直球すぎる告白の台詞。
いや、いやいや・・・。
いやいやいやいやいやいやいや。
ありえない。
「・・・・・・・・・はい?」
聞き返したくもなりますよ、だって貴方、分かってますか?この状況。
自分が誰で、俺が誰なのか分かってますか?ちょっと・・・。
何で、貴方そんなに真剣なんですか?
皇帝サマ!!
恋は思案の外
恋愛というものは人を変えるもの、らしい・・・。常識では律しきれないものであり、そして多くの人はそれに捕らわれてしまうものだ。
それは人の感情なんて持ってないんじゃないか?と思われるこの冷酷な男も例外ではなかった・・・という事なのか?
「フリオニール、お前を恋慕っている、と言ったつもりなのだが?通じなかったか?」
・・・・・・・・・例外であってほしかった。
いや、例外といえば例外か・・・。
「あの・・・皇帝、俺は男なんだけど・・・・・・」
「分かっている、私も男だ」
「・・・・・・・・・」
「それがどうかしたのか?」
どうかしたのか?で片付けられるような問題じゃないよな!?これ。
「俺達、敵同士だけど」
「ああ、そんな事か」
いや、これはそんな事で済ませられる問題じゃないぞ!
お前はどうか知らないが、俺はお前に恨みの一つ二つ確実に抱いてるから!
「お前は、そんな細かい問題にこだわるのか?」
「いや、全然細かい問題じゃないだろ!」
「過去や性別に捕らわれていては、未来等開けんぞ」
いや、過去は事情にもよるかもしれないが、性別は問題にしてくれ!。
っていうか、お前の描く未来がどんなものなのかは知らないが、俺はそんなものは見たくない。
一体、どうしてこんな事になっているんだ?
俺は目の前に立つこの男との最終決戦に臨む為に、パンデモニウムへ来たはずなのだ。
なのに・・・何で?こんな事になているんだ?
おかしな世界だとは思ってたけど、まさか・・・ついに、この男の頭までイカレてしまったのか?
「フリオニール、私と共に私の支配する世界を見ようとは思わないか?」
・・・・・・・・・そうだ、そうに違いない。
でなければ、悪い夢だ、今まで見た事もないくらいの悪夢だ。
そうでなければ、この男がこんな事を言うはずがない。
「皇帝・・・お前、大丈夫か?」
「大丈夫ではないな、お前を支配したくてしょうがない」
・・・・・・・・・もう、俺泣いていいですか?
何かもう、精神的に疲れてきた・・・。
誰か、俺に癒しを下さい、切実に・・・。
「どうした?何をそんなに悩んでいる?」
目の前の状況から目を逸らすために、額に手を当て俯いていた俺の頬に皇帝の手が触れる。
「悩む必要等、どこにもない・・・」
触れた指がするりと移動し、顎に掛けられる、そして俯いていた顔を上に上げられる。
皇帝の整った顔が目の前にある。
「お前は、ただ私を望めばいい」
そう囁き、近付く皇帝の顔を見て・・・俺の思考は一瞬飛びそうになったが・・・・・・。
「いい加減にしろ!!」
「っぐぅ・・・」
皇帝の鳩尾に一発、拳を思いっきり叩き込む。
皇帝の手から開放され、ちょと安心した。
床に蹲る皇帝、どうやらかなりいい所に入ったらしい。
「フフ・・・お前は、随分恥かしがり屋のようだな・・・そういう所も、可愛らしい」
何か、良いほうに受け取った。
凄いポジティブシンキングだ・・・でも、前向きになろうとしてるその姿勢が、何だか痛々しい。
「全く、そんなに恥かしがる必要もないだろう、ここには私とお前の二人しかいない」
「いや、そういうわけじゃなく・・・」
「さあ、コッチへ来い、存分に愛でてやる」
ニッコリと笑顔で、俺に向かってそう言う皇帝。
すみません、何時もの冷笑より全然その笑顔の方が恐怖です。
「遠慮します」
恐怖のあまり、つい敬語になってしまった。
「遠慮等いらない」
「お断りします」
「断る必要もない」
俺に権限は無いのか? 告白って、普通相手に受けるか受けないかの権限あるよな?
いや、疑問系にする必要もなくあるだろ、普通!!
完全に、俺の意思は無視か。
何言っても無駄なのか・・・・・・。
「フリオニール、さあ私の元へ・・・」
「誰が行くか!!」
素早くストレートアローを打ち込む。
マップ激突効果でプラスダメージ280。
いい加減にストーリーを進めてくれ、クリスタルを手に入れて仲間の元に早く帰りたい。
「フリオニール・・・まさかとは思うが、お前・・・私の求めに応えるつもりはない、のか?」
「いや、まさかじゃなく、そのつもりだけど」
平然とそう答える俺に、皇帝の表情が固まった。
「何と・・・何という事だ・・・・・・一体私は何を間違えたと・・・」
いや、性別の壁の時点で間違いに気付いてくれよ。
「残念だがな、皇帝・・・俺は俺の夢がある、そしてその夢の為にはお前を倒す必要がある。
これは避けられない事だ」
「・・・・・・・・・」
「お前の支配だか何だか知らないが、そんなものに屈するつもりはない!」
そう言ってしばらく相手の様子を伺っていると、俺の周囲に皇帝が良く使うあの黒い球体が浮かぶ。
っあ、どうやら今のショックで本来の自我を取り戻したようだ。
放たれた魔法攻撃を避け、相手を睨む。
「どうした?夢は終わりか?」
あのCMの決まり文句も立派に決まった。
良かった、本当に普通の普段の皇帝に戻った・・・・・・・・・。
一先ず、俺の『悪夢』は終わった。
「ウボア———」
聞き飽きる位聞いた、あの敗北の叫びがパンデモニウム内に響く。
「フリオニール・・・私は諦めんぞ」
黒い闇に溶けて消えていく皇帝を見下ろしながら、彼は俺の顔を真っ直ぐ見つめてそう言う。
「待っていろ、何時か必ず・・・この腕に、お前を抱きしめる!」
俺の頭の中でピシィという、何かがひび割れるような音がしたような気がする。
「必ずや、私の気持ちに応えさせてみせる!!」
そう言って、皇帝は消えてしまった・・・・・・。
アレ、悪夢じゃなかたのか?
それとも、今も俺は悪夢の中に居るのか?
なあ、誰か何か言ってくれないか?
薄紅色のクリスタルを手に、呆然と立ち尽くす俺の背後から仲間の声がする。
それを聞いて、ようやく現実を近くに感じられた俺は仲間の方へ走る。
いや、走ろうとした。
俺の腕をしっかりと掴む誰か、第三者が居る。
恐る恐る振り返ってみると、それは予想通りの人物だった。
「フリオニール、私では一体何が不満なんだ?」
ぐっと、俺の腕を掴む金髪に派手な衣装の男。
「・・・・・・俺、確か今お前を倒したと思うんだけどなぁ、皇帝」
そして、何かすごく諦めの悪い台詞を吐いて消えていったよな?つい一分ほど前に。
「お前に会いたくて、地獄の底から蘇ってきた」
素晴らしい笑顔でそう話す皇帝。
わざわざ俺に会いに来るためだけに蘇ってこないで下さい。
恋愛というものは人を変えるもの。
常識では律しきれないものであり、そして多くの人はそれに捕らわれてしまうもの。
ハングリー精神も、ポジティブシンキングも、決して悪いものではない。
一途なのはいい事だし、惚れた相手に一直線っていうのも、まあ大切にしてるって意味ではいいだろう。
使い方さえ、間違っていなければ。
「私の間違いを教えてはくれないか?」
真剣な顔でそう話す皇帝。
お前の間違い?そんなものはな。
何か、もう全部だろ。
「永久に地に沈んでおけ!!」
俺の拳が皇帝の鳩尾にクリティカルにヒットし、その場に蹲ったのを見て、少し距離を取りストレートアローを放ておく。
再びパンデモニウムに皇帝の断末魔の叫びが響くのを聞く前に、俺は仲間の元へと走った。
あとがき
何かもう、書いている本人が物凄く笑ってしまいました。
一切意味不明、何なんですかね?この皇帝サマは。
タイトルの『恋は思案の外』は、恋は人の理性をおかしくさせるので、常識や普通の考えではとうてい理解不能だ、って意味だそうです。
そのまま、ですね。
鬼畜な皇帝様大好きなんですけどね、私文章力ないんで、皇帝様をカッコよく書ける自身がまだありません。
でも、だからってこれはどうなんでしょう?
そうそう、これ、四部作の予定です。
このグダグダ感満載の話を、まだ続けるつもりです。
後3話の内に、皇帝がもうちょっとカッコよくなればいいですね、そしてフリオがどうなるんだか・・・。
2009/2/14
何かもう、書いている本人が物凄く笑ってしまいました。
一切意味不明、何なんですかね?この皇帝サマは。
タイトルの『恋は思案の外』は、恋は人の理性をおかしくさせるので、常識や普通の考えではとうてい理解不能だ、って意味だそうです。
そのまま、ですね。
鬼畜な皇帝様大好きなんですけどね、私文章力ないんで、皇帝様をカッコよく書ける自身がまだありません。
でも、だからってこれはどうなんでしょう?
そうそう、これ、四部作の予定です。
このグダグダ感満載の話を、まだ続けるつもりです。
後3話の内に、皇帝がもうちょっとカッコよくなればいいですね、そしてフリオがどうなるんだか・・・。
2009/2/14