夏の一番最後。
ずっと引かれていたその光に、俺の想いをぶつけてみた。
人生、予想通りになるものなんて何もない!
「俺、お前が好きだ」
そしたら、相手はビックリしたみたいだった。そりゃそうだよな、普通は男に言われるような台詞じゃねえし。俺だって正直、これはありえないと思ってる。
ストバスのコートに立ち尽くしたままの火神を見つめ、俺は言葉を待つ。
純粋で、お人よしなコイツの事だから。真っ赤になって言い返してくるんじゃないだろうか?それとも、言われた意味をちゃんと理解せずにトンチンカンな事を言ってくるかもな。
どとらにしろ、嫌われたらどうしよ……なんて心で溜息を吐いた時だった。
「マジで?俺も、お前の事好きだぜ」
「えっ」
驚いて相手を見ると、凄く嬉しそうな顔でそう言ってきやがる。
やっぱりな、コイツは勘違いしてる。多分、友人として好きとかお前とのバスケが好きとか、そういう解釈してるんだろう。
訂正するべきかどうか、迷っていると火神は俺に近づいて来た。何だよ?と言うよりも前に、俺の肩に腕を回すとニッと口の端を上げて、少し妖しく笑う。
「良かった、お前も俺の事好きで。日本じゃゲイなんて少ないしさ、カミングアウトする奴も珍しいから、どうしようか迷ってたんだよな」
「は、はぁ?」
どうしよう、色んな情報が頭の中に入り込んできて理解不能だ。どうしたらいい?
とりあえず聞いておくべき事は、まず一つ。
「何、お前……ゲイだったの?」
「そうだぜ。っていうか、青峰は違うのかよ?俺の事好きなんだろ?」
「そうだ、けど。俺はお前が好きなだけで、別に男が好きってわけじゃ」
「じゃあバイか。そうだよな、お前って巨乳好きだし。てっきりノンケかと思ってたんだけど、そっか、違ったのか」
違わねえよ、俺は普通にノンケだっつの。ただ、お前が特別な例外だっただけだ!
そう言い返すと、火神はキョトンとしたようだがしばらくして、ふっと柔らかく表情を崩して笑った。あまりにも綺麗に笑うもんだから、思わずそれに見惚れちまった。
「青峰ってさ、思ってたよりもピュアだな」
「ピュア……って」
それは、お前の方じゃなかったのか?
さっきから全然予想と違う反応をされて、俺の頭の許容量はかなり逼迫してきてるんだが。火神は俺の肩に回していた腕を首に回して、正面に向き直る。
そうして、またあの妖しい笑みを浮かべると、そうする事が決まっていたような自然な流れで、俺の唇に自分の物を重ねてきた。
ビックリして肩が跳ねたのを感じて、ふっと火神の鼻から息が漏れる。どうやら、俺の反応に笑っているらしい。
それにイラついて、少しはやり返してやろうと舌を差し入れてやったら、待ってましたというように絡み取られる。気が付けば、責め立てようと躍起になっていたハズなのに、俺の方が舌を吸い上げられ、咥内を舐められて、どんどん塗り替えられている。
「はぁ……ん、どうだ?良かったか?」
キスが終わって、トロンとした熱っぽい目で俺を見つめる相手に、完全に息が上がっている俺は無言で少しだけ頷き返す。
初めてじゃない。コイツ、絶対にかなり慣れてやがる。
悔しいと思う気持ちと、腹の底に渦巻く不満に自然と眉間に皺が寄る。それを指摘されて、煩いと言って相手の腕を振り払うと、すぐにすり寄るようにまた肩に手が伸びた。
「何だよ、ファーストキスがお前じゃなかったの、そんなに不満か?」
そういうわけじゃない。
でも本音を言えば、、俺が教え込みたかったというのはある。
絶対に可愛かったと思うんだよな、キスしたら恥らって真っ赤になる火神。ディープキスの時に、舌とか慣れなくて息が上がって、どうしようもなくて堪らないようなそんな顔、見たかった。
「青峰さ、お前やっぱりピュアだな。こんな程度でその反応って、意外。まあいいや、美味しそうだし」
「お、まえ……つーか美味しそう、って」
「美味しそうなもんは美味しそうなんだよ、俺の好み。体格良くって、無茶しても大丈夫そうだし」
おいおい待てよ火神。お前は今、凄く優しい顔してるけど、目はマジで獣のごとくギラついてるぞ。あと、発言も待て……それはまさかだが、俺を喰いたいと?
「火神、ヤルなら俺がタチな?」
「タチって何だ?」
知らねえのかよ!こんな喰う気満々のくせにそういう事は知らないとか。この帰国子女が!
「男役の事だよ!その……セックスの時の!」
セックスと言う時に、少し声が小さくなって震えたが、そんな事気にしてられない。
そんな俺を見て、しばらく間があってから火神は噴き出した。待て、今どこに笑う要素がある?そう聞いてやりたいが、火神はいつの間にか腹を抱えて大爆笑してやがる。
「な、おま……やべえ、ハハ、笑い止まらね。SEXって言うだけで、何、そんな震え……ハハハ。うわー、らしくねえ!」
「うっ、うるせえ!兎に角、俺は突っ込まれるの勘弁だからな!」
「いいぜ別に、俺どっちかと言うと抱かれる方が好きだし」
はい?
いや、聞き間違いか?俺の気のせいじゃなければ、今お前、抱かれる方が好きだって言ったか?
「なあ火神、嘘だろ?頼む、冗談だって言ってくれ」
「何が?ああ、アナルセックスの経験ある事?別に嘘じゃねえよ、むしろ経験あるから男好きなくらいだし」
いやいや、おい。もう頼むから本当にいい加減にしてくれ!俺の純粋でお人よしな火神のイメージが、音を立てて崩壊してくのが分かる。
頭を抱える俺に対し、火神は首を傾げてどうした?と尋ねる。ああ、その動作は間違いなく純粋でお人よしな可愛いものだよ、騙されてたわ。
「何かさ、日本人ってヴァージンに凄い幻想持ってるよな。でもさ、実際に男同士でするのに、二人とも経験無かったら結構、面倒だぜ?」
ああ、うん。そうかもな、でもよ火神……そういう事ってもっとオブラートに包んで話そうぜ?っていうか、一応これは確認した方がいいよな?
「なあ火神、お前さ……俺と付き合う気、ある?」
「えっ、あるぜ?」
「体目当てとか言わないよな?」
つーか、それ言われたら泣けるわ、色んな意味で。そんな、心が折れるんじゃね?と覚悟して聞いた言葉に、火神はさっき以上に爆笑しだした。
「体目当てって……お前、んな事気にするとか、ヤベッ!可愛い、おま……青峰、スッゲー可愛い奴だったんだな!」
「笑い過ぎだボケ!」
「しょうがないだろ、お前が想像以上にピュアなのが悪い!……あのな、青峰。きっと分かってないんだろうけど、お前は俺の好きなもの全部兼ね備えてるんだぞ。顔とか体とかだけ目当てなら、好きとか言ったりしないって、その気がないのにそんな事言うとか、フェアじゃないだろ?」
火神の言葉に、自分の頬が熱くなってくるのを感じる。よくもそんなこっ恥ずかしい事を平気で言えるな。でも、お前が人を誑かすタイプではないのは分かった、もしそういう気配があったなら気付けたと思う。性に対する感覚は歪んでいるが、対人関係に対するコイツの感覚は真面目なのは間違いない。
「大体、お前を相手に本気にならないとか、無理だから」
俺を見て頬を、赤らめると小さな声で言う。ようやく、俺の想像していた火神の顔を見る事が出来た。安心してギュッと抱き締めると、背中に相手の腕が回った。柔らかく抱き締めてくれるその温もりに、安堵を覚えた時だった。
「ってわけだから。これから俺の家、来ない?」
「すまん、どういう訳でお前の家に行かないと駄目なんだ?」
「だから!お前を本気で俺に夢中にさせとかないと、俺は不安で仕方ないんだって……だから、二人っきりになれる所行こうぜ」
なんて真っ赤になって言われたら、そうだなって頷くしかないだろ!
それで、火神の家に行き。勧められるままシャワー浴びて、リビングのソファーで寛いでいたところ。風呂を終えて出て来た火神が隣に座った、俺の手を握ってニコッと微笑む。可愛いよなコイツとか思ってたら、ちゅっと音を立てて俺の頬にキスしてきた。驚いて見てみると、ニッと歯を見せて笑う。なんだよ、やっぱり超可愛いなコイツ!
お返しだ、とばかりに同じようにキスしてやるとくすぐったそうに身を捩る。しばらくそんなキスの応酬が続く。ああ、なんつーか恋人同士って感じするな。
そうして気が付けば、キスは口に触れる物に変わり、段々と深くなっていく。ふと気を緩めていたら、何時の間にかソファーに押し倒されていた。
「なあ、火神……おまえ、ちょっと待て」
「どうしたんだよ?」
「お前、何する気だよ?」
「何って……SEXだろ」
何を当たり前のように言ってるんだよ!あまりにもナチュラルに押し倒されてて、流されそうになっただろ!その動作の隙の無さには流石に感服したぞ。
「お前、体目的じゃないって言ったよな?」
「ああ、でも恋人同士ならSEXするだろ?」
「するけど!付き合って二時間ではしねえよ」
「するだろ、俺はヤったぞ」
本当に、何でコイツはこんな純粋に爛れた恋愛できるんだよ?悪意ないから余計に性質悪いし、マジもう勘弁してくれ。
「なあ火神、あんまり聞きたくないけど。お前、今までに何人彼氏いたんだ?」
「えっ、一人だけだぞ」
待て待て、その彼氏ってどんな奴だよ?お前、その一人にどんな調教されてんだ?
「あっ、でもセフレとか居たから、ソイツ等入れると……」
「悪い、もうそれ以上は聞かないでおく」
ヤバイな、予想以上の遣り手だった……つか、お前って今年で16だよな?それでここまでやり手って、初体験いつだよ?
完全に頭を抱え込んだ俺に、不思議そうに見つめる火神の顔が映った。畜生、可愛い顔してんだよな。
「安心しろよ青峰。俺、日本に戻ってからは恋人ずっといないから」
「……そっか」
それはどう安心しろってんだよ、元彼と街でバッタリ遭遇なんて事件が起きないって事か?そんな心配してねえよ!
「それでだ。お前は今、何してんだよ?」
「何してるって、脱がしてる?」
疑問系じゃない、間違いなく脱がしてるだろ。
「俺、タチがいいって言ったよな?」
「ああ、だからどうした?」
「何でお前が上なんだよ?」
「えっ、お前を気持ち良くしてやりたいから?」
その気持ちは嬉しいけどな、だからっていきなり乗っかられるのは流石に慌てるっていうか、お前何でそんなにヤル気満々なんだよ?
あとな……。
「悪い火神、ナチュラルにチンコ触んのやめてくれね?」
「いいじゃねえか、減るもんじゃないだろ?」
現在進行形で、俺の中のお前のイメージ像はガツガツ削られてるっての!
しかし悲しいかな、好きな相手に触られてる、その事実だけで雄というのは反応してしまうもので、俺の息子も硬く熱くなっていく、それを感じて火神はニヤリと顔を崩す。
「気持ちヨクなってきただろ?」
布越しに与えられる刺激に、顔を歪め相手を睨み返すと、火神はそれにも嬉しそうに微笑む。
「なあ、舐めていい?」
「は……はぁ!?お前、何言って」
拒否する前に、火神は動き出してさっと俺の下着とズボンを取って、硬度を持ち始めた俺を咥え込んだ。
熱く柔らかい火神の咥内、キスをした時から感じていた熱くうねる舌が竿に絡みつき動き回る。時折、先端を吸い上げては再び深く咥え込む、その度にビリビリと脳天まで突き抜けるような、刺激が走る。
「あっ、なあ火神もう止めろって……マジでイクから」
「んー?いへお」
咥えたまま喋るな!そう叫ぼうとした瞬間に、強く吸い上げられて火神の口の中に思いっきり射精してしまった。疲労と心労でクタクタになってる俺を見上げ、火神はニッコリと笑うとゆっくりと咥えていたものを離して、口に含んだ液体を飲み下して行った。
「お前!なん……て、物飲んで……」
「いいじゃねえか。っていうか、結構お前溜まってただろ?かなり濃いぞ」
そういう事言いながら、口の端に付いていた白い粘着質な液体を舐めとっていく。俺の物だけに、強い罪悪感に襲われる。
「どうだよ?俺、上手い?」
「知らねえ」
つーか、申し訳ないが比べようがないし、比べたくもないんだけど。
「素直に気持ちよかったって言えないのかよ?まあいいや、お前もヴァージンみたいだし」
「あのなあ、男で処女じゃないって、はっきり言うけどコッチじゃかなりおかしいからな」
「処女って何だ?」
マジかよお前、ここまで来てそれ知らねえとか……。
「だから、セックスの経験ない奴の事だよ」
「何だよ合ってんじゃんか、だって青峰ヴァージンなんだろ?」
「そりゃそうだけど、普通の男はそうだろ。普通は女役なんてしねえよ」
「あー、そっちの初めてじゃなくてさ。その、タチだっけ?そっちでも、青峰って経験ないだろ?」
「ウルセエ!童貞で悪かったな!!」
余計なお世話だ、つーか何でそんなに平然と下ネタ言えるんだお前は。
「ああ、日本だと経験無いのも男役と女役で言葉違うのか。向こうはどっちもヴァージンって言うからさ。知らなかった、区別とかあるんだな」
なんてしみじみと感心してるけどな、お前人の事を童貞呼ばわりしてくれてんじゃねえか!言っとくけど、絶対に経験豊富なお前の方が異常だぞ!
しかし、俺の上に乗っかって妖しく微笑む相手から振りまかれる、性的な魅力はありえない程のもので、本当もう……コイツの性ホルモンどうなってんだよ?って考えてしまうくらいのレベルで。
「続きしていい?」
なんて聞かれて、生唾呑み込んで頷いてる俺って。本当に馬鹿じゃね?
火神はニッコリと笑うと、自分の着ていた服をさっさと脱ぎ始めた。羞恥心なんてものはないのか、いっそ男前なくらいに豪快に脱ぎ捨てられたそこには、しっかりと鍛えられている男の体がある。自分や部活の仲間で見慣れてはいるものの、その肌の白さとそこから香り立つ色気は、普段感じるものとは全く違う。
「んなじーっと見んなよ、恥ずかしいだろ?」
そう言う相手の顔を見ると、恥ずかしそうに目を逸らされた。おいおい、見るなって言うけどお前が見せつけるように脱いで、自分から跨ってんだぞ、そこの所忘れんな。
ふと、自分に跨った火神のものがキツく起ち上がっているのに気づいた。
「お前……コレ」
「ん?だってよ、青峰の感じてる顔……エロいから」
そう言うお前の方がエロい顔してるんだっつうの!
でも、今ここに触れたらコイツはどんな反応するんだろうか?というか、されてるばかりは正直に言うと性に合わない。熱を持った火神に触れてやると、ビクッと俺の上に乗った体が跳ねた。
「ちょっ!青峰、お前なに……」
「俺も、お前の触りたい」
そう言って、はち切れそうになっているコイツの物に触れてやると、くぐもったような声を上げて俺の腕を掴んだ。
どうしたら気持ちよくなるのかっていうのは、あんまり良く分からない。とりあえず、自分でする時みたいに上下に擦ってやったり、先端を強めに押してやると「んっ!んん!」と唇を噛みしめて、声を必死に押し殺す、その反応の仕方が予想外に初々しいので、コイツって本当に経験あるんだよな?っと疑ってしまいそうになる。
背中を仰け反らした事で、胸が晒される。女のような膨らみはないものの、ムチッとした筋肉に覆われたそこに、薄く色付いているものに視線がいく。
「何だよ、やっぱり胸ある方がいい?」
視線の先に気付いた火神がそう言うが、俺は小さく首を振る。
確かに火神には胸の膨らみはない。だが、ぷっくりと起ち上がった乳首がやけにいやらしい。全体的にピンクがかってて、でも先の方は少し色が濃くて。思わず、噛みつきたくなるような……そんな。
「ひゃん!」
そう思ったと同時に、俺はそれを実行していた。右の乳首にぱっくりと喰いつき、舌先でこね回したり、吸い上げたりしてみる。くにっと弾力が強く、中心は硬い。男の物にしては少し大きくて、刺激すればそれに応えるように体が震え、縋り付くように俺の頭に手が添えられる。
たまんない、興奮する。
「あっ!青峰……お前、本当におっぱい好きだな」
俺のでもいいの?と尋ねる相手に、良いみたいだと返答して。反対側にしゃぶりつく。
コイツは乳首でも相当感じるらしく、俺の手でされるのと同時に強く弄れば、俺の上で腰を震わせて悦んでる。
「気持ちイイのか?」
「イイに決まってんだろ?はあ……好きな奴に、触られてんだし?」
畜生、赤く息が上がった状態でんな事言うとか、反則だろ!
「すげ、お前またこんなになってる」
目の前に広がる光景に、再び起ち上がった俺を見て、嬉しそうに火神は言う。
「うるせえ」
ぶっきらぼうに言い返し、相手の物を強く握ると「ぃああ、ん!」と甲高い、しかし甘い悲鳴が上がった。
「なに、すんだよ」
「お前が悪い、さっきから人のことバカにしたように……」
「バカになんかしてねえよ。つーか、むしろ嬉しいんだって、お前が俺で興奮すんのが……っひゃぁ!」
「だから!そういう人を煽るような事、言うんじゃねえ」
減らず口を黙らせるため、さっきから良く感じてるらしい先端の部分に爪を立ててやると、大きく体を震わせて涙を溜めた目で俺を見つめる。
「あっ、青峰……もう、俺イキそ」
「イケよ、お前だって俺にしたんだし」
これはいってしまえばお返しだ、強くその熱を擦り上げて、この手で快楽を引き出す。
「ん、んんぁぁあ、っん!」
一際大きく体が震えて、火神は俺の手の中にイッた。どろりと熱い粘着質な火神の精液を見つめ、なんとなくそれを舐めてみた。
「うえ……」
生臭い、あとスゲー苦い。つか飲み下せるようなもんじゃねえぞコレ、火神のやつよく平気でこんなもん飲めるな。
「何してんだよ?っていうか、不味いんだったら無理すんな」
そう言うと火神は俺に口付けた、半分空いてた口の隙間から相手の舌が滑り込み、簡単に中を犯していく。
絡みつく舌で口の中がベタベタになり、味がよく分んなくなった頃、唾液を吸い込むように火神の唇が動き最後にチュッと音を立てて離れていった。
「何でお前、俺の飲んで平気なんだよ?」
「慣れてるからだろ、つーか悪かった、手ベタベタになっちまったな」
そう言うと、火神は俺の指にベッタリ付いた自分の精液に舌を這わせた。
お前、人のだけじゃなくて自分のも平気なのかよ?あまりの衝撃に、震えそうになっていたのだが、それも次のコイツの行動で止まった。
ゆっくり口を開けると、俺の指が咥え込まれる。
さっきまで自分のナニを舐められてた口に、今度は指が突っ込まれてる。
先端から指の間まで丹念に為上げている火神は、俺と目が合う度にニッコリと微笑みかけてくれる。体の温度が上がっているのか、それとも少し息苦しいのか、頬が赤く染まっているのがとてもエロい。
「ん、そろそろよさそうだな」
そう言うと、火神は俺の指から口を離した。
「なあ青峰、男同士でSEXする時にどこ使うかは分かってるよな?」
「それくらいは知ってる」
だよなと安心したように火神は言うと、掴んでいた俺の手を自分の尻に導く。
何をしようとしてるのか分かって、心の中から湧き上がってきた恐怖で、指先が丸くなる。
それを感じ取ったのだろう、火神は子供をあやす母親みたいな穏やかな顔で「大丈夫だ」と言った。
「風呂場で先に洗っておいたから、そんなに汚くないと思う」
「汚いとか、そういう問題じゃねえよ。なんつーか、大丈夫なんだよな?」
確かに、俺はタチがいいとは言った。だからと言って、いざこうして目の前に突きつけられると、思わず尻込みしてしまう。だってそもそも入れる場所じゃないわけだし、こんな所で本当に感じられるのか?
「大丈夫だから、青峰。ほら、まずは一本な?」
火神の手に優しく招かれて、キュッと萎んだそこに指先が触れる。人差し指で入口をなぞってから、ゆっくりと差し挿れてみた。
「んっ!ぁあん」
ズブズブと奥までゆっくり突き入れていくと、赤く頬を染めた相手と目が合う。
「青峰って、指長いよな。凄い、奥まで届いてる。……んっ!」
話している最中に、どこか良い所を掠めたらしく、小さく悲鳴を上げる。が、直ぐにしがみついてきて。俺の耳元に唇を寄せた。
「ナカ、動かして」
「動かすって、どう?」
「好きにしていい。引っ掻いても、掻き回してもいいから、とにかく動かして」
まだキツイだろ?という言葉の通り火神の穴は狭く、指一本でもかなりの圧迫があるに違いない。ギュウギュウに締め付けて苦しそうだ。
だが、熱くうねり絡み付いてくる内側は、きっと凄く気持ち良い所なんだろう。ねっとりとした厚い舌とは違う、全身をもって愛してくれそうな内側の熱をもっと感じてみたくて、突き入れた指を恐る恐る訳も分からずに動かしてみる。
中で折り曲げ、壁のひだをなぞり、出し挿れしながら、ゆっくりと押し広げてみる。苦しそうにしている火神だったが、段々と体が慣れてきたのか次第に吐息に、色の付いた熱が混ざる。
「青峰、まだナカの一本だけ?も、大丈夫だ、慣れてきたって思ったら、指の数、増やして」
俺はもう言われた通りの事しかできない。人差し指を引き抜いて、今度は中指を添えて中に突き入れる。最初と違ってゆっくりではなく、一気に突き入れてしまい悲鳴と共に体が大きく震えた。
「あっ、ワリ……痛かった?」
「やん!ちが、今……お前スゴイ、んっ……イイとこ、突いたんだよぉ」
軽くイッちまっただろ、と恨みがましく見つめる相手は、ただひたすらにエロい。
ヤバイ、こんな顔……もっと見たい。
コイツの言うイイ所とは、一体どこなのか必死になって探す。奥を突き上げ、中の壁を引っ掻き回しとにかく、感じる場所をもう一度見つけ出そうと必死になる。火神に聞けば分かるだろうが、自分の手でしたかったし、第一コイツ自身にもそんな余裕はなさそうだ。
「ひっ!ぁあ、青峰……ちょっ、激しい……あっ、そんな掻き回すなよぉ……ん!っなぁ何でそこばっかりしつこく、突いて……っんぁあ、やあぁ!そこ、そこはぁダメだ、そこばっかしちゃダメだって!!」
ようやく分かったコイツの感じる所を、しつこく指で弄ってやると快楽に溺れないように、俺に必死にしがみつく相手に俺は機嫌が良くなる。ようやく、コイツの余裕を奪ってやった。その怪しい顔を突き崩してやれただけで、満足……できるわけがない。
「あお、みね……」
涙の幕が張って目元は赤く染まり、しっとりと汗に濡れた体と熱い吐息に思わず喉がなる。
「火神、挿れてえ」
そう言うと、俺の上に跨ったままの男は小さく微笑みかけ頷く。どうすればいいんだ、と尋ねるよりも先に俺の手に手を添えて、中に入っていた指を引き抜かせると、ベッドサイドの棚に腕を伸ばし中から何かを取り出した。
常備しているらしいゴムの包を口に咥えて引き裂くと、取り出した中身を俺のモノに優しく被せてくる。扇情的な光景を息をするのも忘れて、ただ黙って見つめていると頬を少し染めた火神と目が合った。
「んな、見てないでちょっとは自分でしろよ」
いや、お前が勝手にしてくれてるんだろ。そう言おうとしたものの、緊張した喉からは何の音も上がってこない。どうやら俺は、自分で認識してる以上に緊張しまくってるみたいだ。
まあ、そうだよな。初めてのセックスで、男同士で、しかも相手にめっちゃくちゃリードされてるし。何ていうか、頭で何か考える余裕とか全然ない。
こんな自分とか呆れられてもしょうがない、なんて自嘲気味に考えてたらふいに鼻先に火神の唇が優しく触れた。じっと相手の方を見れば、とんでもなく優しく微笑まれる。
「そんなに緊張するなよ、それとも、やっぱり嫌か?」
「いや、じゃねえよ……だけど」
自信がない。
お前を気持ちよくできるのか。かつて、コイツを抱いたであろう男共よりも、コイツを満足させられるのか……そう考え始めると、両方の肩に有り得ないくらいの重荷がかかってくる。弱気な俺とか正直に言うと有り得ねえけど、ここまで見せつけられちまうと、普段の自分なんて吹っ飛んじまう。
「ばーか」
「あっ?お前が悪いんだろうが」
「人のせいにするなよな。っていうかお前、本当に馬鹿だろ。好きな奴とヤッて満足できないとか、有り得ねえよ」
ああ、何でコイツってこういう時にこんな煽るような事を平気で言えるんだよ。
めちゃくちゃハズいし、スッゲー悔しいけど、ちょっと……本気で嬉しい。
ぎゅっと目の前にあった相手の体を抱きしめ、額にキスをしてやれば嬉しそうに火神は笑った。さっきまでのエロい雰囲気が嘘みたいに、天使みたいな可愛い笑顔で俺の名前を呼ぶ。
「青峰」
「なんだよ?」
「俺、もう我慢できないから……入れるぞ?」
…………待てコラ!お前この雰囲気の中で、よくもそんな欲望剥き出しな言葉を何の恥ずかしげもなく言えるな。無邪気さが逆に腹立つくらいだ。
怒りがふっと腹の底で湧くが、それはすぐに消え去った。
ゴムを被せた俺のモノに触れると、火神は自分の尻へとそれを宛がって、ゆっくりと広げた下の口の中へと咥えこんでいく。
「ん、あっ」
「っ!」
予想していたよりも中は狭く熱い。だけど柔らかくて、とりあえず傷付けたりはしていないようで安心する。
だけど、考えられたのはそこまでだ。
荒い呼吸と共に火神の中は蠢いている、ぴったりと俺のモノに絡みついてくる内壁は柔らかくて気持ち良いくらいに締め付け、脳天まで一気に突き抜けてくような刺激をビシビシ与えまくってて、何だよこれ、ヤベェ。
ゆっくりと全部を呑み込まれるまでに、俺イッちまうかもと何度思った事か。
俺のを完全に体の中に押し入れた火神を見ると、うつむいたまま小刻みに震えている。それを見て、やっぱり無理して中が切れたんじゃないかと、さっきまで消えていた不安が胸の中に戻ってきた。
「おい、おい火神?大丈夫か」
そう声をかけるも、相手から答える声はない。心配になって体を起こして肩に手を伸ばすと「ひゃんっ!」と甲高い悲鳴を上げ、大きく震えた。
「火神?」
「……あ、頼むあおみねぇ、いま、動かないで」
動くなと言われてもお前の事、心配なんだけど。
そう声をかけて、まだ震えているその頬に手を伸ばすと、嬉しそうに手を取り擦り寄ると。俺の方を真っ直ぐに見つめる。
上気した頬とトロンとした目、薄く開いた唇から覗く舌は濡れていて、美味しそうだ。
ゾクゾクと背筋が震える、めっちゃくちゃにしてえ。でも、さっきまで余裕っぽかった相手は今、ガタガタと怖がるように震えている。
「ど、しよ……青峰」
「なんだ?」
やっぱりヨくないのか?と不安になりながらも尋ねると、火神は顔を大きく横に振った。それじゃあ、一体どうしたんだよ?
「あおみねぇ……お前の、スゲェ、きもちぃ」
舌足らずな声でそう告げる火神は、どこか弱々しい。
「ん、ヤバいよ……お前、今までの誰より、体……相性良すぎ」
震えながら真っ赤な顔でそう言う相手に、相手に翻弄されてグチャグチャになってた俺の理性が、完全に焼き切れてしまった。
「ふぁああっ!ちょ、青峰ぇ……うごくな、って言ったのに」
どう動かせば良いのか分からない、だけど熱く包まれた内側に俺のモノを擦り付け、突き上げるように腰を動かす。上に乗っかったまま揺さぶられて、火神の目からつっと涙が零れて来た。それがなんか綺麗で舌で舐めとってやると、今度は赤く染まった唇が美味しそうで、そこに優しく噛み付いてみた。
「んん、んぁ」
漏れ聞こえてくる声に煽られて中を穿てば、小刻みに震える体が、背を仰け反らせてキモチイイと伝えてくる。
色の白い肌を撫でる、熱に浮かされてピンクに染まってるコイツの体は、どこを食べてもきっと甘い味がするんだろうな、なんて熱で熟れ切った頭で思った。
「あおみね、ソコ!いい、きもちぃ」
イきそうだと、赤い顔で訴えかける相手が愛おしい。だけど、できるならば……。
「なあ、名前で……呼んでくれねえ?」
そう言った直後に、なんつー女々しい事をとか思ったけど、火神は溶けそうなくらい熱い息を零し、ふにゃっと笑う。
「だいき」
「っあ」
ぞっとするような感覚が走り抜けて、気付いた時にはイってしまった後だった。
おいおい、笑顔で名前呼ばれるだけでイクとか、マジでダセー。なんて自己嫌悪に陥っていると、中でモノの形が変わった事に気付いたらしい火神が不思議そうに俺を呼びかける。
「もしかして、イッた?」
「…………笑うなら、笑えよ」
「何で、気持ちよかったんだろ?俺は大輝がイイなら、嬉しい」
笑ってそう言う火神の言葉が、頭に届くよりも先に腰に落ちて、ナカに埋まったままのモノが一気に膨らんでしまうのを感じた。
「ふぁん!……んだよ、全然コッチも元気じゃねえか」
そう言うと、自分から腰を動かす火神。
「ちょっ、お前……ちょっとは休ませろ」
「ん、やだ。俺、まだイってないし……我慢できねえ」
そう言いながら腰を振る火神。可愛く頬を染めて鳴き声を上げているものの、その腰使いが半端ねえエロい。何コレ、何でこんなに自在に動かせるんだよお前。
「大輝、気持ちイイ?」
「ん……すげ、いい」
「そっか」
そう言いながらも、動くのを止めない相手の腰を引き寄せると「ひっ」と短い悲鳴が上がる。
「火神、キスしてぇ」
「ん」
言ったらすぐに火神の唇が重なる。なんつーか、一人で楽しんでるんじゃないよな?とか不安になったわけだけど、俺の事はちゃんと聞いてるみたいだ。
「なあ、大輝」
「なんだよ?」
俺が満足するまでキスに付き合ってくれた火神は、眉尻を下げて俺を見る。
「俺の事は、名前で呼んでくれねえのか?」
「っ!……大我!」
ああもう、何でお前はそんなに嬉しそうに笑うんだよ。反則なんだよその笑顔、いい加減にしろっつうの。
ぎゅっと抱きしめて、ナカを突き上げるとトロンとした目で俺を見つめ「もっと」と強請る相手にまた意識を持って行かれそうになる。
「あっ!大輝、大スキ」
「俺も大好きだぜ、大我」
一番感じる所を奥まで突き上げると、火神はブルッと体を震わせてイッた。その瞬間、ナカも熱くうねって強く締め上げられて、その痺れるような感覚に俺もまたイってしまった。
「俺、お前の恋人でいられる自信ねえわ」
「何で?」
不安そうに俺に聞いてるけどな、火神。俺、今マジで動けねえんだけど。
あれから、火神が満足するまでヤッてたわけなんだけど。何あれ怖い、おかしいだろお前の性欲どうなってんだよ。そりゃ、俺だって健全な若い男子高校生ですから、性欲は旺盛ですよ、それはもう盛んなお年頃ですよ。それがタネ尽きるまで搾り取られるってどういう事だよ?お前どんな絶倫なの?
今だってケロッとしてるし、甲斐甲斐しく俺の世話とかしてくれるし。嬉しいんだけどさ、タチとしちゃ情事終わった後に恋人を労わってやりたいわけだ。
それが体一歩も動かしたくねえくらい怠いって、どういう事だよ?
ただでさえコイツを満足させるだけのテクに自信ないってのに、持久力まで不足してるときたら、本気でもうコイツを満足させるとか諦めるより他ない。
枕に突っ伏してぽつぽつとそう語ると、火神はまた笑い出した。
いいよ、笑いたければ笑え。好きなだけ馬鹿にしろよ、どうせ童貞卒業したての初心者だっての。
「悪い、SEXとか凄い久しぶりだし、最近ずっとバスケばっかで抜いてなかったから、スッゲー溜まってたみたいで。めちゃくちゃ無理させた」
一応、そういう自覚はあんだな。
「普段はあんなんじゃないんだけどな」とか「あんなに盛り上がったのとか、久しぶりだ」とか、恥ずかしそうに語る火神。
「でも青峰とのSEX、凄い良かったぜ」
「そっか」
褒められたって、素直に喜んでいいのか分からねえ。
っていうか予想外の出来事が多すぎて、俺の許容量を超えすぎてる。コイツにゲイだと言われた時点で、なんつーか色々と無理だと悟るべきだった。
「水、いるか?」
「ん」
そう言われて手を伸ばすと、飲みかけのボトルを渡された。起き上がって中身を一口飲んでから、これって間接だよなあとか思って、急に恥ずかしくなってきた。
その様子を見ていた火神は、また笑い出した。どうせ、またピュアだのらいくないだの、そう言うんだろ。
「青峰って、可愛いな」
「はあ?」
おいおい、この図体の男に向かって流石に可愛いはないだろ。そう言い返してやろうと相手を睨みつけると、何故かとても優しい顔してて思わず閉口する。
「お前が俺の事好きになってくれて、本当に嬉しい」
ああ、何でお前ってそうなんだよ。
めちゃくちゃ幸せそうな顔で、んな恥ずかしい事を簡単に言えるんだよ。やっぱあれか、帰国子女の力なのか?本当、やってらんねえんだけど。
「あのな青峰、俺だってお前の恋人とか自信ないんだって。男同士だし、日本だとやっぱりこういう関係って、まだ凄い差別されんだろ?」
寂しそうに微笑んで火神は俺の手を握る。
日本に帰って来てから恋人はいない、とは言ってた。でも、好きになった奴が俺だけとは限らないよな、多分。
自分でゲイだと言い切った以上、コイツの恋が一般の人間に比べて辛いものであるのは確かだ、相手を間違えれば白い目で見られるわけだし。
俺が告った時、コイツどんな気持ちだったんだろ。自分の事、受け止めてくれる人間がいるって、嬉しかったんだろうな。
「だからさ、俺の恋人やってらんねえとか言うの止めてくれねえ?結構、へこむんだけど」
「もう、二度と言わねえよ」
だから頼むからその無邪気な笑顔止めてくれ、本気で心臓に悪い。
「お前の事、今は満足させらんねえかもしれないけどな。その内、足腰立たなくなるくらいグデングデンに抱いてやるからな、覚悟しとけ!」
「ハハッ、楽しみにしとく」
あーコイツ、絶対に本気にしてねえな。てか、余裕過ぎてムカつく。
まずはコイツの曲がった恋愛感覚を矯正しないとな、それで俺の側に居るのが一番幸せって思わせるまで、愛してやる。
「俺、今でも充分、青峰と一緒だと幸せだけどな」
ああもう!だから、テメーはそういう事言うんじゃねえ!!
ピュア峰×エロかがみん、もっと増えてもいいんじゃない?
2012年8月29日 pixivより再掲