ずっと前から、お前の事が欲しかった…
大罪元凶
帝国軍で指揮を執っている時、彼が俺に向けた目…強くギラつく怒りや憎しみに満ちた、金色。
今まで一度として向けられた事のなかった強い光に、心が躍った。
どんなものであれ、彼の思考や感情一杯を俺が占拠していた瞬間。
その、なんと心地よい事か……。
しかし今は違う。反乱軍に加わる事を許された後は、優しさや思いやりに満ちた柔らかな瞳で彼は俺を見つめる。
ダークナイトが俺だと知った瞬間に見せた、あの戸惑いの影も消えて。マリアやガイに向けるのと同じ、家族の色を湛えた瞳で。
そんな彼に微笑みかけるが、俺の中に居る何かが叫んでいる。
もう一度、この男の全てを占拠したいと……。
獣の本能の様な熱く暗く禍々しい感情が、俺の内側で暴れている。
そんな獣を俺は殺して来た、あの日から何度も何度も殺してきた、それでもコレは息絶えてくれない。
血の滴る最高の餌を、一度でも味わってしまったが最後…もう一度、俺は欲しているのだ。
彼の全てを、俺で埋め尽くしたいと……。
「レオン、ハルト……?」
俺を不思議そうに見つめ返すフリオニール、困惑と混乱と少しの恐怖が入り混じった視線。
「あの…レオン、どうしたんだ?俺…何かしたか?レオン…っん!!」
唇を塞いで彼の言葉を奪う。ビクンと大きく跳ねる体を抑えつけて、深く深く彼の咥内を貪り喰う様に荒らし回る。
「ふっ……んぁ!っは!!…はぁ……何の、つもりなんだレオン!!」
抗議する彼の目に怒りの色が浮かぶ、口付の合間に呼吸が出来なかったらしく荒い息を吐いた。
まだ、こういう行為を知らないらしい。それを知って、俺の中の獣が涎を垂らして喜びの声を上げるのを感じた。
「フリオニール聞いてくれ。ずっと以前から、お前の事が好きだった」
「好き…って?……それが、どうしたんだ?」
「この状況でまだ分からないなんて言わせないぞ、ずっと前から俺はお前の事を愛していた。家族の情とは違う、特別な感情だ」
そこまで言うと、再び彼の唇を塞ぐ。
彼の吐息まで奪う程に深く、他の誰にも彼を奪わせる気は一切無い。
「フリオニール…俺のものになれ」
命令口調でそう言う、俺のものになれば幸せになれるハズだと俺の中で獣が囁いている。
しかし、俺の希望とは裏腹に相手はゆるゆると首を横に振る。
どうして、俺の言う通りにしない?
お前は俺のものになるんだ、そうだろうフリオニール。
嫌だと叫んで抵抗しようとする相手を抑えつけ、着ていた衣服を取り払う。
露わになった肌を撫でるとビクンと大きく震える体、張りある若い瑞々しい肌の上にある無数の浮きあがった傷跡を撫で、その一つ一つに怒りが湧いてくる。
見た事もない男、いやモンスターか?どこの誰かは分からないが、俺以外の痕跡なんて必要ない。
「ふぁっ!…レオン、何して?」
傷跡を指先で舌でなぞり上げ、時折弱く噛みつき肌を吸い上げる。
この体のどこを見ても俺を思い出せばいい、俺から与えられたものがこの体に染み付いて、永遠に刻み込まれてしまえばいい。
嫌だ嫌だと何度も首を振るフリオニール、しかし荒い吐息は熱く、拒絶する声も震えている。
体を撫でている手を下腹部へと伸ばす、足の付け根から彼の熱へと触れる。すっかりと形を変えた彼の欲、口では何を言おうとも体は感じているのだ。
ズボンと共に下着を取り去り、生まれたままの姿にさせる。
「はっ…ぁ……いやだ、見るな」
頬を真っ赤に染め、形を変えた男根を隠そうと手を伸ばすフリオニール。その腕を取り、頭の上で括りつける。
目に涙を一杯に溜めて必死に俺を見つめ返すその姿が、酷く俺の欲を呷る。
「ぁ、ぁあ!!」
起ち上がった欲望を少し手で撫でるだけで、甲高い悲鳴の様な声を上げる相手を見てほくそ笑む。
「気持ちイイのか?」
そう尋ねると真っ赤になって黙り込んでしまう、見つめられる視線に耐えきれず視線を外す相手。
俺を見ていろ、俺から逃げるな。
俺のモノになれ、フリオニール。
「ん、くぅ…」
視線を逸らした相手の口の中へと指を差し入れる。口の中をなぞり、指で舌を挟み込んだりしていると何度かえづいた。
しっかりと唾液で指が濡れた頃に勢いよく引き抜けば、激しく咳き込む。
「はぁっ!………ぁ…レオン、ハルト…何して?」
唾液で濡れた指で、ぐるりと蕾を撫で上げる。人に触れられる場所ではないだけに、驚きで目を見開き俺を見つめる相手。
彼の質問は無視して、俺はそこへと指を突き入れた。
「ひっ!!」
驚いたのかぎゅっと強く締めつけてくる、誰にも暴かれた事等は無い彼の体を乱暴に解していけば、引きつったような声を上げて小刻みに震える。
初めての感覚なのだろう、怖いのだろうか?
大丈夫だと安心させる為に、彼の頬へ優しく口付ける。すると、助けを求める様な目が俺を見つめた。
「な…レオンハルト、お願いだ…俺が悪いなら謝るから、お願いだ…もうやめて」
涙ながらに訴える相手だが、その言葉は俺が求めているものではない。
俺はお前に求めて欲しいのだ。俺と同じ様に、お前の体の奥底に眠る獣が俺を喰らい尽くしたいと、そう渇望して欲しい。
「俺のものになるんだ、フリオニール」
再度そう呼びかけてみても、彼は首を横に振る。
どうして、俺の求めに応じてくれないんだ?
俺はお前が欲しいんだ、他の何よりもお前が欲しい。
相手が欲しいと望む俺の雄を取り出して、解した中へと突き挿れる。
全てを俺のモノにする為に。
「はっ!!ぁあ…あ!」
痛みから目を見開き、震える腕を掴んで俺の背中へと導く。
熱い体内は狭く、俺が入り込むのを拒絶している様に感じる……それでも震える体を開いていくと、本物の処女の様に内股に血が流れ出た。
全てを彼の内側へと治め、ふっと息を吐く。
彼の中に居る、それだけでこんなにも幸福だと感じるものなのか。
「フリオニール……」
「はっ……ぁあ…あ、ぁあ……レオン、レオン…が俺の、なか…」
「ああ、お前の中に居る」
フルフルと震え大粒の涙を零すフリオニールを、少しでも落ち着けさせようと優しく撫で、顔中に唇で触れる。
それでも彼の涙は止まらない。
「あっ、俺…男なのに……男なのに、こんな事……」
恥ずかしめられているとでも思っているのか、それは違う。
「フリオニール、俺はお前を愛しているんだ」
そう言って彼の唇に優しくキスすると、強張っていた彼の体から少し力が抜けた。
「フリオニール、お前が好きだ」
好きだと再度耳元で囁けば、背中へと導いた彼の手が俺の体を抱きしめる。
「ちがう、変だ…こんなの……」
涙を零して首を振る相手に、俺は溜息を吐く。
信じてくれ、俺はお前を愛しているんだ。
俺を抱きしめるその手は、俺の事を信じてくれているんじゃないのか?
もう、お前は何も考えるな…俺の事以外、何も。
「ふぁっ!ぁ、ぁあ…」
熱い体を揺さぶって、我も忘れさせる程の快楽を相手に与える。
零れ落ちる涙は、苦しみなのかそれとも与えられる熱に浮かされたものなのかも分からない。
ただ彼を貪り尽くしたい、それだけを考えていた。
「レオン、も…お願いだからやめてくれ……」
熱い吐息と一緒に、何度も何度も止めて欲しいと彼は俺に訴えかける。
彼の中へと欲を手放せば、悲鳴に似た歓声を上げる相手。
悦んでくれている、そう感じた。
「お前が好きなんだ」
「なら、も…やめて…やっ!ぁあ!!」
成り立っていない会話。
熱に浮かされた意識では、まともな言葉なんて出てこない。
それでも、愛されていると感じて。
半ばそうだと信じ込んで、俺は彼を愛する。
何度も何度も、熱い体内を穿ち。
痛みさえも取り攫う程に、俺を感じてくれる相手を愛していた。
隣りで眠る義弟の姿を見つめ、ふと溜息。
何もかも喰い尽くして、骨の髄までしゃぶりつくして、俺の中の獣は満足して眠りについた。
これは確かに俺自身が望んでいた事だ。
俺だけが、望んでいた事だ……。
「すまない、フリオニール」
謝った所で許される事でないのは分かっている、それでも言葉にせずにいられなかった。
目覚めた時に、もう一度この言葉を口に出来るように何度も反復する。
彼は俺を憎むだろうか?それとも、許してくれるのだろうか…分からないけれど、彼の中に俺は深く刻みつけられた事だろう。
その体に刻みつけられた、どの傷跡よりも深く深く。
彼の心へと。
許して欲しい訳ではない、俺の心の中に巣食う獣を、俺は殺せなかった。
全ては俺の責任だ。
だけど……嫌われようと、彼が憎悪の念を俺に持とうとも…俺は満足できるかもしれない。
彼が俺だけを見て、その思考一杯に俺が満たされるなら。
それで、充分だろう?
そう獣に問いかける、何も返答は無かった。
フリーリクエスト小説で、フリオに執着するレオンハルトでした。
レオンハルト兄さん、好きですけれど…毎度毎度書く度にギャグに走ってしまうので、格好良い兄さんを目指してみました。
欲とか感情に溺れて暴走している間はいいけれど。ふと我に返った瞬間に、この人はきっと反省するし謝るんだろうけれど、許してくれとは言わないだろうな…と思ったのです。
彩音様のみお持ち帰り可です。
大幅に遅くなりました、申し訳ありません…お気に召して頂けると嬉しいです。