしてもっと奥へと入り込もうとする相手のものに、咽返りそうになる。
いつも、俺はコレに自分の内側を穿たれているのか……。
そう思うと、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしく、また…不思議な気分だった。
普段とは違う部分で、相手の熱を受け入れている…。
そんな考えと一緒に、こんな事を相手にさせていた自分に驚く。

「だって、兄貴に気持ちヨクなって欲しいし」
平素、相手を気遣って静止の声をあげる度に繰り返される言葉。
それを思い出し、ゆっくりと這わせる舌の動きも少しずつ大胆なモノへと変わっていく。

「んっ!兄貴、いいよ凄い気持ちイイ」
「ふっ!ぅん……」
俺の雄を手で愛撫しつつ、シャドウの舌が蕾へと伸びる。
指とも彼の雄とも違う、熱と太さを感じさせるソレは、内部へと向かってくる。
「ふぁ…ぁ、んんん…ん」
口に含んだ彼のもののお陰で、快楽による色のある声は抑えられている。
だが、その代わり彼が俺に刺激を与える度に、ついつい強くソレを吸い上げてしまう。
「ん、イイよ…凄い気持ちイイ」
俺の雄の先端をグリッと押し潰す様に弄られ、俺は全身に電流が走り抜けた様な快感を感じた。
駄目だ、もう……。


「ふぅ!んんん!!」
ビクンと体が震えて、俺は精を吐き出す。
「んっ!く……」
その瞬間に思いっきり彼のモノを吸い上げて、そのまま、口の中に彼の性を受ける。
ズルリと口の中から引き抜かれる彼のモノ。
なんとか、中の性を嚥下するものの、全てを飲み込む事などできなくて咽てしまった。
「ゴメンゴメン、大丈夫?兄貴?」
体の向きを変えて、彼は俺の背をさする。
すっかりと火照った体には、その動きもどこか性的に感じてしまった。

「あっ……しゃど…」
「兄貴ってば、エロい…ねえ、コッチにも貰っていい?」
クチ…という音と一緒に、俺のナカへと指が入れられる。
この先に何をされるのか、そんな事はもう分かっている。
だけど、その問いに首を横に振る様な力は、もう俺には残っていない。
「シャドウ…も、俺」
「ん?欲しいんだね、フリオニール」
彼はニッコリと俺に笑顔を見せた。
それはそれは、もう酷く嬉しそうな笑顔。


翌朝、すっかりと体を悪くした俺は、一先ず、彼に対して一つの誓いを立てる。
絶対に、コイツに酒は飲ませないでおこう。

あとがき

久々に書いたアナザー×ノーマルフリオ。
何書きたかったのかって、この二人で69をさせたかったんですよ、ええ…以前、ウチで開いたチャットの時に自分で言いましたので。
とりあえず…69が何か分かって頂けたでしょうか?

いや、69させると言ったので…もうそこにスポットあてた方がいいんじゃね?という事で、本番部分はカットしました。
これから先、弟君はお兄ちゃんをとっても美味しく頂きましたとさ、という事です。
フリオは酔うとエロくなると、私は信じて憚りません。
2010/7/8

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